5話目
―――すごくあたたかい、なんだこれ・・・?とまだ眠い目を擦りながら、俺様の手に触れる、あたたかい何かを確認しつつ、やっと目が冴えてきたらしく、よく見ると輝が隣で寝ていた。
「はぁ?」
どう反応していいか分からず、随分と間抜けな反応をしてしまった。それから、じっと輝を観察すると、俗にいう腕枕というものをされていることに気付き、慌てて体を起こす。
すると、寒さを感じたらしい輝は「ゔーっ。」と少し唸り、薄目を開け、俺様が起きたことに気付いたらしい。
「おはよう、慎。・・・どうした?」
そう声を掛けながら、驚いている俺様を不思議そうに見つめ、そっと頬へ手を伸ばした。
俺様は輝が時折とる、こうしたスキンシップを取るのがすごく好きだった。
頬を撫でる輝を好きにさせつつ、こちらは先ほどと変わらず、じっと輝を観察するように見つめた。
「・・・慎、さすがにそんな見つめられると、照れるんだけど?」
ふふっと小さく笑みを零す輝に、いっそこのまま聞こうと口を開こうとした。
「慎は寝る時しか、甘えてくれないよな・・・。いつも甘えてくれれば、手出しやすいのに。」
輝は先ほどまでとは違う笑みを口元に浮かべ、頬を撫でていた手を離すと、今度は俺様の手を取り、指を絡めて手を繋いだ。
ギュッと握るわけでもなく、緩く絡ませるだけのそれはすぐにでも、解けてしまいそうではあったが、輝は少し遊ぶ様に、俺様の指の間を絡めた指の腹でやんわりと撫でたり、俺様の手のひらを撫でたりと、特に何をしている訳でもなかった。
しかし、その少しの刺激が何とも言えない感覚を起こし、今日の六限目の時の様にゾクゾクとしたものが背中に走った。そんな俺様に気付いている様子の輝はクスリと少し色気の漂う笑みを零した後、俺様の手を持ち上げては見せつける様に、指先に口付けを落とした。
「・・・慎、なんで、最近サボり始めたんだ?それにいっつもヒントみたいに一言言ってから行くけど、どうして?」
・・・コイツ、分かってて聞いてるんじゃねェのか?と思った。だが、じっと見つめる輝の目は、真っ直ぐ俺様を見つめていて、本当に疑問に思っているらしかった。
「・・・お前が怒ること、って考えたら、仕事をサボったら怒るんじゃねェかと思って・・・。」
「なんで俺を怒らせたかったんだ?」
「・・・怒ったら、・・・ほ、本音が・・・。」
聞きたくて聞きたくて、仕方がなかったことだが、もし『友人』だと輝の口から出たら、と思うと詰まってしまった。輝は俺様をじっと見つめながら、ただ続きを待ってくれた。




