2話目
「おい、慎。起きろよ、もう十分だろ?」
そう声を掛けながら、肩を軽く掴んで揺すってみるが、どうも反応を示さない。
この寝ている男は、我ら生徒会のトップである生徒会長、不知火慎。態度もでかく、自分勝手な性格も合わさって、いつもいつも面倒ばかり掛けられている。・・・一人称は俺だったら、恥ずかしくて死ねるくらいの『俺様』だ。初めて話した時は随分と引いてしまった。
・・・だが、2年になり、会計として生徒会で共に学び、ちょっとずつ意識が変わった。3年になり、副会長となった今では面倒で、態度もでかく、痛い俺様、でも時折・・・いや、常に可愛い奴、これが俺のアイツに対する感情だ。
まぁ、いつからこんな気持ちを抱く様になったか、特別な理由も出来事・・・あるにはあるがそれは意識し始めただけであって”可愛い”と感じるようになったのは副会長になってから、だと思う。
そのせいか、最近ではサボりに行く慎を見逃し、必要になったら捜索する、といった感じで甘くなってしまっていた・・・惚れた弱みとでも言うのだろうか?
・・・もう少し厳しくするか、なんて考えていると、ベッドで寝返りをうち、「ゔー・・・。」と唸っている慎を見る。もう少しか、と思い、更に強く揺さぶる。
「慎、起きろって!」
「・・・・・・ん、てる、か・・・?」
起きたらしい慎は眠そうに目を擦りながら、舌ったらずな口調で俺の名前を呼んだ。
・・・本当に最近、重症かも、と少し火照る頬に手を遣りつつ、すぐに離しては慎の髪を撫でつける。気持ち良さそうに撫で受けているのを見てはドキリとするが、表には出さない。
「ほら、起きろよ。十分寝れたろ?」
そのまま、手を額に遣り、軽くでこピンをすると、慎は少し不機嫌そうなオーラを出しつつ、まだあまり目は覚めてないらしい。
「・・・俺様が、せっかく気持ちよく、寝てんのに・・・起こすなよ、輝。」
・・・口を開くと可愛くない。やっぱり寝てる方が平和だし、俺の癒しにもなる、と内心苦笑を零しつつ、「はいはい、悪い悪い。」と軽く流すと、やはりまだ眠いらしく起き上がるも、俺の適当な返事にも怒ることはなかった。
すると、じっと見つめてくる慎に「なんだ?」と返すと、手首を掴まれ、油断していたせいか、慎の方へ簡単に倒れ込む。
「・・・もう一回、寝る。輝も、・・・俺様が言ってんだから、言うこと、聞けよ?」
言葉だけ聞けば、俺様で強引!って感じだが、眠そうな口調で、しかも緩い笑みを浮かべているコイツが可愛くて仕方がない。
・・・まぁ、今日は急ぎは終わらせたし、明日締め切りの分が1,2件だけだったはずだしな。1時間ぐらいなら、この可愛いコイツを可愛がる時間は作れるだろうと、そのまま抱き締めては軽く口付けを落とした。
すると、慎はそれに満足したのか、すぅすぅと小さい寝息を立てて眠っていた。・・・まぁ、いいか、と小さく笑みを零しながら緩い眠気に誘われる。そのまま身をベッドへ埋め、腕の中のぬくもりに安心しながら、目を瞑った。




