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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第5章 隣の国を救います。
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内政職が活躍する日

 俺たちはナミタリアの護衛という名目で雇われることになった。しかし実際の仕事は護衛ではなく、昨日耕した区画の拡張作業だ。区画は大工→細工→浄化→農婦→水魔法という流れ作業で次々に拡張していく。フローラの浄化魔法でズルをするからとても効率がいい。

「12人でやると早いな」

「そうですね。緑が増えると思うとやっていて楽しいです」

 キーリアは今日も生き生きしている。内政職が活躍する日って本当に来るんだな……。


 俺は手が空いたので、昨日の実験結果を確認した。『石サル』をテイムした時に得た称号は、サル族のキーリアにも恩恵を与えている! これはすごい発見だ。今後はテイムする時、種族系モンスターの優先順位を上げる事になるだろう。


 この実験が成功したなら……『魔法使いの友』も実験しておくか? これ以上暴走されても困るか……? 俺が悩んでいると。

「中級水魔法を使えるようになったニャ」

「待っ」

 俺の制止の声は間に合わず、リズが一際大きい水魔法を放つ……。轟音とともにせっかくキーリアが頑張って植えた1列をキレイに流す。


「これはひどいな……、リズの昼食の魚は半分な」

「お、お腹の子供に栄養があげられないニャ」

 そうきたか……。

「んじゃ魚ばかり食べていると栄養が偏るから、他の物も食べような」

 リズの考えなど簡単にわかる。思惑が外れたリズはあっさり降参をする。


 その後リズが大人しく水を散布していると……。

「在庫の肥料がなくなりました」

 俺たちが普段持ち歩いているアイテムは、錬金前の物がほとんどだ。今回は隣の国に行くので、事前にモズラが用意してくれた肥料を使っていた。


「そういえばギラーフ班はどこに行ったんだ?」

 今の俺たちはこの国で注目の的になっている。今日初めてこの国を訪れた人でも、俺たちの噂を耳にするぐらいには騒がれている。

「山賊を見つけられずに、国の外にいるのでしょうか?」

 フローラが心配な顔で聞いてきた。

「どうだろうな……。山賊に出会っても負ける可能性はないから無事だろうが……。明日までに戻らなければ何か手を打つか……」

 特にいい手があるわけじゃないが……。

「そうして下さると安心です」

 フローラは離れ離れだと不安になるようだ。



 ギラーフ班の事を話し合っていると、突然背後から声をかけられた。

「兄者、昨日はすみませんでした。俺たちにも何か手伝いをさせて下さい」

 兄者? 許可した覚えはないんだが……。あれだけ噂になっていたはずなのに、登場が遅かったな。もう肥料がないから作業は終了するぞ。

「この者たちが外であなた方の知り合いだとしつこくて……、本当に知り合いでしたか?」

 ここで『知り合いではありません』という選択肢は出来ないものか……。


 例えばこんな感じで……。

――――――――――

【この者たちと知り合いですか?】

・知り合いです

・はい

・YES


 妄想なのに、この選択肢!?

――――――――――



「大丈夫です。知り合いです」

「それは良かった。迷惑をかけるなよ」

 犬族が他種族よりも下に扱われるのを初めて見たな……。今の俺たちは内政をしているだけなのに、貴賓扱いだろうか?

「はい。わかっています」

 リーダーの男が首を縦にすごい速度で動かしている。コイツってこんなキャラだったか? まるでリズみたいだ……。


「肥料がなくなってしまってな……」

 日本なら残飯を使って堆肥を作るところなんだが、土の中に、残飯を分解する微生物がいるかが怪しい……。ダメ元で埋めておくか? 堆肥になれば徐々に土地が回復するし……。

「この国の残飯はどこへ捨てられているか知っているか……?」

「海に捨てられるか、燃やされているはずです」

 最悪……。海を汚すな。空気を汚すな。

「俺たちが作った土壌には残飯を土の栄養分に変える力がある。土の餌だと思って埋めてやってくれ。あげすぎてもダメだからな……」

 俺はこれからの事を考えて、連作にならないように、残飯を埋めすぎないように、細かく指示を出した。俺たちがこの地を離れても土地が痩せすぎる事は防げるはずだ。

※残飯を埋めすぎると、地下水に悪影響がありますので、ご注意下さい。


 これでこの地を捨てる派に打撃を与えられたはずだ。


 昼過ぎに宿に向かっていると……。

「フーリエン様の使いだ。ちょっと来てもらおうか」

 テンプレ展開か? 変な集団が現れたな……。お揃いの衣装を着た男女が俺たちを囲む。その中にはギラーフたちの姿が……。アイツらは変な集団に混じって何をしているんだ?

「……わかった」


 俺たち家族は変な巡り合わせで再会することになった。



「次回予告ニャ! とうとうギラーフが反旗を(ひるがえ)したニャ。これは戦争ニャ!」

「私たちは絶対にそんな事をしないので、落ち着いて下さい。はい、お魚です」

「ギラーフはいい子ニャ。私が保証するニャ」

 簡単に懐柔されているし……。結局次回予告は何だ……?

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