新手の嫌がらせ?
新しい書き出しを活動報告『プロローグ』として掲載しました。
後書きにもコメントがありますので、上記のプロローグを読んでから……。
無事に地下食堂までたどり着いたが……、俺の鼻が変なのか? 入口まで来たのに、焼き魚のにおいがしない!
「いいにおいニャ」
なぜ……?
「とにかく入ってみよう」
俺たちが地下食堂に入ると、キーリア班が先に来ていた。待ち合わせをしていたわけではないのに、すごい偶然だな……。リズの思考を読んだのか?
お互い声をかけるべきか悩んでいると……。
「キーリアたちニャ」
考えなしの猫さんが、わざわざ入口を別にした計画を一瞬で台無しにしてくれた。
ここからはもう隠す意味はない。
「何を注文したんだ?」
「メニューが読めなくて『おまかせ』で6人前を注文しました」
「俺たちはそれを見てから決めるか……」
10分後……。『焼き魚』が現れ|た
《・》。サイズはブリだろうか? 1人1匹は大きすぎるだろ……。
「美味しそうニャ」
こんなに至近距離に料理があるのに、やっぱりにおいがしない……。どうなっているんだ?
「この量は6人じゃ食べきれないだろうから、俺たちも手伝うか……」
「久しぶりの魚だニャ」
俺もこちらに来てから初めて見るが、大きいな……。口からはみ出ているキバがすげぇー……。
「もしかして、この魚はモンスターなのか?」
俺の呟きに、奥から出てきた店主が答える。
「海の中に出来た迷宮産だ。まだ誰も食べた事がない」
毒味かよ!
「メニューにはきちんと『新モンスター毒味者募集』って書いてあっただろ?」
そういえば、メニューが読めなかったって言ってたな……。注文を聞きにきた店員の嫌がらせか?
「とても美味しいニャ」
「おぉ! 状態異常にならないんだな」
そこから……。フグ毒みたいなのがあったらどうするんだよ……。妊婦だぞ。
「新モンスターって事は最近見つかったって事だよな?」
「昨日までは、これぐらいの魚しかいなかったんだが……、今朝からな」
『これぐらい』でサンマっぽい魚を見せてくれた。1人分はそれで十分だったと思うぞ……。
「海の中のモンスターをどうやって倒したんだ?」
「竿にモンスターがヒットしたら戦闘になったぞ。俺は〈料理人〉だからな、食材には負けないさ!」
そんな釣りは嫌だ……。
「楽しそうニャ」
話に食いついた猫さんが、目をキラキラさせています。一生ここで暮らせば?
「でも、今まで獲れていた魚が獲れなくなってな……、明日からの営業ができないんだよ」
日本で言うと外来魚の被害みたいなものか……。現地の人は切実だよな。
「その魚が食べられる事がわかって、本当に助かったよ」
鼻が機能していないせいか、うまく味がわからない。俺は食事をやめて、店主と話をする。
「今日この国に来たんだが、どうして外ではモンスター退治をしているんだ?」
「さっき言った海の迷宮攻略の準備って事にはなっているが……」
「なっているが?」
「ここだけの話だが、迷宮都市に攻め込むって噂がある」
やっぱり青田の情報は正しかったのか? 海の攻略を名目にすれば、公に兵を訓練する事ができる。嫌なタイミングに迷宮からモンスターがあふれ……。え……? 迷宮からモンスターが溢れる?
しまった……、この場にモズラがいない……。人選を誤ったな。
「迷宮都市はこの国よりも人口が多そうだが……?」
「俺もそこが腑に落ちないんだよ。フーリエン様は何を考えているんだろうな……」
実際の迷宮都市は戦えない人でいっぱいだ……。炭鉱の町にも多くの冒険者が派遣されているし……。
「フーリエン様といえば、妙な話があるんだよ。実は『第2候補』だってな。バカバカしいだろ?」
『人の口に戸は立てられぬ』か……。最初の情報収集相手は話好きのようだ。
「そんな話があるのか」
俺の驚きの表情に、リズが口を開くが、フローラがその口に透かさず魚を放り込む。ナイス!
「美味しいニャ」
リズは頬に手を当てて、魚を味わう。さすがちょろイン……。
俺が店主からこの国の内情を聞き出している間に、魚が完食された。主にリズの活躍で……。1人で1匹以上食べやがった……。
「そこのお嬢ちゃんはすごい大食いだな。今日はサービスしておくよ」
「おじさん、ありがとうニャ!」
毒味だからな……。金はとれんだろ。
今日の一言。
「魚は別腹ニャ!」
※たぶん、昼食後でも大好きな魚は食べられますって意味です。
前書きの続き。
青田ではありません。青田は3年前組です。
前書きと後書きを汚してすみませんでした。
次は砂漠の話です。興味がない方は……、ごめんなさい。




