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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第4章 新しい命が宿ります。
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幕間:夢を見たニャ!

「そういえば、夢を見たニャ!」

 朝早くにギラーフへの謝罪が終わって、みんなで朝食の準備をしていた時にリズが大声を上げた。

「急にどうしたんだ?」


「何だったかニャ」

 リズは今日見た夢を思い出そうとしているが、寝ている時の夢ってそんなもんだ……。

「諦めてリズも準備を手伝え」


「大切な夢を見た気がするニャ……」

「リズがそこまで必死になるなんて、珍しいな」


「思い出したニャ! 猫耳が付いているスライムの夢を見たニャ」

 そんなスライムいねーよ!

「その目は信じていないニャ」

 リズのしっぽが久しぶりに逆立ったな……。

「それは是非1度、私もお目にかかりたいですね」

「アキリーナはリズの話を真に受けるな……。所詮、夢の中の話だ」


「近くには花が生えていたニャ。黄色くて拳よりも小さい花が上から下に向かって……」

「「「え?」」」

 モズラ、ビエリアル、エヴァールボが同時に声を上げた。

「知っているのか?」

 モズラがビエリアルとエヴァールボに目配せをすると、2人が頷く。

「私たちはご主人様に拾われる前は、花摘みをしていました」

「そうだな」

「その時に、来年もお花が咲くように摘む方法を教えてくれた、ご老人がいました」

 そのご老人が好きだった花か?

「ご老人は特に関係ないんですが……」

 関係ないのかよ! んじゃ出すなよ。


「そのご老人が唯一摘む方法がわからないっと言っていたお花が、今リズさんが説明していた、上から下に向かって拳よりも小さい黄色いお花を咲かせます」

「リズが夢で見た花は実在したのか……。でもたまたまリズが知っていただけじゃないのか?」

「そのお花は……、気候が安定している場所にしか咲くことはなく、今の時季ですと西に3キロほど行った崖の中腹にしか咲きません。摘むのも難しいので、知っている人は少ないはずです」

 西に3キロなら昼までに余裕で往復ができるな……。

「今日は午後から隣の国に出かける。その用事を変更することはできない」

 リズがションボリする。

「なので、それまでに戻ってくるぞ」

「ピクニックニャ!」

 それは違うぞ?


「近場のようだが、崖なので全員で行くのはやめよう。食材の準備や数日分の着替え、色々出発までに用意しなくちゃいけない事が山ほどある。すまないが指揮はギラーフに任せる」

「わかりました」



 少数精鋭で6人で行くことにした。


 俺、リズ、モズラ、ビエリアル、リアラ、ノルターニだ。変わった組み合わせだが……。

「まずは、崖を登る準備は……」

「私がロープを錬金します」


「誰が最初に……」

「私が飛びます」


「崖を登った事ないぞ?」

「私が氷で足場を作ります」


「怪我した場合は……」

「死なない限り頑張ります」

 っと適材適所の完璧な布陣だ。大工で足場を作りたかったが、肉体改造の影響で朝はまだ無理だ。


 モズラの案内でピクニック気分で歩いた。崖が近づくにつれて、道が険しくなり、思っていた以上に進むのに時間がかかる。

「まだ着かないのか?」

「あの崖が目的地なので、あと少しです」

 あれか……、あと100メートルぐらいだ。


「お花はこの崖の上ですが……、この辺りには猫耳スライムはいませんね」

「それじゃ、手はず通りに登るぞ」


 崖の上に登ると。

「確かにリズが説明していた花が数輪だけ咲いているな」

「通常はお花が枯れ、種を付ければ来年も咲きますが、正しく摘み取ると球根を作ります」

※異世界の話です。

「花が目当てじゃないから、手を出すなよ」

 みんなが頷いた。


「猫耳スライムは……」

 さっきから視界の端で震えている妖精が見える。モズラが妖精のすぐ横を通過したから、俺以外には見えていないんだろうな……。

「残念だが猫耳スライムはいなかったな。時間もないし帰ろう」

「夢で見た場所と同じなのに……、どうしてニャ」

 リズはションボリするが、俺は妖精がリズのお腹に触れたのを見た。その行動にどういう意味があるのかはわからないが……。

「今度は子供が産まれてから、もう1度来てみような」

「はいニャ」

 俺は帰る前に妖精に一礼をした。

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