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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第4章 新しい命が宿ります。
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幕間:謝罪

 時はフローラが妊娠した日の翌朝。

「リズ、フローラ、すまないが起きてくれ」

 俺は事情を知りたくて、昨日酔い潰れていないはずの2人に声をかける。

「旦那様、おはようございます。昨日は……」

 リズが慌ててフローラの口を塞いだ。

「おはようございますニャ、今日は転移日和だニャ」

 リズは一瞬だけ外を見て答えた。転移日和ってなんだよ。リズの行動が怪しすぎる……。

「『正直に話せ』」

 最近、奴隷紋の起動に俺の意思が関係している事に気が付いた。

「わかったニャ、話すニャ。私がフローラをそそのかしたニャ。全部私が悪いニャ」

「いえ、リズさんは悪くありません。最終的に実行したのは私です。全て私が悪いです」

 罰しにくい展開だな……。リズが悪さをして、フローラがやむを得ず実行したのはわかったが、計画しただけで罰せられるなら、妄想しただけでも罪になる……。


「ギラーフにちゃんと謝っておけよ。昼から楽しみにしていたんだからな……」

 夜伽の何が楽しいのか俺にはわからないが……。

「わかっています」

 フローラは神妙な面持ちでギラーフが起きるのを待っている。一方、リズはすでにご主人様人形の着せ替えを始めていた。

「お前も少しはフローラを見習って反省をしろ」

 リズの頭にゲンコツを落とす。

「ごめんなさいニャ」


 それからギラーフが起きるまで、2人に正座をさせる。

「これは足が痺れるニャ」

 2人はお互いの足の裏を押して攻撃している。なぜか、とても楽しそうだ……。

「みなさん、おはようございます。昨日は後片付けをせずに途中で寝てしまい、すみませんでした」

 これぞ、女性の鑑。

「こちらこそ、アルコールを浄化する約束を反故にしてしまい、すみませんでした」

「ごめんなさいニャ」

「あれ? あれ? えーっと?」

 ギラーフは寝起きで状況についていけてないようだ。


「昨日俺たちは『アルコールを浄化しますので、心置きなく飲んで下さい』とフローラに言われただろ?」

「はい」

「実際にはフローラがその約束を破ったんだ」

「なるほど、それであのような体勢でいるんですね……。もちろん許しますよ」

「「え?」」

「だって、ここで許せば、ご主人様にいい人アピールができますから……」

 たしかに、それを言わなければいい人アピールになっただろう。つまりギラーフの狙いは冗談を言って、今後の関係に溝を作らないように、この場を収めることか……。元売り子の腕前かな? お見事。

「そうだな。隣の国から戻ってくるまで『ご褒美』は先送りでいいか?」

「はい!」

 ギラーフの元気な声が部屋の中を支配した。

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