幕間:悪巧み(フローラ視点)
時はフローラが妊娠する日の夕方。
「今日はギラーフさんへの『ご褒美』があるので、夜伽ができませんね……」
妊娠するチャンスが1回減ってしまいます。でも、きっと妊娠したいのは私だけじゃないはず。ここはきちんと我慢しなくてはいけません。夜伽がないと夜は会えないのが寂しいです。……いつの間にか妊娠する事よりも旦那様と会う事の方が重要な気がしてくるから不思議です。
「そんなことないニャ。ギラーフは一緒にいられるだけで満足するニャ。それに……」
「それに……?」
なんでしょうか……? リズさんはたまに悪い事をするので、また何かを思い付いたのでしょうか?
「フローラ以外は〈赤の遺伝子〉を使えば妊娠ができるニャ」
「それはそうですが……。ギラーフさんも旦那様を好いていますので……」
きっと妊娠だけが目的じゃないはずです。
「ここは一服盛るニャ」
リズさんがどんどん悪い子になっていきます。私のためにギラーフさんの『ご褒美』が失われてしまうなんて……。
「それはいけません」
私はユニコーン初の子供を宿したいですが、そのために誰かを傷付ける事は、きっと神が許してくれません。しかし、1度すると決めたリズさんを止めるすべは私にはありません。
「私が……、旦那様に嘘をつきます」
私の事でリズさんの手を汚すわけにはいきません。
お酒の席で。
「ご褒美の前にはきちんと浄化させますので、心置きなく飲んで下さい」
ごめんなさい。私は旦那様を騙しました。2人は私の言葉を信じて意識がなくなるほど飲んでいます。そして……。
「そろそろいいでしょうか……」
リズさんと力を合わせて、旦那様とギラーフさんをベッドまで運びます。
【我、眷属よ。汝が望む未来を選択せよ。ただし、子供を望む場合は汝の転生能力は子供へ譲渡される】
1:妊娠しない。
2:今すぐ子供を転生させる。
3:時をかけて出産する。
たとえ私の命が今回で終わろうとも、私は自分の子供をこの手で抱きしめたい。待ってるね。




