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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第4章 新しい命が宿ります。
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今頃

「だから頼みに『姫を〈プリンセス〉の職業に就けること』があったのか……」

 正直ここまでの話し合いはクラス特性を見た時から、そんな気がしていた。そして第2候補になった『冬』は……。

「姫に危険はないのか?」

「存在自体が秘匿されていたから隣の国に近づくまでは安心していいんじゃないかな♪」

 要するに、隣の国に入ったら危険なんだな……。行きたくない。


「全員の状態異常が治りました」

 ビエリアルは仕事の完了を報告してくる。

「ありがとう」

 俺はビエリアルが差し出してきた頭を撫でる。仕事の報酬にしては安いのか、そもそもこの行為自体は形式化されているだけなのか、本当によくわからない。家族が満足しているようなので、開けてはいけない『パンドラの箱』なのだろう。


「僕も奴隷を買おうかな♪」

 この男は買おうかなで、本当に買えるから恐ろしい。

「あんな……」

 案内はできないな。家族の視線が……。

「町に何軒かあるらしいぞ」

 青田は不思議な顔をしているが、俺はリズを購入した奴隷商の場所を教えた。これ以上この話題は続けられない。


「今頃は隣の国で『第1候補』の捜索活動でもしているのか?」

「今日は何とか隠し通して、秘密裏に捜索だろうね♪ でも『夏』がいるから、もって1日じゃないかな?」

 俺は自分で時限爆弾のスイッチを押したことになるのか……。

「今日はここで過ごして明日乗り込むかい?」

「それがいいな。いろいろと準備もあるし……」


「今日も美味しいご飯が食べられるね♪」

 食べる気満々だな……。20年以上美味しいとは言えない食事を続けてきたんだから仕方ないか……。

「昼食に使った食材は何だ?」

「もちろんカニだよ♪」

 青田がとってきたドロップの中にはカニ以外の物もいくつかあった。

「間違って〈サソリのしっぽ〉も一緒に調理したな……」

 どうやら〈サソリのしっぽ〉は加熱しても状態異常になるようだ。

※異世界の話です。

 そもそも危険な物を一緒に運ばないでくれ……。


「今日は焼肉が食べたいな♪」

「3階層で〈オークの肉〉、6階層で〈クックーの肉〉がとれるぞ」

 俺は3階層までの地図を渡した。ワープは前回一緒に解放している。

「1人で荷物持ちまで大変だよ?」

「荷物持ちにはスライムが優秀だぞ」

 俺はリズのスライム軍団を貸し出した。これで今夜の食材は心配ない。食べたいなら自分で調達をしてきてくれ。俺は笑顔で青田を見送った。


「モズラは『メイキングパウダー』を錬金できたか?」

「はい。いくつか作っておきました」

 スケルトンが2体いるから、複数個用意してくれたのか。気が利きすぎだ。

「先程使ってみましたが、聞いていた話と違って、効果時間があるようです」

 そんな罠は聞いたことがないぞ?

「20分ぐらいで元の姿に戻ってしまいました」

「パンダ様の毛で試してくれないか……?」

 姫に変化(へんげ)した場合は約20分。パンダ様の場合はわずか5分足らずだ。

「骨からスタートだから、変化後のサイズによって維持時間があるのかもな……」

 スケルトン2体で1回ずつ実験を行ったが、もう少し正確な時間を計ろうと試してみるが……。

「再使用時間があるのか? それとも……1度変化した遺伝子は受け付けないのか……?」

「困りましたね……」

「とりあえず、関係なさそうな者の『髪の毛』を使って検証してみてくれ」

「わかりました」

 スケルトンを囮にして切り抜ける策はどうやら使えそうにない。タイミングがシビア過ぎる。



 それぞれ明日の準備をして過ごした。


「イカリ様、荷物はこちらでよろしいでしょうか?」

 早速、奴隷を購入してきたのか……。

「あぁ、将来僕の食事を作ることになるから、お手伝いをしてきてね♪」

「かしこまりました」

 奴隷はキレイなお辞儀をしてから離れていった。なんだろう……。メイドみたいだ。

「〈料理人〉にでも転職させるのか?」

「そうだね♪」

 もう装備よりも食事の方が優先度が上がっていないだろうか? 青田の勝手だが……。なぜ、ここで料理の特訓をさせるんだよ。

「料理が得意な奴隷を購入したから、期待していてね♪」

 たぶんアンジェには勝てないと思うぞ。技術じゃ超せないクラス特性と称号補正とスキルアップの3拍子だ。スキルアップはこれからだが、それでも負ける要素がない。時間が経てば差が開くはず……。

「なんで()()ワニ族なんだ?」

 俺は覚えている……。リズールを購入した時にいた残りの2人の片割れだ。つまり、1ヶ月以上売れ残りだったことになる。売れ残りがあんなに礼儀正しいはずがない! 奴隷商人は死んだな……。俺には関係ないが……。クラス〈殺人鬼〉をなめているのか? レベル75は本当なのに……。

「知っているのかい?」

「あそこにいるリズールを購入した時にちょっとな」

「レベルが上がれば成長するさ♪」

 どうして気長に待てるのに、あんたのクラスは〈殺人鬼〉になっているんだ?



「次回から『青田イカリの回想』で1年ほどお送りするニャ」

 1年間の回想シーンは長いよ……。早く隣の国に行きたいから、1話でも……。

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