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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第4章 新しい命が宿ります。
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第1候補

「コウノトリは『モンスターの友』が高い種族です。優秀なコウノトリの中には〈獣使い〉を目指す者もいます」

 モズラ様が優しく教えてくれる。俺は外の世界の住人だから『モンスターの友』に極振りができたが、ノルターニはそれができない。そしてノルターニの素質は『普通』だ。

「どうしても〈獣使い〉になりたいなら、もう少し〈村人〉のままレベルを上げるか? それとも転職条件を満たすまで、他の職業に就くか?」

「もう少しだけ〈村人〉でいさせて下さい」

 この世界の住人は転職条件を知らないかもしれないが、俺にはわかる。今のままではノルターニはレベル25近くまで転職ができない。それでも本人が望むなら……叶えてあげたい。

「私からもお願いします。ノルターニさんが希望する職業に就くチャンスを与えて下さい」

 フローラが真っ先にノルターニを援護する。おそらくフローラはノルターニのおかげで夢を掴むチャンスを得たから……。

「称号の件とは関係ありません。()()の夢を応援するのは当然の事です」

 フローラの手が少し震えている。立場から考えると、主に意見を言っているようなものか……。

「そうだな。()()ぐらいまでは様子を見るとしよう」

「「ありがとうございます」」

 フローラとノルターニは嬉しさでハグをしている。俺は喜んでいる2人の頭を撫でた。

「フローラの口から『家族』という言葉が出るとはな」

 フローラは白い肌を真っ赤にして俯いた。


「このまま探索を行うよりも〈斥候〉を得た方が効率が良くなるならみんなで戻るか……」

「戻ってから特訓が出来ます」

 エヴァールボはまだいたのか……。他意はない。ケチ臭いが〈脱出アイテム〉が1個無駄にならずに済んだな。

「昼食後1戦だけしてから帰るぞ」

 1戦だけならさっさと戦おうという意見もあったが、早すぎても検証にはならない。


 そして本日最後のテイムチャンス。

「左のスケルトンが青色で光っている」

 別の色とか……。覚える側の身にもなってほしい。

「もう戦意を喪失している気がするニャ」

「たしかに……」

 青ざめたから青色? 骨なのに?

「とりあえず、無視して他を殲滅してくれ」

 戦いはすぐに終わった。


【称号:スケルトンの友達(骨強度上昇(中))を取得しました】

 骨太に近づいた……。

「今回のスケルトン君はギラーフが面倒を見ろ」

「ありがとうございます」


 俺たちは迷宮を出て〈肉の串焼き〉を食べた後は、スムーズに転職作業を行った。

〈プリンセス〉の転職代金は安かったが、口止め料が高かった。そして〈プリンセス〉のクラス特性には『第1候補』と表記されている。



 家に帰るとまだ昼過ぎなのに『食あたり』の状態異常になっている子供たちが倒れていた。

「なにこれ……、あんたはいったい何をしたんだ?」

「お昼ご飯を食べに来たのに、誰もいないから僕が料理をしたんだけど♪ どうしてだろうね?」

 質問に質問で返すな。

「〈薬師〉はいないが……、モズラは何か薬を作れるか?」

「私が毒消しの魔法を使いますが……」

 ビエリアルがちょっと怒っている。1番最初に声をかける相手を間違えたな……。

「すまないが、頼む」

 なんで俺が悪い訳じゃないのに、お願いしないとダメなんだ? 青田は『僕は関係ありません』って態度だ。コイツはいつもこんな感じか……。

 ビエリアルが1人ずつ治していく。


「とうとう〈プリンセス〉になったんだね♪ 準備ができてたら、()()させようか?」

 さすが20年以上生活している人は違うな……。段々移動手段が良くなるのが冒険の醍醐味なのに……。

「一応明後日に()()で出発予定だったんだが……」

「馬車は一緒に転移できないから、()()を登録した使い捨ての〈転移アイテム〉をあげるよ♪」

()()は俺たちの家で、あんたの食堂じゃないぞ」

 俺は突っ込んでいいのか悩んだが言ってやった。意味がないのは知っている……。

「まぁまぁ気にしないで♪ そんなことよりも、きっと今頃は大騒ぎになっているよ♪」

 そんなこと? 俺はもう無駄な突っ込みはしない。

「何の事だ?」

「そこに『第()候補』がいるなら、今までの『第()候補』は『第()候補』になっているだろうね♪」

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