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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第4章 新しい命が宿ります。
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同士討ち

 コーシェルはスケルトンの攻撃を避けた時に後ろから体を掴んで、指揮権を奪うようだ。

 俺が考えていた戦術もそれだが……。

「あとはサソリを攻撃するだけですが……、位置が離れていますね」

「助けにいかなくていいのか? 段々囲まれているぞ」

 ギラーフなら周りの敵を倒しながら後ろにスケルトンをくっつけて、サソリの場所まで引っ張るんだろうが……。

「さすがにあれは危険ですね」

 コーシェルでは少し足りなかったか……。


 ギラーフが『退却』のジェスチャーをすると、コーシェルはスケルトンから離れて戻ってきた。

「ただ倒すだけならできるんですが……、難しいですね」

「ギラーフ手本を見せてこい」

 俺は代わりにギラーフを向かわせたが、スタートの時よりも中央に敵が集まっていて、思うように近づけていない。

「少し敵を散らせるか……、リズは敵の真ん中に火の魔法を放ってくれ」

「はいニャ~」


 リズさん……、いつもより火の勢いが強いんですけど……。俺の中では『蜘蛛の子を散らす』ように驚かせるだけで良かったんだけど……。

 リズの魔法は中央にいた7体を一気に火炎の渦に巻き込んだ。

 その中には(くだん)のアリクイもいた……。


「目的のアリクイまで倒してどうする」

 俺はリズをゲンコツした。

「ごめんなさい」

「巻き込まれなくて良かったです」

 ギラーフはそこを目指していたからな……、そりゃ苦笑いだよな。


「それにしてもいつの間に火の魔法が中級になっていたんだ?」

「魔石に魔法を込めていた時になったニャ。これからは一気に魔石に魔法を入れられるニャ」

 なんだろうか……。魔石の許容量をオーバーして爆発する未来しか思い浮かばない。

「却下だ。これまで通り初級火魔法で込めてくれ」

「……はいニャ」

 リズは人の話を聞かないから平気で中級魔法で込めそうだな……。

「爆発したら赤ちゃんも死ぬからな」

 急にリズの顔が真っ青になった。リズは子供の話が絡むと真面目に話を聞く。

「わ、わかりました」


「まずは一気に残りの敵を倒すぞ。リズは中級魔法を放つ時は細心の注意を払えよ」

 首を縦に高速に動かしている。そんなに動かすと首がもげちゃうよ。

 アリクイはテイム出来ても、モンスター屋に売っていただろうからいいか。

 テイムする予定でテイム出来なかったのは二度目か……?



「次の部屋へ行ったらギラーフはコーシェルと反省会をしていてもいいぞ」

「ありがとうございます」


 そして次の部屋に移動すると奇妙な事が起こった。

 またアリクイが光っている。

 今度は少し赤い感じだ。怒っている?

 残念だが、スタート地点が近すぎて、みんなに声をかける前に部位欠損になってしまった。

 そして1つ試したいことができたので、今回のアリクイはスルーしよう。

 俺は久しぶりに次の部屋に移動するのが楽しみになった。


 しかし、俺の予感は外れていた。

 どのモンスターも光ってはいない。

 それでも1つ出来た仮説は『優しい光』→『少し怒った光』→『光の消滅』っと段階を踏んで光の移動が行われる可能性。

 今後の事を考えると何回か試してみる価値のありそうな仮説だ。

「ご主人様が嬉しそうだニャ」

 戦闘が終わったリズが俺の腕に抱きついてきた。そういえば、リズが間違って倒さなかったら確認出来なかったのか……。さっきは怒ってゲンコツをしてしまったが、一応リズの手柄ではあるんだよな。


「さっき間違って倒したアリクイだが……」

 リズがその話はゲンコツで水に流したはずではって顔をしている。

「怒っているわけじゃないから安心しろ」

 安堵のため息が出るほど不安に思っていたのか。

「実はあの次の部屋でもアリクイが光っていたんだ」

「え? でも何も言っていなかったニャ」

 みんなも頷いている。

「言う前に倒されちゃったからな」

「偶々同じモンスターが光っていただけでは?」

 ギラーフが質問してくる。

「そうだな。その可能性ももちろんあるが、発する光の色が違っていた」

「色ですか……」


「ちょっと実験をしてみようと思う。みんなは気にせずいつも通り敵を倒してくれ」

 リズとギラーフからブーイングが起こった。

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