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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第4章 新しい命が宿ります。
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アリクイ

 目隠し戦後の俺たちは口数が少なかった。誰も冗談を言わずに、各々があの芸当を超えるために試行錯誤をしている。

 どうやらギラーフの行動が家族の意識改革に繋がったようだ。


 一部例外はギラーフとコーシェルぐらいか?

 目隠し戦の極意を伝授するのに大忙しだ。


 一方エヴァールボはさっきから熱心に得意分野の『守り方』を教えている。

 どうしても戦いになると攻撃に注目が集まりがちだが、前線を支えたり、誰かを護衛する時は、攻撃よりも防御が重要になる。


「今度先生を入れ替えて指導してもらおうか」

 俺の発言でみんなの視線がギラーフに集まる。

 これは仕方がないな……。あのオドオドしていたコーシェルを一人前に育て上げた技量だけでなく、本人の技量もピカイチで、面倒見がいい。

「攻撃はギラーフ、防御はエヴァールボが担当。俺が大雑把な戦術を教え、モズラが細かい作戦を教えるか」

「わかりました」

 ギラーフが代表して返事をしてくれた。

 分野別に先生を分けるのは、効率化の上では最高だな。最低でも自衛のための訓練はさせたいので、全員エヴァールボにはお世話になりそうだ。


「私の名前が出ていないニャ」

 ちょっと怒っている……、でも残念だがこの件でリズは活躍できない。

「リズは魔法使いだからな。今回は子育てに専念してもらうかな」

 さっきまでトゲトゲしかったのに『子育て』という魔法の言葉で頭がいっぱいになり、すぐにデレデレになった。

 さすが、ちょろイン。


 まずは13階層で昨日進んだ地点を目指す。

 新人組は攻撃を食らいながら、それでもきちんと戦いをするようだ。

 12階層までで練習してくれれば良かったんだけど……。


 13階層のモンスターはこんな感じだ。

[グレムリン]、[サソリ]、[スケルトン]、[アリクイ]、[プラント]。

 魔法使いがいない12階層からは安全に思えるが、実はその分だけ全体数が増える。


 その結果、負担がかかるところが変わる。

「ビエリアル平気か? 12階層から魔法を使いっぱなしだろ?」

「MP回復水がありますから……」

 その割には『困っています』って顔をしているのだが……。

 さっきから前しか見えていなくて危ないメンバーが何人かいる。


「そろそろテイムモンスターを投入して先生方も参戦しよう。ここまでよく戦ってくれた。あとは数が少なくなってきたらお手伝いを頼む」

 予想以上に戦力の温存ができた。


 ここまで戦力を絞らないと21人と18体のテイムモンスターと従属の大所帯では敵の取り合いで戦う相手がいなくなる。


 新人組もあと数日間、縛りがある状況下で繰り返せば立派な戦力になってくれるはずだ。

 それがわかる程度には今日の1日でみんなが成長してくれた。

 ミーナは今日の特訓をやめて、踊りに専念をするようだ。


「中央のアリクイが光っている。でも、いつもと……」

 具体的に何が違うって表現しにくいが、いつもより優しい光と言うのか?

「食べ物を提供しようにも『アリクイ』だからな……」

 視線が自然と……。

「アリ君は食べさせませんよ」

 それは言われなくてもしないから……、ただ……テイムしても仲良くできるのか?


 それよりも今はどうやってテイムするかだな……。

「ギラーフ、難しい注文だが……」

 ギラーフの目が今度はどんな難題だろうなっとキラキラしている。

「スケルトンの攻撃を利用してサソリを分解し、分解したサソリをアリクイに食べさせろ」

 ギラーフがキョトンとしている。

「え~っと、ドロップになるだけじゃ?」

「蜘蛛をテイムした時に、モンスターを生きたまま蜘蛛に食べさせただろ? あれの応用だ」

 モンスターの同士討ちをさせた場合はドロップにならず捕食する事ができる。

「理屈はわかりましたが、どうやれば……」

「自分で考えてやってくれ。無理ならアリ君を提供するだけだ」

 しないけど……。

 ギラーフが悩みだした。


「私がやってみたいです」

 コーシェルが師匠の代わりに名乗りを上げた。

「んじゃ思い付いたのを試してこい」

 顔が色々試したいことがあってワクワクしている。どうやらまずは一番近くのスケルトンを狙うようだ。


 さて、ギラーフさん。

「なぜ自分で行かなかった?」

「やはりバレていましたか……」

 ギラーフの顔がとても満足顔だ。

「なんとなくな」

 弟子の自主性を伸ばしたくて芝居するとか、ギラーフも変わったな。

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