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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第3章 みんなの装備を作ります。
50/171

子供の成長

 久しぶりの階級ボスか。


 12階層に徘徊するボスは[ジャイアント岩スライム]のようだ。


 そして光っているモンスターがいる!



 ……。



 そんなご都合主義で進まないよな……。



 後ろに隠れている岩スライムが光っている。





 ただ……。俺の予想では……。

「巨大スライムの裏に隠れているスライムが光っている。親子の可能性がある。親を倒すとテイムできないかもしれない、まずはゴーレム先生が親の方の時間稼ぎをしててくれ。他の者はできるだけ早く周りの敵を掃除するぞ」


 ゴーレム先生は巨大スライムの回転攻撃をその身を使って止めている。反撃はしていないようだ。それでいい。


「ビエリアル。定期的にゴーレム先生を回復してくれ。ダメージは食らっているはずだ」

「わかりました」


「こんなことなら、ゴーレムちゃんとおそろいの〈鉛板の鎧〉を用意してもらうんだったな」


 ダブルは姉妹が封殺してくれる。



 やっぱり階級ボスが邪魔をしてテイム作業ができそうにない。

 回り込もうとすると親が邪魔をする。守っているような動きだ。


 俺はドロップしたばかりの〈鉛鉱石〉を子スライムのいる奥の方に向かって投げた。


 おもっ。砲丸投げをした気分だ。


 全然届かなかったが、親の方が鉱石を食べ始めた。


「ギラーフ、カバンに入っている〈鉛鉱石〉を全部巨大スライムを囲むように配置して来い」

「わかりました」

 ウィンクされた……。まだ酔っているのか? もうデレデレモードを隠す気がないだけか?


「おう。がんばってこいよ」

「成功したらまた一緒に飲んで下さいね」



「わかった、ジャイアントがテイムできたらな。〈ガラス鉱石〉は配置するなよ」

「わかってますよ。ウリボー君いくよ~」


 ギラーフの場合、自分で走った方が早いんじゃないのか?


 親の周りに配置された鉱石を隠れて食べている子スライム。


 子スライムの体表が鉛色に変化しているのだが……。まさか……。食べた鉱石で岩が変化するのか?


 親を見ると、うっすら変色箇所がある。大きさの違いで変化の速度が違うだけだろうな。


 子スライムは警戒心を解いたのか、親の後ろから出てきた。俺が手招きすると。


【称号:スライムの親友(衝撃耐性(中))を取得しました】

 友→友達→親友か。確かに友達度合いが上がったな。


・岩スライム(♂/普通/10)


 さて、俺の目的はここからだ。

 子をテイムしたことで、どうなるのか……。


 その前に……、テイムモンスターが上限の4体だから。

「リズに『オーガ君』の主人を譲る」

 発言することで、ゲーム的ではあるが、システムが認識する。テイムした直後なら『誰のテイムモンスターにする』でもいいのだが……。

「はいニャ~」


 これで枠が空いたことにより、テイムできる確率が発生するはずだ。




 ダメか……。




「岩スライム君、あの大きいのは君の親で間違いないかな」

 縦(進行方向)に転がったな……。縦に首を振ったということか?


「親子を引き離したくはないんだが、一緒に来てくれないだろうか」

 俺はダメ元で親スライムに声をかける。


 今まで鉱石を食べるのに忙しくて子スライムが移動していたことに気が付いていなかったようだ。


 俺と子スライムを観察している気がする。





 そして次の瞬間。





 親スライムが点滅をした。





 テイムしたければ、実力を示せってことか。



「条件はそろった。テイムイベント戦闘だ。全力でいくぞ」

 ただし、問題がある。すでに親スライムの大半が鉛色をしている。


 どうやら親スライムは一切攻撃をしてこないようだ。


「武器が壊れたらすまん。また作り直してくれ。リズは火の竜巻、モズラは火炎瓶。そして熱されたら今度はリズは水、リアラは凍らせろ。冷えたところを石柱君が連続投擲だ」

 これは金属を焼き戻して脆くするというのを利用する。


 鋼よりも鉛の方が強いか……。

「1回じゃダメだ。もう1度だ。今度はオーガ君とオーガさんが鉛のハンマーで殴ってくれ」


 俺が状況を見守っていると、子スライムが『僕が突撃するよ』ってアピールしている。


「親に実力を見せ付けてこい」


 オーガ君とオーガさんの鉛のハンマーでは表面を凹ませる程度だったが……。

 俺の〈モンスターの友〉と称号補正が効いている子スライム君の弾丸が見事親スライムにヒビを入れた。


【称号:大岩スライムの友(岩山能力上昇(中))を取得しました】

 テイムイベント戦闘だったので、新品の[ジャイアント岩スライム]がテイムできた。鉛……。


・ジャイアント岩スライム(♀/良い/10)


 親を大岩さん、子を岩小僧と呼ぼう。そして疑問が浮かんだ。


 この大岩さん、どうやって妊娠したんだ?


 普通に考えれば、大岩君がいることになるよな……。つまり徘徊しているボスは()()()()いるのか?

 同時に会わなければ大した問題ではないか……。


 次の疑問は、岩小僧は成長したら親と同じ姿になるはずだから、レベルが上がると岩小僧も大岩君になるのか?

 他の岩スライムと違いがなさそうだけど……。それとも全てのモンスターはジャイアント化できるのか?


 疑問が一気に増えたな。




 そして俺はこの世界の裏技が1つ確信に変わった。




 大岩さんは鉱石を25個食べると完全に変身できるようだ。


 これからは鉛の球が戦場を転がる。(大サソリさんの銅球は直径3m、大岩さんのサイズは直径5m)


 どちらも一長一短だ。

・大サソリさんの方が遠心力が効くからスピードが出る、攻撃の切り替えしが早い。

・大岩さんの方が大きいから破壊力がある。


 この町を拠点にして戦っている場合には鉛鉱石は自給自足でいいが、迷宮都市に戻ると……。


 4大スターになるかと思ったが、これは諦めないとダメか……。





 俺たちは探索を進め、13階層の階段の部屋で昼食にした。

 サクランボがいるせいで、事前に料理ができないため、出来上がるまで俺はエヴァールボに拘束される。


「それでは2人だけでゆっくりしましょうか。汗のにおいでも嗅ぎますか」

 エヴァールボからは確かに甘いにおいだけじゃなくて、少しだけ汗のにおいもする。リズの甘いにおいには免疫があるのだが……。理性が削られる。

「〈サルの毛皮〉で裏地を作れば汗はそんなにかかなくなるので、汗のにおいは今だけですよ」

 エヴァールボの耳打ちは悪魔の(ささや)きだ。


『左腕』のアンジェは現在料理中。

 昼食が始まればリズの番なので、実質タイムアップである。


「新しい防具はどうですか。私が先に試着しておきましたよ」

 オイ!

「やっとこちらを向いてくれましたね。そんなに焦らなくても、きちんと歪みがないか試しただけですよ」

 罠だったか。今までがんばって平常心を装って前を向いていたのに、思わずエヴァールボの方を見てしまった。


「そんなに私がお嫌ですか? こんなにおしたいしていますのに」


「でもこの町に来るまでは普通だっただろ。急にどうしたんだ」

「もちろん、この町に来る以前から、ご主人様には感謝しておりましたが、迷宮化の時に惚れました。命を投げてでもお守り致します」

 エヴァールボにキスされた。


「もう時間切れですね。今度は夜伽にでも呼んで下さい。私はいつまででもご主人様を待っています。あ、そうそう辛そうでしたので、下半身は広く作っておきました」

 最後に爆弾を落としやがった。




「やっと昼食ですニャ~。ご主人様にスリスリできますニャ。会えない時間が愛を育みますニャ」

 リズが俺の分の昼食を持ってきて、横に置きながら、一気にまくし立てた。会えない時間って一緒に迷宮にいたよね?


 俺はリズに鎧を脱がされた。

「これがあるとスリスリが半減します。邪魔です」


 目が本気だ。拒否する選択肢がない。

 リズってここまで1秒1秒を全力投球だったか?


 料理が出来上がる前にテイムモンスターたちの水を作り終えたので、自分で食べられるはずなのに……。


 俺は股の間にリズを挟んで、後ろから子供に食事をさせるみたいに食べさせる。


「もう少し冷まして欲しいニャ~」

 リズは目の前のスープにふーふーしないで、俺の顔にふーふーしてくる。


 俺はいつの間にか召使いになったのか?

「ご主人様のは私がふーふーするニャ~。はい。あーん」


 食べさせてもらうと嬉しいな。自分で食べた方が何倍も早いのだが……。

 これはこういう食べ方の料理だと思うことにしよう。


 リズも寂しかったんだな。胸の谷間にご主人様人形がいる。


 食事が終わると2人で寝転がった。床に寝ると汚いとかって感覚は()うの昔になくなった。


「ご主人様の手は幸せの手ニャ~。ご主人様のにおいは幸せのにおいニャ~。ご主人様は幸せの象徴ニャ~」

 何だその新しい3原則みたいなの。


 俺は力強くリズを抱きしめた。

 リズは一瞬だけビクッとなるが、力を抜く。

「少しだけ苦しいけど、これで夜までご主人様と離れていても大丈夫そうニャ~。ありがとうニャ~」

 いつの間にかリズは涙を流していた。


 もしかしたら、俺は迷宮探索をしないで、家で家族とゴロゴロ過ごしていた方が幸せなのだろうか?


 それはないな。もし、そんなことをしていたら、おそらくこの町の住民は避難民になっていただろう。


「これからも寂しい気持ちにさせると思うが、俺に付いてこいよ」

「当たり前ニャ~。心も体もご主人様と共にあるニャ~」




「それでは午後からのジャンケンを始めますよ~」

 ギラーフが仕切るらしい。


「先ほどの2人は残念ですが、ジャンケンに参加できません」

「「ぶ~」」

 2人ともわかっていたのか、笑っている。


「ご主人様、急用ニャ」

 リズは急いで飛び起きたせいで、豪快に転んで俺の顔の横に倒れた。


 そこには丸見えのお尻があった。


「いたた~。キャ」

 俺はリズと目が合う。


「急がなくていいのか」

「今は急用ニャ。パンツを見られるぐらいどうってことないニャ」

 淑女を目指しているんじゃないのか。本当にお尻の部分に俺の顔が描かれていた。座ると俺の顔が踏まれるな。


 午後の争奪戦の末、選ばれたのが。

「勝ちました!!!コーシェル、私勝ったよ。『右腕』だよ」

 みんなが拍手をしている。勝ってここまで騒いだ者はいなかったな。


、右腕は『ウーリー』、左腕は『リアラ』だ。




「これは勝負の結果です。仕方ありませんね。午後からは私が『左腕』として尽くさせて頂きます。やり方はエヴァールボさんに教わりました」

 一番危険な人に何を吹き込まれた。


 エヴァールボを見るとウィンクされた。何か仕込んだな……。


「ウーリーさん、相談なんですが、2人同時ではおもしろくありません。時間を分けて1人ずつたっぷり過ごしませんか。夜は長いですよ」

 リアラの視線が何度もエヴァールボの方に向いていた。エヴァールボも頷いている。


 どうやらこれが、作戦の第1段階のようだ。


「それは面白そうですね。私も2人っきりの方がしやすいですし」

 ウーリーが頬を染めている。


 ウサギって確か……。これってまさか俺の身が危険じゃないか?


「夜伽関係はなしだからな」

 2人を近くに呼び寄せて声をかけてやる。

「「ええええええええええええ」」


 やっぱり2人ともそれが目的だったのか。

「旦那様、夜組みはみなさんそれが目的ですよ。何のためのジャンケンだと思っているんですか」


 リアラは自分のことをもっと大切にした方がいいと思うよ。


「私はすでに旦那様に一生を捧げると決めています」

 チラッ。


「私には魅力がないのでしょうか」

 エヴァールボを見たあたり、ここまでは想定内だったか。さすが策士だな。

 まだ手の上か……。


「3人で仲良く行動しような。よし、お昼休憩は終了だ。アンジェちょっと来い」

「はい」


「午前中の最後の時間を一緒に過ごしてあげられなくて、悪かったな。今日も美味しい料理をありがとう」

 俺はアンジェの頭をなでた。



「これからもがんばります」

 アンジェはこの日一番の笑顔を見せた。

――――ステータス――――

 名前 緑野赤

 種族 人間

 性別 男

 素質 天才

 クラス 獣使い(村人)

 レベル 20(1)


 HP 240/240(+10)

 MP 0/0(+10)

 SP 130/430(+10)


 筋力 5(+12)

 体力 5(+3)

 素早さ 5(+6)

 かしこさ 5(+3)

 モンスターの友 120(+5)


 残りポイント 0

――――――――――

 クラス特性

・モンスターをテイムできる。

・獣系のモンスターのテイム確率上昇、また獣系のモンスターの能力上昇(上昇率はレベル依存)。

――――――――――

 称号 ※章の最後に記載

――――――――――

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

・鋼の剣/丸鉄の盾/鋼の軽装鎧+1/なし

――――――――――

 所持金

・13万5266モール

――――――――――

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

・パンダ(♂/良い/20)

 武器:鉛竹槍+1

・ジャイアントサソリ(♀/良い/19)

 武器:銅球

・ジャイアント岩スライム(♀/良い/10)

 武器:なし

 従属:岩スライム(♂/普通/10)

――――――――――



――――――――――

 奴隷 ※名前(種族/性別/素質/クラス/レベル)

★リズール(ネコ族(ラグドール種)/♀/普通/魔法使い/19)

 魔導の杖/なし/軽装の鎧/お守りのリボン

・ゴーレム(♂/普通/19)

 武器:鉛のメリケンサック+1

・ブルースライム(♀/良い/19)

 武器:鋼のキバ+1

 従属:ミニスライム(子供)×8匹

・オーガ(♂/普通/19)

 武器:鉛のハンマー+1


★ギラーフ(リス族(シマリス種)/♀/普通/盗賊/19)

 鋼の刀+1/丸鉄の盾/軽装の鎧/なし

・石アント(♂/普通/16)

 武器:鋼の槍+1

・石ウリボー(♂/普通/13)

 武器:なし


☆モズラ(ヒツジ族(サウスダウン種)/♀/普通/錬金術師/19)

 自動装填ハンドボウ(SP使用)/なし/軽装の鎧/なし


☆ビエリアル(レッサーパンダ族(レッサーパンダ種)/♀/普通/聖職者/19)

 聖導の杖/なし/軽装の鎧/なし

・オーガ(♀/普通/18)

 武器:鉛のハンマー+1

・ハムスター(♂/普通/18)

 武器:鋼のキバ+1


★エヴァールボ(ハリネズミ族(パイド種)/♀/大器晩成/鍛冶師(ハリネズミ)/14(14))

 鋼の大剣+1/鋼の盾/鉄の鎧/なし

――――――――――



――――――――――

 同居人

☆ミーナ(人間/女/良い/村人/15)

 短剣/木の盾/皮の服/なし

・石タートル(♀/良い/12)

 武器:なし


☆エリス(人間/女/普通/村人/15)

 短剣/木の盾/皮の服/なし

・石ビートル(♂/普通/12)

 武器:なし


★アンジェ(人間/女/普通/料理人/15)

 鋼の包丁+1/丸鉄の盾/軽装の鎧/なし

・魔法使い(土)(♀/普通/15)

 武器:鉄のステッキ


★フローラ(ユニコーン族/♀/普通/神聖術師(ユニコーン)/14(15))

 鉄のステッキ/なし/軽装の鎧/なし


☆キーリア(サル族(リスザル種)/♀/普通/村人/15)

 短剣/木の盾/皮の服/なし

・フェアリー(♀/普通/15)

 武器:鉄のステッキ


★リアラ(オオカミ族(ツンドラオオカミ種)/♀/普通/氷結術師(ツンドラオオカミ)/14(15))

 鉄のステッキ/なし/軽装の鎧/なし


★ナイラ(オオカミ族(ツンドラオオカミ種)/♀/普通/氷狼(ツンドラオオカミ)/14(15))

 鋼の剣+1と鋼のナイフ+1×10本/丸鉄の盾/軽装の鎧/なし


☆ウーリー(ウサギ族(ホーランド・ロップ種)/♀/普通/村人/14)

 短剣/木の盾/皮の服/なし

・石柱(♂/普通/15)

 武器:鋼の槍+1(投擲用)


☆コーシェル(タヌキ族(エゾタヌキ種)/♀/普通/村人/15)

 忍刀/木の盾/皮の服/なし

・ゴーレム(♀/普通/15)

 武器:鉛のメリケンサック+1

 防具:鉛板の鎧+1


☆クラリー(ドワーフ族/♀/良い/村人/12)

 鋼の斧/なし/皮の服/なし

・石ザル(♂/普通/12)

 武器:なし


☆スオレ(イタチ族(アンゴラフェレット種)/♀/普通/村人(アンゴラフェレット)/1(1))


☆リオーニス(イタチ族(アンゴラフェレット種)/♀/普通/村人(アンゴラフェレット)/1(1))


☆ケーレル(マングース族(ミーアキャット種)/♀/普通/村人(ミーアキャット)/1(1))


☆ノルターニ(鳥族(コウノトリ種)/♀/普通/村人(コウノトリ)/1(1))

――――――――――

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