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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第3章 みんなの装備を作ります。
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身体測定

「服は着たままで大丈夫ですよ」

 エヴァールボがみんなが服まで脱ごうとしているのを止めた。


 なぜ、止める?


 俺の前には鎧を脱いだ女の子が並ぶ。


 エヴァールボがこっそり耳打ちをしてくる。

「鎧のサイズを決めるためなので、裸じゃなくて残念ですね」


 やっぱりそんなオチだったのか……。



 エヴァールボが正面、俺が背中で数字を読み上げるだけの簡単な作業だ。


 簡単な作業なはずなのに……。


 髪の長い人が測りやすいように髪の毛を退けてくれた時のうなじが……。


 そして1人ずつ違う。甘いにおい……。


 俺は煩悩を捨てて、1人ずつ測っていく。




 新入りのクラリーが一番巨乳だった。

 大きければ良いという問題ではないぞ。


 ダメだ。ダメだ。煩悩を捨てなくては……。


 そして最後はエヴァールボを測る。

「自分では測りにくいので、お願いします」


 俺は俺の仕事をするだけだ。


「これで全員測ったな。それでは……」

「まだご主人様のを測っていませんね」


 自分のをすっかり忘れていた。


 エヴァールボが俺のを測ってから気が付いたが、エヴァールボが1人でやった方が早かった……。




 これから休憩明けの1戦だ。


「それじゃ最後に1戦してから帰るぞ」

 みんなが鎧を着たので移動する。



 時間をおくと、光っているモンスターがいる確率が高い説は正解に近いのだろう。


 どのような原理か全くわからないので『近い』という表現にしておく。


「左の奥の蜘蛛が光っている。リズはあれだけは焼くなよ」

「わかったニャ~」


 リズなら間違って焼きそうなのだが……。


「ギラーフ、クラゲを1匹だけ蜘蛛の巣にひっかけてくれ、可能なら生きたままだ」


 モンスターで餌付けが成立するのかわからないが、餌はモンスターでもいいだろう。


 新しい発見があった。モンスターはモンスターを倒せる。でもドロップはない。

 蜘蛛が大人しくなったので、テイムした。


【称号:蜘蛛の友(蜘蛛の巣耐性(小))を取得しました】


 蜘蛛は苦手なので、すぐにモンスター屋で売った。


 ついでにステータス表示し忘れていた、サンドマンの♀の件を確認すると「いるに決まってるだろ」と言われた。

 英語という概念ではなくて、モンスター名として認識されているから、そもそもなんでいないと思ったのか不思議がられた。




 サル君が参戦したから、テイムモンスターが16体になった。


 3つの馬車と1つの荷馬車で乗れるのだろうか?



 俺たちがモンスター屋から出ると、先ほど迷宮都市から冒険者を乗せた馬車が到着したらしい。


 今は冒険者ギルドで情報を集めているそうなので、俺とリズとギラーフの3人で行くことにした。

 なぜかウリボー君が付いてきて、背中にギラーフを乗せてご満悦になっている。

 ギラーフは振り落とされないようにしがみ付いている。これは……、わざと揺らしているな。


 リズもそんなギラーフとウリボー君を羨ましそうに見ている。

「リズも乗りたいのか」

「大丈夫ニャ。なんだか顔がエロいニャ」

 後半は耳打ちされた。


 あのウリボー君のにやけきった顔はエロい顔に見えるのか。実際正解なんだろうが……。

「リズは俺の手が最高だもんな」

「お願いしますニャ~」


 これは焼き餅だろうか?


 俺はリズをなでながら歩く。




 冒険者ギルドで暇そうにしていた人に話を聞くと。


 まず夜のうちに迷宮都市を出発したので、野営を2回行ったらしい。

 普通は夜が一番危ないので、回数を減らせるように朝方に出発する。


 旅の冒険者は野営になれているため、なんともないらしい。


 俺たちは順番に昼寝をしていたのに……。


 〈盗賊〉〈聖職者〉を中心に〈魔法使い〉や〈商人〉もいる。


 さすが商人。商売のにおいがしたかな? 武器や防具以外なら飛ぶように売れるだろう。

 しかも片道とはいえ、冒険者と一緒に移動してきたのだ。護衛代いらず。


 これだけ頭が回らないと商売はできないのだろうか……。





 そして〈オークの肉〉が売値の倍の300モールだ。高い……。





 でも迷宮でがんばっている家族や、御者を練習している家族に肉のないスープを食べさせたくはない。


 8回分の〈オークの肉〉を購入した。迷宮都市でも3階層までとりに行くのは、何気にきついんだよな……。


 商人から食料を補充していると冒険者たちの情報収集が終わったようだ。




 ステータスを見るとレベル10ぐらいまでが大半だ……。


 鉄中心の装備。ここに来た当時の俺たちみたいだ。


 危険なのは迷宮都市と同じ考えで6階層とか11階層に行かれるパターンだが、現在この町で上の階層にワープできるのは、おそらく俺たちとあの男ぐらいだ。


 これはモンスターがレベル10になると変化する情報はまだ必要ないだろう……。



 どうやらまだ昼時だから腕試しに行くらしい。


 3人から5人パーティが7組ぐらい出来上がった。どうもバラバラに行くようだ。これは迷宮都市の感覚だな……。


 正直5人パーティ程度じゃ無理だろう。俺も迷宮都市ならこれでも余裕だと思うが。迷宮化をなめている。


 無駄死にする可能性があるが、どうしたものか……。こういうのは言っても反発されるだけなんだよな……。


「ギラーフすまないが、宿に戻ってみんなにもう1度迷宮に行く準備をさせてきてくれ」

「わかりました」


 ギラーフはなぜこの状況を楽しんでいるのだろうか……。


「もう少しだけ状況を見てから俺たちも宿に行くぞ」




 5分ぐらいするとギラーフが戻ってくる。ウリボー君ががんばって走ったらしい。

「すぐに出発できます」


「せっかく戻ってきてもらったが、1度宿で作戦会議をする」





「午後から休憩にしたのに、また迷宮に入ってもらう。エヴァールボは鍛冶に戻ってていいぞ」

「わかりました。何かあったのですか」


「迷宮都市から来た冒険者が、ここに来た時の俺たちの状況に似ていたんだ」

「それは危ないですね」

 エヴァールボもこの状況を笑うのか。そして興味がなくなって、さっさと鍛冶に戻った。


「どうやらこれから腕試しに行くのは3組だ。それぞれのパーティにこっそり護衛をしてもらいたい。行くのは1階層だ」

「パーティ構成はどうしましょうか」

 ギラーフは楽しそうだな。


「あまりゾロゾロ行くと目立つからな……」


1:俺、リズ。

2:ギラーフ、モズラ、ビエリアル。

3:リアラ、ナイラ、ウーリー、コーシェル。


「今回は速度重視だ」

「わかりました」


「もう時間がない。見失ったら大変だ。行くぞ」




 迷宮前でまだ準備をしていたようで、一安心した。




 護衛するパーティを決めて、迷宮に入るのを待つ。



 まずはギラーフの班か。


「それではお先に行ってきます」

 ウリボー君の背中に乗って遠足気分だな。モズラとビエリアルは頭を下げてから行った。


 2分後に俺たちの番が来た。

「俺たちも行くか、最初の班が正規ルートだろうから、俺たちからは団体戦だろう。がんばってくれよ」

 みんなが頷いたので出発する。



 1階層に着くと、最後の1人が[西]に入るところが見えた。


 無理そうならすぐに入口に戻ってくるだろうから少し待ってから動くことにする。


 15秒ぐらいでやっぱり1人目が逃げてきた。

「助けてくれ~」


「リズ行くぞ」

「はいニャ~」


 モズラからHP回復水をもらっておいたが、ビエリアルを入口に待機させておけば良かった……。


 まさか20秒で骨折している人が出るとは思わなかった。


[石スライム]、[石ワーム]、[石トカゲ]。

 いつもの敵の強さから考えたら、たったの15体だ。


「パンダ様は人命を優先してくれ。敵の殲滅はゴーレム先生とオーガ君に任せる」


 いつものように合成魔法を使おうとしたリズをネコ掴みで中断させる。


「合成魔法はダメだ。バレたらどこかに連れて行かれるぞ」

 リズに耳打ちをした。合成魔法が当たり前な子は世間を知らなくて困る。


 リズは涙目で、この世の終わりのような顔になるが……、絶望を感じる前に魔法で戦ってくれよ……。


 リズが戦意喪失したので、俺も〈鋼の剣〉でスライムを1体斬った。


 今の俺たちなら2分もかからない。


「大丈夫か。とりあえず、応急処置でこの〈HP回復水〉でも使ってくれ」

 骨折したのが、聖職者とは……。痛みで気を失っている。


 治療とこの状況の話し合いで10分を使ってしまった。


 1階層の階段に戻ると、残りの2班も冒険者を保護したようだ。






――――――――――


 冒険者ギルドの話題の大半はギラーフだ。


 颯爽さっそうと現れて窮地きゅうちを救った女盗賊。



 ウリボー君に乗ったまま無双したらしい。お前はどこの戦国武将だ?




 そして密かなファンを作ったのは聖女ビエリアル。


 まだ若いのに骨折を治すほど神に愛された女。




 リズにもファンが1人できた。

 戦場でネコ掴みをされてダラーンとなっていた姿が愛くるしかったようだ。


「不本意ニャ~、私はご主人様だけいればいいニャ~」

 なぜかご機嫌ナナメだ……。



 エヴァールボは鍛冶を中断して冒険者ギルドで興奮していた。



 モズラは早速、迷宮前でシートを広げて路上販売を始めた。この町では路上販売をしている者などいないのだが……。許可は俺が町長にもらった。

 売る物は俺たちが使っていた銅鉾や刃を潰した剣、回復水やエヴァールボが作った対石用の装備品だ。路上販売組はもちろん強制参加だ。



 冒険者が来たことで、俺たちが一番得をしたのではないだろうか? 金額的な話ではなくて、恩を売るという形で。



 ギラーフの活躍のおかげで、死者を出すことなく、1階層でもきちんと準備をしないと危険な迷宮だと広めることができた。


 ギラーフは注目を浴びるのが好きだからな。アイドル向きだよな……。


 明日からの探索はドワーフを入れて15人規模のパーティで探索するそうだ。


 俺は最初からドワーフに盗賊や聖職者を入れるために、迷宮都市に依頼を出したはずなのだが……。





 その日の夜、俺は今日の活躍を労うためにギラーフに酒を注いだ。


「私を酔わせて何をする気ですか」

 左腕に抱きつきながら上目使いで言われるとドキッとする。


「冒険者ギルドに危険を知らせることができたのは、ギラーフが呼びかけてくれたおかげだ。これで死者は抑えられるだろう」

 なぜかギラーフがため息を吐く。


「夜伽なら酔わせなくてもしてくれるだろう」

 俺はギラーフの頭を優しくなでてやる。


「お酒よりも夜伽にお呼ばれしたかったですね。今日はヤケ酒させて頂きます」


 ギラーフはどこまで本気なのやら……。







 今日は私が次回予告をするニャ~。



「次もお楽しみに」





 それ次回予告じゃないし……。

※次はこの話のパラダイス版です。卑猥な表現がありますので、苦手な方は飛ばして下さい。


 路上販売の売り上げで所持金が5万程増えたぐらいなので、省略します。

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