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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第2章 少女たちを雇います。
30/171

戦い前夜

 モズラとアンジェは朝からご飯の支度だ。


 俺にはアンジェがきちんと仕事をしているか確認する義務がある。


 アンジェはきちんと起きてモズラと楽しそうに料理をしていた。


 味見という名のつまみ食いが多いから、アンジェはすぐに肉付きがよくなるだろう……。

 他の子もおかわりをたくさんしていたから同じかもしれないが……。


 痩せている子を見ると切なくなるから、早く標準体重ぐらいにはなってもらいたいものだ。



 楽しそうに会話をしながら料理を作っているのを確認したから、俺は二度寝をすることにした。


 迷宮に行くわけじゃないから、朝から体を作っておく必要はない。



 朝食前にはリアラとナイラ姉妹はテイムモンスターの世話を終わらせていた。

 キーリアは庭のミントに水やりをしてきたそうだ。


 それぞれ自分の仕事をこなしているようだ。




 朝食の時にモズラが路上販売を始めたいと言ってきたが、昨日の今日で売るものがあるのだろうか?

 昨日も今日も迷宮に行かないので、回復水が400個以上も余っているらしい。(ビエリアルが使うMP回復水を除いて)



 いきなりミーナとエリスとキーリアの3人にさせても無理だろうから、今日はモズラを加えてやるそうだ。


 朝から迷宮付近にいれば、迷宮前の人にアピールできるだろう。(事前に準備をしておくのが基本)



 俺も何人か連れて、3階層と6階層で今夜の肉の調達でもしようかな……。


 迷宮の同行の希望を聞くと、それが荷物持ちの仕事だと思ったのか、みんなが手を上げる。

 リズまで手を上げている。


 リズが涙目で置いて行かないでっとアピールしている。


 路上販売に行かない残りの9人で行くことにした。2パーティで5人と4人で組むことになった。





 パーティ構成は。

 俺、リズ、リアラ、ナイラの4人パーティ。

 ギラーフ、ビエリアル、エヴァールボ、アンジェ、フローラの5人パーティ。




 このゲームではパーティを組む他に、パーティ同士をくっつける組み方が存在する。


 迷宮で使われることはほぼないが、ゲーム時代ではフィールドでドラゴンと戦う場合には使われていた。


 1パーティが6人まで、4パーティをくっつけて、24人パーティ構成まで可能。

 それにテイムモンスターが加わると200体規模の戦力になる。


 パーティをくっつけていないと、経験値が奪い合いになるだけだが……。


 どうせ一緒に行動するので、パーティ編成を俺と少女たちで1パーティ、子供たちで1パーティの分け方にしようか悩んだが(俺の補助がパーティ内にしかかからないため)、3階層や6階層に補助はいらないだろうという結論になった。


 どうもリズが死にかけてから、迷宮に行くのが不安で仕方ない。今回はリハビリ感覚に等しいかもしれない。



 「こちらも5人パーティなのに、失礼ニャ~」

 とか言っているが、どうせ5人目はご主人様人形(2代目)だろうからスルーしておいた。





 迷宮に行く前にお風呂の増築をお願いした。

 石材が余っていたので、それを優先的に使ってもらえるように交渉したら、安く、早く仕上がるとのこと。


 下手したら今日中にできるかもしれないそうだ。

 ※本来は材料調達に時間がかかる。





 そして俺たち9人はモズラの露店でサクラをしてから迷宮に行った。


 去り際、5人ぐらいが並んでいたから注目は集められたようだ。




 迷宮の1階層は相変わらず人が多くて狩りになりそうにない。


 この分ならさっさと3階まで行った方が良さそうだ。


 ピクニック気分で歩く俺たち古参組みと、気が気じゃない新人組み。

 そして先頭を歩くのは我等が2大スター。


 そもそも3階層で俺たちに出番があるのかすら、怪しい……。


 おそらく久しぶりの(ドロップ)拾いと、バッター(2大スター)の関係になるだろう。


 3階に到着してやっと団体戦ができるようになった。





 今回は3階層のオークの肉。6階層のクックーの肉が目当てだ。

 2階層のラビットは人が多すぎて狙えない。


 「可能ならオークが叫ぶ前に封殺してくれ」


 開幕の狼煙はリズの火魔法からだ。


 「オークを中心に倒していくニャ~」


 あれ? こんなに簡単に倒せたか? 全部の敵を1撃で倒しているぞ?


 ギラーフはまだ敵を攻撃するチャンスがあったけど、エヴァールボに関しては装備が重くなったので、敵に近づく前に戦闘が終わっている。


 子供たちも初めての団体戦で緊張していたのに、波が砂を飲み込んでいくみたいに敵が消滅していって言葉がないようだ……。


 「え~っと。みんなでドロップを拾うか……。俺も含めて3階層は暇だからな……」


 10回ぐらい団体戦を行ったが、3階層にくるまでの方が時間がかかったと思う。

 1度〈脱出アイテム〉で外に出て〈フェアリーの羽〉をモズラに渡して再び迷宮に入る。〈フェアリーの羽〉は〈脱出アイテム〉の素材。






 6階層から入り直して、今度はクックーの肉のために、マンドレイク封殺作戦を開始する。


 6階層の団体戦は、隣の部屋から行えるので、とても近い。




 3階層に比べるとやはり戦闘時間がのびるようだ。


 それでもマンドレイクさえ封殺してしまえば、特に怖いことはない。


 念のため俺は子供たちを守っているが、必要ない。リズは遠距離攻撃だからリズも子供たちの近くにいる。

 シャドーは影のまま移動してきたから発見が遅れて、不意打ちを食らっただけだ。


 攻撃を食らっても致命傷さえなければ、ビエリアルが回復してくれる。


 俺は10階層を思い浮かべながら、6階層の探索を続けた。





 二度とあんな思いはしたくない。






 ――――――――――


 食材調達は昼前に終わった、帰り前にお約束となっている〈肉の串焼き〉を食べながら家路につく。


 モズラ組みにも終わったら〈肉の串焼き〉を食べさせておくように言ってある。


 迷宮を出た時には、モズラの露店が撤収されていたから、きっと食べながら帰っただろう。


 「今日は自分たちで夕食の肉を手に入れたから焼肉でもするぞ」


 今〈肉の串焼き〉を食べて、また夕食で肉が続くのに、この世界の住人にとっては肉は何度食べてもご褒美のようだ。


 「これからも迷宮の3階層あたりで食材調達を続けられれば定期的に焼肉ができるんだがな……」

 チラッ。 まだ揺さぶりにはのってこないか……。 というか……夕食にも肉が食べられることで意識がないようだった……。言う順番を間違えたか?



 炭と大きな金網と焼肉の付け合せの野菜を買って帰った。





 昨日庭に作ったテーブルの近くに石材をレンガのように積んで、地面付近には空気穴を用意する……。


 簡易的ではあるが、焼肉用の巨大コンロが完成する。

 これを2つ用意すれば13人+露天風呂を作ってくれている人が一緒に食べられるだろう。





 まだ昼過ぎだから今からやり始めたら早すぎるので、俺は露天風呂の様子を見守る。


 モズラとアンジェは食材を切るのに大忙しだ。切るだけだから他の人も手伝っている。


 リアラとナイラはテイムモンスターの世話が終わって、コンロを興味深く観察している。


 キーリアは路上販売から帰ってきたらミントに水をあげたらしい。





 ――――――――――


 頃合いを見て炭に火を点ける。


 「そのうち時間ができたら、3階層に行って食材の調達を任せる。安全のためにテイムモンスターを付けるから死ぬことはないはずだ」

 今日の狩りに同行したメンバーはテイムモンスターがいるならできるだろうと頷いている。 やってくれそうで安心した。


 「路上販売の件はモズラに一任するが、もしかしたら今後買いたい人が増えてきて、モズラだけでは供給できなくなるかもしれない、その時は誰か錬金術師についてもらうだろう。能力しだいだがこちらは露店販売組みの中から選出したい」

 今度は路上販売組みが頷いている。


 「みんな今日は初めての迷宮入りと路上販売ご苦労だった。大いに食べて楽しんでくれ」

 歓声が上がった。


 俺はにおいに釣られてやってくる近所の子供たちのためにイスとテーブルを用意する。


 みんなもイスとテーブルの用意を手伝ってくれると言ったが、断った。


 「ご主人様が最初に食べて下さい」

 ギラーフは気が利きすぎだと思うが……、周りを見るとみんなが頷いているから、恥ずかしかったが食べさせてもらった。手が汚れていたから仕方ない……。


 リズの絶叫が聞こえるが気にしない。




 リズがダッシュで肉を運んでくる。俺はリズから食べさせてもらいながら、イスとテーブルを用意していった。




 まずは俺たちが軽く食べたところで、露天風呂が完成する。



 今日の仕事を終えた大工さんに焼肉を振舞う。


 肉はまだまだ大量にあるので、どんどん焼いていく。


 「今後も肉は食べられるから、野菜も食べて栄養をとっておけよ。あまり煮込めてないが野菜スープもあるぞ」

 みんな返事はいいのだが……、肉を食べている。





 わかっていたさ!





 においに釣られてやってきた、20人近くの視線を感じる……。


 遠巻きに見ているようだ……。


 「簡単な野菜スープと多少の肉ならあるから食べたい人はおいで~」


 想定していた倍の40人ぐらいが集まって、俺たちが食べる余裕がなくなった……。


 集まった人の中には、少女たちや、子供たちの知り合いがいたようだ。


 俺とリズは知り合いがいなかったが、楽しそうにみんなで食べている光景を見ているだけで、幸せな気持ちになった。




 アンジェには明日からの野菜スープの配布をお願いしておいた。


 1人で用意するのは大変だろうから、解散する前に、児童たちには野菜スープが食べたかったら、お手伝いをするように言っておいた。

 それと可能なら食器は自分で持ってくるように伝えた。




 児童たちが片付けを手伝ってくれたので、すぐに終わった。




 人手が多いと助かる……。






 ――――――――――


 俺は家のお風呂で、少女たちや、子供たちに露天風呂を使わせる気でいたのに、大変なことになった……。

 テンプレといえば、テンプレなんだが……。




 俺たちは13人で露天風呂に入ることになった。


 子供たちは恥ずかしがったが、みんなが入るのに入らないわけにはいかないという集団心理でも働いたのかもしれない……。


 一糸まとわぬ女体が12人もいると、こちらが恥ずかしい。


 どこに目を向けても、目のやり場に困る……。




 俺にはもう動くことができない……。


 リズは俺の右側でスリスリしてくるし、ギラーフは左側でリズに負けじと張り合っている。




 子供たちはそんな俺たちを手で目を隠して指の間から見るという、一種のガン見をしている。


 手を目に当てているために隠すべきところが隠せていないのだが……。





 そして俺は限界を迎えて意識を失った……。






 ――――――――――


 どうやら、意識を失っている間に家に運ばれたようだ……。


 意識を取り戻した俺を見て、バスタオルを巻いた12人が安堵する。


 「いきなりお風呂の中に沈んでビックリしたニャ~」

 「すまない。のぼせたようだ……」


 「ご主人様の頭を拭いてあげるニャ~」

 リズは自分のバスタオルをとって拭いてくれた。


 ギラーフも負けじと後に続く……。


 君たち張り合わなくていいよ。 俺が大変な目にあうから……。






 お風呂騒動も落ち着いたので、みんなの前で宣言する。


 「明日から10階層の探索を再開する。夕方にも言ったが、落ち着いたら食材調達のためのレベリングを始めたいと思う」

 みんなが頷いている。


 「今日はゆっくり休んで体調を整えておくように」





 俺はリズと部屋に戻って寝ることにした。

 ――――ステータス――――

 名前 緑野赤

 種族 人間

 性別 男

 素質 天才

 クラス 獣使い

 レベル 17


 HP 210/210

 MP 0/0

 SP 370/370


 筋力 5(+6)

 体力 5

 素早さ 5(+3)

 かしこさ 5

 モンスターの友 105


 残りポイント 0

 ――――――――――

 クラス特性

 ・モンスターをテイムできる。

 ・獣系のモンスターのテイム確率上昇、また獣系のモンスターの能力上昇(上昇率はレベル依存)。

 ――――――――――

 称号(耐性、能力上昇、地形効果の順)

 ・スライムの友(衝撃耐性(小))

 ・マンドレイクの友(幻惑耐性)

 ・オーガの友(筋力上昇(中))

 ・エスカルゴの友(雨天能力上昇(小))

 ・ハムスターの友(夜間能力上昇(小))

 取得順

 ・ネコ族の友(暗闇耐性)

 ・リス族の友(素早さ上昇)

 ・ヒツジ族の友(睡眠耐性)

 ・レッサーパンダ族の友(食肉目)

 ・ハリネズミ族の友(危険感知)

 ――――――――――

 装備

 ・鋼鉄のレイピア

 ・丸鉄の盾

 ・軽装の鎧

 ――――――――――

 所持金

 ・14万7324モール

 ――――――――――

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

 ・パンダ(♂/良い/18)

 武器:鉄竹(攻撃力+20)


 ・ブルースライム(♀/良い/16)

 武器:鉄のキバ(攻撃力+15)

 従属:ミニスライム(子供)×8匹


 ・オーガ(♂/普通/15)

 武器:鋼の斧(攻撃力+35)

 ――――――――――



 ――――――――――

 奴隷 ※名前(種族/性別/素質/クラス/レベル)

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

 ・リズール(ネコ族(ラグドール種)/♀/普通/魔法使い/14)

 ・魔導の杖/なし/軽装の鎧/お守りのリボン

 ・ゴーレム(♂/普通/13)

 武器:なし


 ・ギラーフ(リス族(シマリス種)/♀/普通/盗賊/10)

 ・忍刀/丸鉄の盾/軽装の鎧/なし


 ・モズラ(ヒツジ族(サウスダウン種)/♀/普通/錬金術師/10)

 ・自動装填ハンドボウ(SP使用)/なし/軽装の鎧/なし


 ・ビエリアル(レッサーパンダ族(レッサーパンダ種)/♀/普通/聖職者/10)

 ・聖導の杖/なし/軽装の鎧/なし

 ・オーガ(♀/普通/8)

 武器:金棒(攻撃力+12)

 ・ハムスター(♂/普通/7)

 武器:なし


 ・エヴァールボ(ハリネズミ族(パイド種)/♀/大器晩成/村人/7)

 ・長剣/鉄の盾/鉄の鎧/なし

 ――――――――――



 ――――――――――

 同居人 ※名前(種族/性別/素質/クラス/レベル)

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

 ・ミーナ(人間/女/良い/村人/1)


 ・エリス(人間/女/普通/村人/1)


 ・アンジェ(人間/女/普通/村人/4)

 ・短剣/木の盾/皮の服/なし


 ・フローラ(ユニコーン族/♀/普通/村人(ユニコーン)/3(3))

 ・短剣/木の盾/皮の服/なし


 ・キーリア(サル族(リスザル種)/♀/普通/村人/1)


 ・リアラ(オオカミ族(ツンドラオオカミ種)/♀/普通/村人(ツンドラオオカミ)/3(3))

 ・短剣/木の盾/皮の服/なし


 ・ナイラ(オオカミ族(ツンドラオオカミ種)/♀/普通/村人(ツンドラオオカミ)/3(3))

 ・短剣/木の盾/皮の服/なし

 ――――――――――

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