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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第2章 少女たちを雇います。
24/171

休息

 転職すると能力が変動するので、次の日は体に痛みを伴う。

 だが、モズラは転職した翌日も朝食を作っていた。


 これは少女がこの家で生活するために与えられた仕事だ。


 しかし、この仕事は少女がまだ迷宮に行かない時に交わされた約束であり、現在の状況とは少し異なる。


 「モズラはがんばり屋さんだな」

 「そんなことないです。これが私の仕事ですから、旦那様はゆっくりしていて下さい」


 旦那様……。


 もともと花売りをしていた少女たち4人は俺のことを『旦那様』と呼ぶ。

 俺は雇用主にあたるようだ。


 1日2食、寝床付き。


 それが少女たちとした報酬だ……。




 そしてもう1人。


 「ご主人様、寝癖がついているニャ~」

 ネコ語の代名詞「ニャ~」が語尾に付く可愛い俺の奴隷のリズだ。

 こちらはご主人様と奴隷の関係だ。




 現在は俺、リズ、元花売りの少女4人の6人で生活しているが、少女たちを迷宮に連れて行くので、家の中が片付かない。


 実はまだ掃除をしていない部屋がたくさんある。


 今日は転職の疲れがあるので、休息日にしたが、掃除をさせては息抜きにならないだろうと考えていた。



 迷宮での稼ぎがあるから、冒険者ギルドにでも掃除の依頼を出すとするか……。

 迷宮探索ができないような力のない人はいくらでも余っているだろう。


 依頼内容をみんなに知らせたら、猛反対されたが、ここはみんなの休息を最優先させてもらう。


 本当は何も教えずに手放しで遊んできて欲しいが、帰ってきたら家の中がキレイになっていたのでは、さすがにショックが大きかろう。


 少女たちが出かけたついでに、冒険者ギルドで依頼を発注してもらうことになった。


 『1人100モールで10人雇用、肉入りスープ付き』

 これは花売り時代の少女たちなら、目を疑うほどの破格の待遇だ。







 「今日はみんなにお小遣いをあげたいと思う。自由に使ってくれていい。好きな物を買ったり、食べたりしてくれ」

 「「「「おおおおおおおおおおお」」」」

 少女たちは嬉しそうだ。


 1人500モールずつ渡した。

 多すぎると言われたが、最低でも何着か服は買ってくるように言って、追い出した。




 そしてリズは奴隷なので、欲しい物は俺が買うからお金は必要ない。


 家の中に2人っきりになった俺はさっそく、リズの頭とあごの下をなでた。


 禁断のあごの下をなでられたリズだが、2人だけなので気持ち良さそうにトロ~ンとしている。




 そういえばネコ耳って触ったことがなかったなと思って……。



 触った瞬間。

 「キャ」


 リズもビックリしたようだが、俺もビックリした。


 「耳はとても敏感ですニャ~、ご主人様はエッチだニャ~」

 「でもリズはいい子だから、きっと触らせてくれるんだろ」

 いい子ってところで、すごい反応したな……。


 「あ、当たり前ニャ~、全てを捧げるって言ったニャ~、他にも触りたければどこでも触っていいニャ~、二言はないニャ~」


 垂れ耳だから完全に折れまがっている感じか……。 甘いにおいのもとはここじゃないな……。 リズ全体から発しているのか……。

 背中の毛並みも良かったけど、耳もいいな~。 モフモフやわらか。 リズはうちにきてから毎日毛並みが良くなるな……。

 色々調べながら、無造作に触ってしまった。


 リズの息遣いが、エロくなってきた。

 さすがにこれ以上はやばいか……。


 リズを開放してやると、急いでトイレに行った、またパンツの交換か……。


 戻ってきたリズはまたスリスリしてくる。

 前回は嫌がってたのに、今は2人の時間が少なくなって甘えられる時には、素直に甘えるようになった。


 冒険者ギルドの依頼を見てきた人が来るまで続いた。






 ――――――――――


 「集まってくれた皆さん、冒険者ギルドの依頼内容通り、この家の掃除をお願いします」

 注意点を説明して作業に移ってもらった。


 俺は肉入りスープを作りながらリズの相手をする。


 リズのしっぽがまだ足りないぞ~っと主張して腕やら、足に絡み付いてくる。

 リズ本人はチラチラ見ながら知らん振りしている。 しっぽって器用に動くんだな……。


 さすがに10人で掃除をすると早いようで、午前中には終わった。


 帰ってもらう前にお金を支払い、肉入りスープをごちそうする。

 この世界ではスープに肉が入るだけで、豪華な食事になるようだ。





 午後からはリズを連れて中心街を散策する。


 迷宮でバラバラになった時のために〈脱出アイテム〉を1人1個持たせるのと予備用に6個追加した。

 買ってから〈脱出アイテム〉を〈フェアリーの羽〉から作ればいいことに気が付いた。

 錬金術師がいたんだった……。



 武器屋と防具屋で装備品のメンテナンスを頼む。



 散策のお約束は〈肉の串焼き〉だ。

 リズは両手に1本ずつ食べている。俺が楽しんでいるからヤケ食いか……?


 「ご主人様は意地悪ニャ~」

 嬉しそうに食べているくせに、なにをいうか。


 「そういえば、リズは裁縫道具で何を作ったんだ」

 「これを作ったニャ~」

 俺の人形? 五寸釘で刺さないでね? それにしても何で忍者みたいに鎖帷子を装備してるんだ?


 「あとはこれにご主人様のにおいを付けるだけニャ~」

 リズさん……。心の声が漏れてますって。

 悪いことを企むと、すぐにくちにでるな……。

 わかりやすくて助かるけど……。


 「俺もリズ人形が欲しいな」

 「ご、ご主人様には私が常にそばにいるニャ~、人形いらずニャ~、必要ならいつでもくっついているニャ~」

 んじゃなんで君は、人形を作ったんだ? 一緒にいないタイミングなんて、トイレぐらいじゃ……?

 24時間一緒にいるぞ?


 たまにリズの思考についていけない時がある……。いや結構ついていけない時がある……。だった。


 「俺にはリズ人形は必要ないな、いつでもリズがいてくれる。逃がさないからな」

 「逃げないから安心するニャ~」

 スリスリしてくるリズの甘いにおいが心地いい。






 ――――――――――


 日向ぼっこをしていると、ギラーフが3輪の花を持って近づいてきた。


 お前は何をしているんだ?


 クルンって目の前で回転して、さっと突き出された花を見てわかった。


 あの時に俺が買った花か……。きちんと押し花になっているな。もっと時間をかけないとダメなんだが……。


 後ろから他の少女たちも近づいてきた。


 「やっぱり旦那様はここにいましたか」

 「ここで日向ぼっこをするのが好きなんだ」

 リズと一緒にいると、日向ぼっこをするためにここに来る。


 「私たちを旦那様の奴隷にしてくれませんか」

 美少女になった4人に、公衆の面前で宣言されても、みんなの視線が痛すぎる。それに意味がわからない。


 「今のままじゃダメなのか」

 「私たちにとって奴隷になることは大した問題ではありません、旦那様を裏切らないという誓いをたてたいのです」

 他の3人も頷いている。


 奴隷の主人が死ぬと、奴隷も一緒に死ぬ。これはこの世界では常識だ。


 今の少女たちなら俺が死んでも迷宮で力を付けて自活できるはずだ。


 「君たちがそれでもいいなら、受け入れよう」





 リズを買った奴隷商のところに行って、奴隷の首輪を4つ購入し、奴隷紋の契約を済ませた。


 「「「「これからもよろしくお願いします。ご主人様」」」」


 少女たちの俺に対する呼び方が、旦那様からご主人様に変わった。死の制約さえなければ変わったのはこれだけのはずだ。






 そしてギラーフはまたも爆弾を落としてくる。






 「今夜から私たちも夜伽を致します」



 「ニャ~~~~~~」




 リズの唯一のアドバンテージが崩された瞬間だった……。








 ――――――――――


 帰り道。


 「私はもういらない子ニャ、捨てられる子ニャ、捨てられたらご主人様人形だけが生きる希望ニャ、私のご主人様人形はいつでも離れずに胸の中にいてくれるニャ」

 ドヨーンという空気をまとったリズがトボトボ歩いている。


 リズは心のよりどころのために人形を作っていたのか……。


 「俺は君たちの夜伽は受けないぞ、君たちは今まで通り俺のために働いてくれればいい」

 「「「「なっ!」」」」


 「夜伽とかはもっと大きくなってからな。これは命令だ」

 「「「「わかりました」」」」


 リズは耳に入っていないようで、涙を流している。



 「このままじゃ今夜のリズは泣き疲れて役に立たないな、リズが無理なら彼女たちにお願いするしかないか」

 リズに耳打ちしてやった。


 リズの顔が驚愕に染まる。

 「大丈夫ニャ~、任せるニャ~」


 チラッとギラーフを見たら、

 「やはりご主人様はリズさんを選びましたね、ご主人様が望むなら、もちろん夜伽をするつもりでしたが、こうなる予感はしていました。さすがにこんなに早く拒否されるとは思いませんでしたが……」

 どうやら今回の騒動はギラーフの手の上で踊らされていたようだ。危なかった……。




 武器屋と防具屋で、装備品を受け取った。

 貴族の残した武器が新品のようにきれいになった。

 これで気持ちよく使えるだろう。






 冒険者ギルドに掃除依頼の成功報告を済ませると、10万モールを受け取った。






 なぜ?






 貴族の服代だった。正確には遺体回収代金だった。


 すぐに対応したから色をつけてくれたのだろう。


 遺体の捜索隊を編成しなくて済んだもんな……。


 武器と防具の回収で十分な利益になっていて、すっかり忘れていた……。





 雑貨屋で〈スライムのかけら〉を購入してゼリーを作ろうと思う。


 俺はみんなのために休息日にしたのに、俺自身は全然みんなを労っていない気がする。

 お小遣いは労ったうちに入らないだろう。


 夕食の時に出したゼリーは好評だった。

 〈スライムのかけら〉をわざわざ買わずに今度からは迷宮にとりに行こうって計画までたてられた。


 却下だ、却下。



 俺は7階層の探索をしたい……。

 ――――ステータス――――

 名前 緑野赤

 種族 人間

 性別 男

 素質 天才

 クラス 獣使い

 レベル 17


 HP 210/210

 MP 0/0

 SP 370/370


 筋力 5(+6)

 体力 5

 素早さ 5

 かしこさ 5

 モンスターの友 105


 残りポイント 0

 ――――――――――

 クラス特性

 ・モンスターをテイムできる。

 ・獣系のモンスターのテイム確率上昇、また獣系のモンスターの能力上昇(上昇率はレベル依存)。

 ――――――――――

 称号

 ・スライムの友(衝撃耐性(小))

 ・マンドレイクの友(幻惑耐性)

 ・オーガの友(筋力上昇(中))

 ・エスカルゴの友(雨天能力上昇(小))

 ・ネコ族の友(暗闇耐性)

 ――――――――――

 装備

 ・細剣

 ・木の盾

 ・皮の服

 ――――――――――

 所持金

 ・17万6788モール

 ――――――――――

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

 ・パンダ(♂/良い/17)

 武器:鉄竹(攻撃力+20)


 ・ブルースライム(♀/良い/14)

 武器:鉄のキバ(攻撃力+15)

 従属:ミニスライム(子供)×8匹


 ・オーガ(♂/普通/14)

 武器:鋼の斧(攻撃力+35)

 ――――――――――



 ――――――――――

 奴隷 ※名前(種族/性別/素質/クラス/レベル)

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

 ・リズール(ネコ族(ラグドール種)/♀/普通/魔法使い/11)

 ・魔導の杖/なし/皮の服/お守りのリボン

 ・ゴーレム(♂/普通/13)

 武器:なし


 ・ギラーフ(リス族(シマリス種)/♀/普通/盗賊/1)

 ・短剣/木の盾/皮の服/なし


 ・モズラ(ヒツジ族(サウスダウン種)/♀/普通/錬金術師/1)

 ・短剣/木の盾/皮の服/なし


 ・ビエリアル(レッサーパンダ族(レッサーパンダ種)/♀/普通/聖職者/1)

 ・聖導の杖/なし/皮の服/なし

 ・オーガ(♀/普通/4)

 武器:金棒(攻撃力+12)


 ・エヴァールボ(ハリネズミ族(パイド種)/♀/大器晩成/村人/4)

 ・短剣/木の盾/皮の服/なし

 ――――――――――

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