発情
魚釣りを断念したかわりに、リズが喜びそうなものは……?
リズを見るとリズと目があった。
またスリスリしてくる。
昨日の夜から距離が異常に近いな……。
顔も赤いし。熱でもあるのか?
息遣いも荒い感じがする。
一旦宿屋に引き上げることにした。
俺が立ち上がっても、リズは立ってるのもやっとのようで、苦しそうだ。
さっきまで〈肉の串焼き〉を食べて満足顔だったのに……。
リズはスカートだから人前でお姫様抱っこもおんぶもできないし……。
前にリズの服を買ったお店が近くにあるので、そこで俺のズボンを買って宿までリズにはかせることにした。
基本的にリズはスカート一択だ!
ズボン→30モールで購入。
ズボンをはかせて、おんぶして宿屋まで運んだ。
おんぶとは危険な行為だったようだ。
背中にはマシュマロ、耳には荒い息遣い、鼻には甘いにおい。
腕にはしっぽが巻きついてくる。
宿屋が遠い……。これはやばいぞ。
――――――――――
部屋に着いたら、まずは服を脱がして、ベッドに寝かせる。
頭に濡れタオルを置いて様子をみる。
「ご主人様、ごめんなさいニャ~」
「気にするな、つらい時はお互い様だ」
「いつもの発情は、においを強く感じる程度なんですが、今回はその~」
は、はつじょう? 発情? これが?
「好きなにおいを強く感じてたら大変なことになったニャ~、ガマンするから一緒に寝て欲しいニャ~」
涙を流しながら、発情を耐えているリズを見るのはつらかった。
今日は素直に「におい」が好きって言われてたのは発情してたからか……。
すぐにくっついてくるから、甘えん坊属性と勘違いしてたな……。
「俺も眠いから一緒にベッドで昼寝させてもらうかな」
「はいニャ~」
布団をめくると、いつもよりも甘いにおいが広がった。
俺はいつもリズを抱き枕にしてたから、今だけはリズの抱き枕になろう……。
リズは俺の胸の中でスリスリしてる。泣いているせいか苦しそうだ。
俺には頭をなでるぐらいしかできることがない……。
とうとうリズは泣きつかれて眠ったようだ。
涙のあとが残っていたので、やさしく拭いてやる。
呼吸も安定しているし、このままで大丈夫だろう。
リズの乱れた毛並みをなでて整えてやると、顔がにやけてる。
寝ててもなでられてるのがわかるのだろうか……?
それにしてもリズの寝顔はかわいいな。写真に残したい!!
少し上気した寝顔。
俺は場違いにも興奮してしまった。
夕方、リズの寝顔の横には手があった。
起きた直後だけ肉球があるとか言ってたな……。
今なら見れるか?
どうやら、手の全体が膨れ上がっているわけではなくて、手のひらの指紋のある部分や、丘と呼ばれる部分だけが膨らんでいる。
すげぇー肉球だ。超気持ちいい。プニョンプニョンしてる。でもこの感触って……。
足側の布団をめくって、足の裏も見てみる。
足には特にそこまで特徴のある膨らみは見られなかった。
また手に戻って触っていると、リズと目が合う。
俺の肉球様が布団の中に逃げていった。残念。
そしてリズは布団から頭を半分だけ出してこちらを見ている。
「おはよう」
「おはようございますニャ~」
もう夕方なんだけどね……。
「に、肉球に触っちゃいましたか」
リズが不安そうに尋ねてくる。
「触っちゃったけど……。まずかったか」
リズが今までに見たこともないぐらいのゆでダコになって、ゆっくり首を振る。
リズ曰く、ネコ族の肉球は、おっぱいと同じやわらかさで、肉球を触られるということは、おっぱいを触られるのと同じ意味になるらしい。
「そんなにショックを受けなくても、ご主人様には全てを捧げるつもりだったから、大丈夫ですニャ」
やってしまったって顔に出ていたらしいな……。フォローされてしまった。
「ありがとう」
目の前で、全てを捧げる宣言をされてしまって、恥ずかしくなって、頭をなでた。
「この手は最高ですニャ~」
リズもうれしそうでなによりだ。
「発情はどうなった」
「もうだいぶおさまったニャ~、でもご主人様のにおいを強く感じられなくて、少し寂しいニャ~」
この世界のネコ族の発情期は1日から2日で、約1ヶ月周期でくるらしい。
いつ死ぬかわからない異世界だから、周期も間隔も短いのだろう。
生理と同じだと思えばいいのかな?
「ちょっと遅いけど、宿屋の酒場で夕食にするぞ」
「はいニャ~」
元気よく立ち上がったリズだったが、下着姿を見られるのはやっぱり恥ずかしいらしく、巻き戻しみたいに布団に戻っていった。
俺が笑いながら服を渡してやると、1度頬を膨らませてから、布団の中でもぞもぞ着替えを始めた。
さすがにご主人様を部屋から追い出すことはしないようだ。
やっぱりリズはスカート姿がよく似合う。
酒場でご飯を注文して、異世界にきて初めてのお酒を楽しむ。
今日はリズのことで色々あって、飲みたい気分だった。
リズはご飯と格闘しながら、酔っ払いの相手もしてくれた。
「今日のご主人様はお酒を飲んでるから何をしてもどうせ覚えてないニャ~、夜が楽しみだニャ~」
リズさん、聞こえてますよ。
「ご主人様、もっと飲むニャ~、おかわりくださ~い」
リズの楽しそうな笑顔を見ているとついつい酒が進む。
たまにはこんな日もあっていいだろう……。
夕食は578モールだった。
飲んだ割に安いのは、お酒が安いためだ。モンスター産の食材を使った料理の方がどうしても高くなるそうだ。
結構飲んでしまって、千鳥足で部屋に戻ると、いきなりリズが抱きついてきた。
「ご主人様、大丈夫ですか、こけそうでしたよ」
まずは抱きつき成功ニャ。
とか言ってるのが全てを台無しにしているぞ。
さすがに酔っ払っててきついので、リズにお願いする。
「リズ、体を拭いてくれるか」
「はいニャ~」
リズの行動は早かった。まずは自分の服を脱いで、すぐ俺のを……。
なぜ、下半身から脱がす? どうせ全部脱ぐけど……。
前も後ろもリズがキレイにしてくれた。
時間が経ったせいで、酔いもだいぶ抜けてきた。
目の前には双丘がゆれている。
「今日はお返しに俺がリズを拭くか」
「え……」
リズが急に固まった。
「も、もしかして、もう酔いが醒めたかニャ」
「たぶん、もう大丈夫だ」
「まだ裸で抱きついてないニャ~」
それが目的だったのか……。
リズは力なくうなだれている。この世の終わりみたいな顔をして全然動かなくなってしまった。
さっさと拭いて、お姫様抱っこをしてベッドに運ぶ。
抱っこされたら、急に元気を取り戻したのか、頬を染めた。
しっぽは腕に絡みつく。
今日の主導権はリズにとられそうだったが、なんとか間に合ったようだ。
リズはいつも以上にスリスリしてきた。まだ発情期を抜けていないんじゃないだろうか?
今日も俺の抱き枕はいいにおいがした。
――――ステータス――――
名前 緑野赤
種族 人間
性別 男
素質 天才
クラス 獣使い
レベル 12
HP 160/160
MP 0/0
SP 270/270
筋力 5
体力 5
素早さ 5
かしこさ 5
モンスターの友 80
残りポイント 0
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クラス特性
・モンスターをテイムできる。
・獣系のモンスターのテイム確率上昇、また獣系のモンスターの能力上昇(上昇率はレベル依存)。
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称号
・スライムの友(衝撃耐性(小))
・ネコ族の友(暗闇耐性)
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装備
・細剣
・木の盾
・皮の服
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所持金
・4万2982モール
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テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)
・パンダ(♂/良い/14)
武器:鉄竹(攻撃力+20)
予備:竹(攻撃力+10)×2本
・ブルースライム(♀/良い/12)
武器:鉄のキバ(攻撃力+15)
従属:ミニスライム(子供)×8匹
・オーガ(♂/普通/8)
武器:金棒(攻撃力+12)
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奴隷 ※名前(種族/性別/素質/クラス/レベル)
・リズール(ネコ族(ラグドール種)/♀/普通/村人/7)
装備 ※武器/盾/服/アクセサリー
・短剣/木の盾/皮の服/お守りのリボン
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テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)
・ゴーレム(♂/普通/6)
武器:なし
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