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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第1章 奴隷少女を購入します。
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情報収集

 翌朝、目を覚ますと、リズはベッドの横で目を真っ赤にして、ポロポロ涙を流していた。

 どうしたんだろうか?

 俺が頭に手を置くと、俯いて語り出した。

「ごめんなさいニャ~、夜伽をせずに眠ってしまったニャ。奴隷失格ニャ」

 なるほど。昨日ベッドでふわふわになった毛をなでて楽しんでいたら、いつの間にか気持ち良さそうに寝てたな……。

 俺としては充分に楽しめた。一晩中なでなでしてても良かったぐらいだ……。

「気にするな。今日もある」

「はいニャ~」

 今日こそはがんばるニャ~とか気合いを入れている。

 それにしても頬を赤くして言われると、こちらまで恥ずかしくなるんだが……。

 朝食にハムサンドを食べてから、宿屋を出発した。


 貴族街に近い『月光』を出て、迷宮のある中心へ。

 貴族が用意してくれたのは一泊だけだったので、今夜の寝床を探す。

 奴隷を買った次の日に、いきなり野宿はないよな……。

 三件の宿屋で宿泊費を聞いたところ、迷宮から遠いほど、安くなる傾向があった。その分グレードも下がる……。

 俺としては宿代は節約したいので、迷宮から離れた宿へ。

「いらっしゃい」

 受付にはオバサンがいた。若い娘を置いていないのは儲けていないのか?

「今日から泊まりたいが一部屋いくらになる?」

「二名だと、五〇〇モールだね。朝食は付くけど、夕食はないよ」

 一人二五〇モールなのに、夕食は付かないのか……。

 俺の嫌そうな顔を見て、追加情報が入る。

「併設された酒場で食事をすると、おかずを一品サービスするよ」

 迷宮帰りに食べてくる人が多いのか……?

 それに宿の食事の時間を気にせず探索ができていいか? 何だか、これはありがたいサービスにも思えてきた。

「わかった――それでいい。テイムモンスターがいるが、エサ代と宿舎代はいくらになる?」

 俺の後ろに待機しているモンスターたちを一瞥して答える。

「パンダのエサ代が二〇〇モール、オーガのエサ代が一〇〇モール、スライムのエサ代が無料だね。宿舎代は全部で一〇〇モールだよ」

 パンダのエサ代が安いな……。迷宮都市にはパンダが多くて笹が出回るのか? 余計な事は言わないでおく。

「もしかしたら、これからテイムモンスターが増えるかもしれないが、構わないか?」

「その都度言っとくれ」

 九〇〇モールを払って部屋を確保した。

 荷物は運んでくれるサービスはないようだ。リズが重そうに三階まで運ぶ。後衛に荷物持ちとか、無理だろ。

 荷物を置くついでに、部屋を確認すると、ベッドは二つあるけど、やはりお風呂はない。

 お風呂がある宿は迷宮の近くの高級宿だけか?

 昨日のうちにお風呂を堪能できて良かった。

「貴重品は部屋に置きっぱなしにしないでおくれよ」

「はい」

 夕食の時間は酒場だから、夜遅くでも食べられる。酔っ払って倒れた場合は部屋まで輸送サービス付き。

 至れり尽くせり……?


 寝床の用意が出来たので、探索のための準備だ。

 俺は装備があるからいいけど、リズは奴隷の服しかない。

 職業〈村人〉に戦力を期待するのは、酷と言うもの。スライムを倒すのに、木刀で二回もかかるんだからな……。

 リズはレベル一だった頃の俺よりも筋力がなかった。この辺りは種族的に後衛なので、仕方ない。

 武器:短剣、盾:木の盾、服:皮の服→四三〇〇モールで購入。

 皮の服を試着すると、ピッタリのサイズがなく、サイズ調整をしてもらうことになった。

 多少の時間がかかるため、調整後は宿屋に届けてくれるという。

 最初に寝床を決めておいて良かった……。待っているはめにならずに済んだ。

 将来的にはローブのような物を着ると思うから、せっかくサイズ調整をしても長くは使わない気がするけど保険だ。


 装備が決まったので、今度は中に着る服を探す。

 奴隷が着る服は最底辺の品でいいらしいが、可愛い子に安い服を着せるのは、心苦しい……。

 リズはもともと孤児院の出身で、裕福だったわけではない。そのため何でも喜んでくれそうだけど、どうしたものか……。

 二人で仲良く歩いていると、ボロい服が無造作に山積みになっている店を発見した。

 リズがバッと走っていき、店員に値段を確認する。

「このお店で買うニャ~」

 色付きの服を中心に広げてサイズをチェックしているが、判断基準がよくわからん。

 特別可愛い服を選んでいるようにも見えない。と言うか、可愛い服などそもそも皆無だ。

「白以外が好きなのか?」

「長く着られるように、汚れても目立たない色がいいのニャ~」

 古着なので、多種多様ではあるが、着潰すまで着るつもりのようだ。

 今はそこまでお金に余裕があるわけではないため、当分は便乗させてもらおう。

 いつかリズには『買ってもらえて、良かった』と言ってもらえるような主人にならなくては……。

 ちなみに、下着とスカートにはしっぽの穴を開けた。

 これでスカートがしっぽでめくれる心配がなくなる。

 ラッキースケベは減らしておく。

 うちの子を見ていいのは俺だけだ!

 服、下着→五〇〇モールで大量購入。


 次はリズを専属で守るテイムモンスターを選ぶ。

 しかし、モンスターの友の数値が壊滅的だったため、レベル五までしか選べなかった……。

 頑丈そうな奴がいたので、即決。

・ゴーレム(♂/普通/二)→三万モールで購入。

・テイムモンスターの印→五〇〇モールで購入。

 ゴーレムはパンダ様より高い……。


――――ステータス――――

 名前 ゴーレム

 性別 ♂

 素質 普通

 レベル 二


 HP 九五/九五

 MP 〇/〇

 SP 〇/〇


 筋力 二三

 体力 二〇

 素早さ 四

 かしこさ 二

――――――――――

 特性

・物理攻撃に強いが、魔法攻撃に弱い。

――――――――――

 装備

・テイムモンスターの印(右腕に装着)

――――――――――


「きちんと大事に世話をしてやってくれ」

 俺はゴーレムをリズに預ける。

「ありがとうございますニャ」

 真剣な顔で答えるけど、目線はテイムモンスターに釘付けだ。どこか名もなき町の宿屋の受付嬢を思い出す。

 テイムモンスターを背後に連れて歩く姿は、一端の冒険者に見える。


 このままではゴーレムは戦えるけど、パンダ様の武器()がすぐに駄目になって戦えなくなってしまう。

 鍛冶屋でパンダ様の特注武器を発注する。

 見た目は竹! 材質が鉄!

 聞いてみると、昔パンダ用に作った在庫品が残っていた。

 鉄竹(攻撃力+二〇)→五〇〇〇モールで購入。

 さすが迷宮都市。ない武器は鍛冶屋で作ってもらえばいいようだ。欲しい物が手に入る。


 最後に冒険者ギルドに寄って、無料で張り出している迷宮の低階層の順路をメモった。

 ついでに買取依頼のチェックをする。

 今後は腰を据えて活動するかもしれない。

 少しでも高く売れるなら俺としても是非売りたい。

 だが、低階層の依頼は全くなかった。

 それに同じ買取依頼でも、一モールずつずれているところに人間の汚さを感じる……。

 すごい共感できるところが悲しい……。


 ぐ~~。

 用事も情報収集も終わったところで、可愛い音が鳴った。

 リズのお腹の音だ。

 音に反応して顔を向けると、すごい早さで目をそらされた。顔中が赤い。若干涙目だ……。聞こえちゃったかニャ~とか言ってる。バッチリ聞こえました! とは言わないでおこう。


 さて、どうやって誤魔化して、取り繕うか……。

「迷宮都市の出店はおいしいのか?」

「そう聞いてますニャ~」

「リズには毒見をしてもらわないとダメだな……」

 リズの顔が満面の笑顔になった。

「はいニャ~!」

 目が輝いている、それにヨダレまで……。これは将来淑女にはなれないな……。

 可愛いからいいか。なでなで。


 迷宮都市の出入口の前にある広場の脇には出店が出ていた。

 そこで〈肉の串焼き〉(三〇モール)を三本買って仲良く食べる。モンスター肉じゃないから安いそうだ。

 リズは両手に一本ずつ……。

「ご主人様に買ってもらえて、幸せニャ~。一生ご主人様について行くニャ~」

 服を買った時にした俺の決意はいったい。もう買ってもらえて良かったとか――安いな……。将来男にだまされるぞ。いや、俺が一生手放さないか。

 口の周りにソースを付けて、幸せそうな顔で食べている。

 意外とこの子、世話がかかるんだよ……。


 お肉を食べ終わって満足したようで、現状に気が付く……。

 口も手もベトベト……。

 顔を赤くして困っている。困ったリズも可愛いけど、口を拭いて、手を拭いて、キレイにしてやると、恥ずかしかったのか、声が小さくなる。

「ありがとうございますニャ~」

「気にするな」

 頭をなでながら、日向ぼっこしていると、リズは膝の上でスヤスヤ寝息を立て始めた。

――――ステータス――――

 名前 緑野赤

 種族 人間

 性別 男

 素質 天才

 クラス 獣使い

 レベル 一〇


 HP 一四〇/一四〇

 MP 〇/〇

 SP 二三〇/二三〇


 筋力 五

 体力 五

 素早さ 五

 かしこさ 五

 モンスターの友 七〇


 残りポイント 〇

――――――――――

 クラス特性

・モンスターをテイムできる。

・獣系のモンスターのテイム確率上昇、また獣系のモンスターの能力上昇(上昇率はレベル依存)。

――――――――――

 称号

・スライムの友(衝撃耐性(小))

――――――――――

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

・細剣/木の盾/皮の服/なし

――――――――――

 所持金

・三万八九四〇モール

――――――――――

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

・パンダ(♂/良い/一三)

 武器:鉄竹

・ブルースライム(♀/良い/一一)

 武器:鉄のキバ

 従属:ミニスライム(子供)×八匹

・オーガ(♂/普通/五)

 武器:金棒

――――――――――



――――――――――

 奴隷 ※名前(種族/性別/素質/クラス/レベル)

★リズール(ネコ族(ラグドール種)/♀/普通/村人/二)

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

・短剣/木の盾/皮の服/なし

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

・ゴーレム(♂/普通/二)

 武器:なし

――――――――――

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