表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第6章 子育てします。
114/171

中級職の落とし穴

 一六階層のワープが使える状態になったのでワープで帰宅する。

 新しくテイムしたジャイアントモンスターをそのまま入口に連れて行くとまた騒ぎになって怒られるため、スオレとリオーニスにはジャイアントテイムモンスターの印を二つ購入してもらい、一六階層に届けてもらった。


 仕事は手分けして効率良くだ。


 俺がその間に何をしていたかというと、露店で〈肉の串焼き〉を人数分注文していた。

 急いで焼いてくれるが、待ちきれない家族はみんなで露店を取り囲む。はっきり言って新手の嫌がらせだ。

 炭火に落ちた肉の脂とタレが匂いを撒き散らし、食欲を刺激する。昨日今日とギラーフ病であまり食べていなかった家族たちにとっては、なおさらだろう。実に旨そうだ。

 二〇本同時に焼き上がったので、迷宮前のモズラ路上販売店のポイントに移動して食事にした。

「「「いただきます!」」」

 みんなで元気よく挨拶して食べ始める。

 お昼はお昼でスープを飲んだが、やはり動いた後の肉は旨い。ただし、モンスター肉じゃないため、少しだけ固い。これ以上は贅沢と言うものだ。

 家族もこの恒例行事を嬉しそうに楽しんでいる。


 俺は一足早く食べ終わったので、ステータスを確認した。

 おっ? レベルが二五になっている。〈モンスターの友〉を極振りしたおかげで素の状態を一五〇にすることが出来た。

※素の状態とは、称号補正を含まない状態。

 このまま中級職に転職するかな……。

 本来、中級職の道が開かれるのは、初級職がレベル四〇になってからだ。しかし、〈モンスターテイマー〉職に限り〈モンスターの友〉の数値で転職条件が決まっている。

「ちょっと神官のところで、転職代金を見てくる」

「私も行くニャ!」

 リズは〈肉の串焼き〉をまだ食べ終えていなかったので、残りは食べ歩きするようだ。行儀が悪い。

 今では歩きながら食べても手を汚さないと褒めるべきか? まぁ、わざわざ付いて来てくれたんだから野暮な考えはやめよう。

 あまり言い出すと、路上で座って食べている行為事態がどうなんだって話になる。


 神官のいる建物は迷宮前からすぐのところなので、あっという間に着いた。


 家族の転職のたびに付いて来ているため、結構な頻度で訪れていたりする。

 もう慣れたもので、さっそく転職の石板に触れた。

〈魔物使い〉五〇万モール。

 足りるな。どうせ俺が転職しても肉体改造はないし、問題ないだろ……。


 さっさと指定された金額を神官にお布施して、転職の儀を行う。


――――ステータス――――

 名前 緑野赤

 種族 人間

 性別 男

 素質 天才

 クラス 魔物使い

 レベル 一


 HP 七〇/七〇

 MP 〇/〇

 SP 七〇/七〇


 筋力 七

 体力 七

 素早さ 七

 かしこさ 七

 モンスターの友 一五


 残りポイント 二〇

――――――――――

 クラス特性

・モンスターをテイムできる。

・獣系、魔物系のモンスターのテイム確率上昇、また獣系、魔物系のモンスターの能力上昇(上昇率はレベル依存)。

――――――――――


「うっ!」

 転職の儀が終わった直後、その場に倒れるかと思った。

 急いで近くにあった転職の石板を支えに出来たからギリギリ転倒だけは回避することに成功する。

 何が起こった? 空気が全然足りない。呼吸が追い付かない。

 まさかこれが肉体改造なのか?

「ご主人様、急にどうしたニャ?」

 食べ終わってのんきに転職の儀を見守っていたリズが慌てて駆け寄ってくる。

「俺にもよくわからん……。とにかくみんなのところに……」

 俺はリズに肩を借りて、建物を出た。異変に気が付いた家族が走って近寄ってくる。

「何人か苦しがっています」

「食中毒か? いや違うな……」

 同じ物を食べたのに平気な奴もいる。そもそもさっきステータスを見たけど、状態異常として書き込まれていない。

「何が起こったんだ?」

 俺が転職しただけで、家族にまで影響した?


 よく観察しろ。何か共通点があるはずだ。

 俺と同じで特に具合が悪いのはミーナとエリス、アンジェの三人。

 種族が全員人間だ……。


「わかった。称号か!」

 さっきまでレベルが二四だったから、称号をレベルの数の二四個使えていた。それがレベル一になって、一気に一つになったんだ。本来の筋力まで強制的に能力ダウンしたダウン酔いみたいなものか?

 リズは後衛だったから、称号が外れても肉体的なダウンが少しだけだったんだな……。そう考えると納得がいく。

 俺なんて二三からだから筋力が三分の一以下だ。

「すまないけど、一一階層でいい。レベル上げを手伝ってくれ。これじゃ苦しくてまともに動かれない」

 転職するとこれを一日かけて体に順応させるのか……。

 これはきついな。一日動けないわけだ。


 称号欄を開くとランダムで残ったのか〈ヒツジ族の友〉と〈オオカミの友〉が光っていた。

 あれ? 二つ選べてる。中級職だから二倍なのか? まぁそれは後でいいか……。

 恩恵の強そうな〈人間の友達〉と〈人間の友〉からオンにする。

 これだけでも少しだけ体が軽くなった。

 称号補正はチート級だったんだな。

 ダウンしたのが、一気にアップしてまた気持ち悪い。歩くのも大変なので、俺はパンダ様にお姫様抱っこされて、運ばれる。最高の寝心地。超毛並みがいい。

 ミーナとエリス、アンジェは称号が戻ったので、突然の出来事で無駄な体力を消費したようだが、なんとか歩けるまでに復活した。経験者たちは違うな……。


 称号がオフになっているため、リズの攻撃魔法やビエリアルの回復魔法など、威力が大幅に落ちている。

 かしこさの影響で上がる魔法の威力はスキルLvに比べたら微々たるものだろう。あまり期待していない。

「全部本気でいってくれ……」

 俺の所持しているテイムモンスターたちは一時的な戦力ダウンが否めない。どうする――受け渡すか?

 それ以外のテイムモンスターはいつも通り生き生きしている。

 朝は待機組が多くても戦えていたから大丈夫だろう。

 さっき実戦練習をさせておいて良かった。


 一戦終えるとレベル三になる。

 もう少し……。

 そして戦えば戦っただけオンになる称号が増えるため、家族の戦闘力が少しずつ戻っていく。

「みんなありがとう。一時はどうなるかと思った……」

 レベル八。急ぎの称号は全てオンにできた。

〈モンスターの友〉以外は転職前よりも能力が上がって、むしろ楽になった気がする。

 せっかく中級職に転職なったのに、今日のは喜ぶ前に水をさされた気分だ。


 夕食前。

 今日はどっと疲れた。

 こんな日は特別うまい物が食べたい。

「アンジェ、今夜はカニ汁にしないか?」

「言うと思って、すでに準備をしていますよ。もうすぐ終わりますので、鍋に火を入れておいてくれますか?」

「わかった。任せろ」

 立場がご主人様だろうが、旦那様だろうが、関係ない。俺は気にせず夕食の準備を率先して手伝う。

 俺の我が儘で貧民街の子供たちに配給をしているようなものだ。飯代だってただじゃない。最近はまた子供が増えて、椅子が足りなくなっている。


 鍋に〈水の魔石〉で水を入れて、下から〈火の魔石〉で熱する。

「あれ? 火がつかん。リズ~〈火の魔石〉の魔力が切れてるぞ?」

「はいはーい。今補充するニャ……」

 軽快に走って登場した。右手にはリズの顔よりも大きい魚を持っている。

「あまり走らない方がいいんじゃないのか?」

 ステータス表示を見ると、あと一〇日で娘が生まれてくるようだ。経験値を与えない場合が、あと一〇日であって、俺たちの狩りの場合はあと一日だ。

「問題ないニャ」

 何事もなかったように魔石の補充を済ませて、リズ専用に作った魚焼きゾーンに向かった。


 網に魚を乗せて自分で焼く。

 焼き始めはビュンビュン嬉しそうに振っているしっぽも、集中するとしっぽはピタッと止まる。フライ返しのような板を左右に一枚ずつ持って……。

「ここニャ!」

 ひっくり返すタイミングを成功するとまた嬉しそうにしっぽが動き出す。


「お待たせしました」

 鍋にカニのツメがドバドバドバッと投入された。

 その後で野菜も。作り方が豪快だ。

 迷宮内で短時間で作れるように野菜は小さめなので、火が通るまでが早い。


 現在アンジェが作る鍋は全部で四つもある。増えたな……。かき混ぜる作業は分担しているが、どうしてもアンジェにかかる負担が大きい。

 家族用のはカニ多め、貧民街用のはカニ少なめ。この辺りは今も変わらない。

 リズはこっちの料理が出来上がるまで火力を調整して魚の焼き上がるタイミングを考えている。変なところが器用と言うか、魚の時だけ全力投球と言うか……。

 鍋はアンジェたちに任せれば大丈夫だ。


 俺は座るスペースを増やすため、今まで使っていた直方体の椅子の上にベニヤ板のような板を乗せて、間に椅子を支柱にして入れていく。これで今までよりもたくさんの子供たちが座れるようになった。

 この椅子作り、俺は頑張ったと思う。うん。


 スオレとリオーニスが俺の作った椅子を見て、顔を見合わせてクスクス笑っている。お前たち失礼だぞ!

 っと思っていると、犬の国に行く時に足場を組んだみたいに、早送りの速度で立派な長椅子が完成した。たった一分足らず……。俺のベニヤ椅子の方が時間がかかったかもしれない。

 二人が作ったのは公園によくあるベンチだ。背もたれまである。椅子の下には折り畳み式のテーブルが収納されており、必要な時に引っ張り出して使えるようだ。こちらはベンチを作ってから追加で作っていた。

〈大工〉すげぇー。


 この椅子を見た後にベニヤ椅子を見たら、レベルの違いに笑った。

 暇な時に全員が座れるように、人数分作ってもらおう。

「旦那様、カニ汁が出来ましたよ」

「あぁ、さっそく食べよう」

――――ステータス――――

 名前 緑野赤

 種族 人間

 性別 男

 素質 天才

 クラス 魔物使い(農夫)

 レベル 八(一)


 HP 一七五/一七五(+五〇)

 MP 〇/〇(+五〇)

 SP 二八〇/二八〇(+五〇)


 筋力 七(+二八)

 体力 七(+一四)

 素早さ 七(+一九)

 かしこさ 七(+一四)

 モンスターの友 八四(+一四)


 残りポイント 〇

――――――――――

 クラス特性

・モンスターをテイムできる。

・獣系、魔物系のモンスターのテイム確率上昇、また獣系、魔物系のモンスターの能力上昇(上昇率はレベル依存)。

――――――――――

 称号 ※章の最後に記載

――――――――――

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

・ガラスの剣+一/丸鋼の盾+一/鋼の軽装鎧+一/身代わり地蔵の指輪

――――――――――

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

・パンダ(♂/良い/二六)

 武器:鉛竹槍+一

・ジャイアントサソリ(♀/良い/二五)

 武器:銅球

・ジャイアント岩スライム(♀/良い/二二)

 武器:なし

 従属:岩スライム(♂/普通/二二)

――――――――――



――――――――――

 奴隷 ※名前(種族/性別/素質/クラス/レベル)

★リズール(ネコ族(ラグドール種)/♀/普通/魔法使い/一九)

 魔導の杖/なし/鋼の軽装鎧+一/お守りのリボン

・ゴーレム(♂/普通/二五)

 武器:鉛のメリケンサック+一

・ブルースライム(♀/良い/二六)

 武器:鋼のキバ+一

 従属:スライム(混合)(混合/普通/二二)×八匹

・オーガ(♂/普通/二五)

 武器:鉛のハンマー+一


★ギラーフ(リス族(シマリス種)/♀/普通/盗賊/二四)

 ガラスの刀+一/丸鋼の盾+一/鋼の軽装鎧+一/護符

・石アント(♂/普通/二二)

 武器:鋼の槍+一

・石ウリボー(♂/普通/二二)

 武器:なし

・スケルトン(♂/普通/一七)

 武器:なし

・海ヘビ(♀/普通/一七)

 武器:なし


★モズラ(ヒツジ族(サウスダウン種)/♀/普通/錬金術師/二五)

 自動装填ハンドボウ(SP使用)/なし/鋼の軽装鎧+一/護符


★ビエリアル(レッサーパンダ族(レッサーパンダ種)/♀/普通/聖職者/二五)

 聖導の杖/なし/鋼の軽装鎧+一/護符

・オーガ(♀/普通/二四)

 武器:鉛のハンマー+一

・ハムスター(♂/普通/二四)

 武器:鋼のキバ+一


★エヴァールボ(ハリネズミ族(パイド種)/♀/大器晩成/鍛冶師(ハリネズミ)/二二(二二))

 ガラスの大剣+一/鋼の盾/鋼の鎧/護符

――――――――――



――――――――――

 同居人

☆ミーナ(人間/女/良い/踊り子/一七)

 鉄扇+二/なし/踊り子の服/護符

・石タートル(♀/良い/二〇)

 武器:なし


☆エリス(人間/女/普通/商人/一七)

 鋼の短剣+一/丸鋼の盾+一/軽装の鎧/護符

・石ビートル(♂/普通/二〇)

 武器:なし


★アンジェ(人間/女/普通/料理人/二一)

 鋼の包丁+一/丸鋼の盾+一/軽装の鎧/護符

 従属:ペコペコ(雛)(混合/普通/一六)×一〇匹

・魔法使い(土)(♀/普通/二一)

 武器:鋼のステッキ+二


★フローラ(ユニコーン族/♀/普通/神聖術師(ユニコーン)/一六(一七))

 鋼のステッキ+二/なし/軽装の鎧/護符


☆キーリア(サル族(リスザル種)/♀/普通/農婦/一七)

 鋼の鎌+一と鋼の鍬+一/なし/軽装の鎧/護符

・フェアリー(♀/普通/二二)

 武器:鋼のステッキ+二

・石サクランボ(♀/普通/二〇)

 武器:なし


★リアラ(オオカミ族(ツンドラオオカミ種)/♀/普通/氷結術師(ツンドラオオカミ)/二一(二一))

 鋼のステッキ+二/なし/軽装の鎧/護符


★ナイラ(オオカミ族(ツンドラオオカミ種)/♀/普通/氷狼(ツンドラオオカミ)/二一(二一))

 鋼の剣+一と鋼のナイフ+一×一〇本/丸鋼の盾+一/軽装の鎧/護符

・ジャイアントウルフ(改)(♀/良い/一五)

 武器:なし


☆ウーリー(ウサギ族(ホーランド・ロップ種)/♀/普通/配合師/一六)

 鋼の短剣+一/丸鋼の盾+一/軽装の鎧/護符

・石柱(♂/普通/二一)

 武器:鋼の槍+一(投擲用)×七本


★コーシェル(タヌキ族(エゾタヌキ種)/♀/普通/裁縫師/一九)

 鋼の刀+一/丸鋼の盾+一/軽装の鎧/護符

・ゴーレム(♀/普通/二一)

 武器:鉛のメリケンサック+一

 防具:鉛板の鎧+一


☆クラリー(ドワーフ族/♀/良い/細工師/一九)

 鋼の斧/なし/鉄の鎧/護符

・石ザル(♂/普通/二一)

 武器:なし

・ジャイアントデザートクラブ(♀/良い/一三)

 武器:なし


☆スオレ(イタチ族(アンゴラフェレット種)/♀/普通/大工(アンゴラフェレット)/一三(一五))

 鋼のハンマー+二/なし/軽装の鎧/護符


☆リオーニス(イタチ族(アンゴラフェレット種)/♀/普通/大工(アンゴラフェレット)/一三(一五))

 鋼のハンマー+二/なし/軽装の鎧/護符


☆ケーレル(マングース族(ミーアキャット種)/♀/普通/斥候(ミーアキャット)/一三(一五))

 鋼の短刀+二/丸鋼の盾+二/軽装の鎧/護符


★ノルターニ(鳥族(コウノトリ種)/♀/普通/村人(コウノトリ)/一七(一七))

 短剣/木の盾/軽装の鎧/護符


★アキリーナ(王族/♀/良い/プリンセス/一三)

 鋼の短刀+二と錫杖+二/なし/軽装の鎧/護符

・グレムリン(♀/普通/一七)

 武器:なし

・スケルトン(♀/普通/一七)

 武器:なし

――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ