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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第5章 隣の国を救います。
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ジャイアント戦

 悲鳴が聞こえる少し前。都市の外壁に到着した頃。

 スオレとリオーニスが〈大工〉のスキルで角材を出して、壁に簡易的な足場を組む。

 この木は維持をするのにSPを持続的に消費し続けるタイプで、消費するSPが足りなくなった場合には、即座に消えてしまうため、家を建てる時には使えない。

 だから、一時しのぎのゴミスキルと呼ばれていた。

 しかし、戦場に段差を付けて、後衛の発射台を作る程度なら充分に役に立つ。

 さっそく昨日の冒険者ギルドの恩恵が披露された。


 その外側にはリアラがレベルの低い子を守る壁の構築に取りかかる。

 俺たちは敵が迫ってくる前に陣形を展開しなくてはならない。

 家族は普段白兵戦ばかりしているので、攻城戦の守り側などしたこともない前衛ばかりだったりする。


 ビエリアルが居なくても、HP回復水で持たせるためには極力ダメージを食らわない事だ。

 リズは長期戦を想定し、MPを最小に抑えた『竜巻魔法』を撃って、全体のHPを減らしていく。

「薬はHP回復水を中心に用意していますが……」

 モズラが難しい顔で首を振った。

 砂漠ではミントの葉の入荷ができず、持ってきた分が無くなると、お手上げ状態だ。

 ビエリアルがこの場にいる前提で薬の予定が組まれている。


 壁の内側から悲鳴が聞こえたのは、俺たちが半径一〇メートルの円陣を完成させた後だった。

「中の様子を見てくる。壁に氷の階段を作ってくれ」

「待って下さい。そんな事をしたら上っている最中に狙い撃ちにされます!」

 リアラが即座に反対意見を出してくる。

 でも……、中には三人が……。

「強いモンスターが来ます」

 ケーレルの探知機に反応したようだ。

 さっきまでは敵が少なかったのに、悲鳴を合図に敵が急に迫ってくる。

 左の方に他よりも一際大きいのがいた。

「あれは……」

 頭だけで四メートルクラス。うねうねした太い触手の先に吸盤が付いている。

 その吸盤を利用して、近くのモンスターをくっつけては投げてを繰り返す。

 もちろん投げられたモンスターはパンダ様が打ち返していた。いいコンビかもしれない。

 ステータス表示にジャイアントオクトパスレベル二〇と書かれている。タコで確定だな。

 モンスターが多すぎるとステータスを見るのが難しい。見たいモンスターじゃない奴のステータスがガンガン表示される。

「石柱君、タコを任せた! リズは……」

 クッ……敵は大ダコだけじゃなかった。

 もうしばらく中には行けそうにないな。みんな死ぬなよ。


 石柱君が投擲用の槍を投げると、タコは触手で防ごうとする。悪いな――それ鋼の槍なんだわ。

 グサグサグサッと突き刺さり、刺さった部分から黒い液体が流れ出る。うわ――大量のスミか……。

 徐々に移動速度を下げ、陣の五メートル手前で力尽きた。石柱君よりも四つ上のはずなのに、瞬く間に倒す。武器と地形の差かな……。

 石柱君は残っている槍で足元のモンスターを刺しながら、大ダコに使った槍を回収して戻ってきた。


――――――――――


「右にはでかいイカか……。クラリー! サポートはオーガペアが頼む」

「出番ね!」


 武器を片手でクルクル回して、イカに接近した。イカはタコ同様触手で近寄ってきたクラリーを狙う。

 クラリーは腕を上げた状態で胴体を触手で巻かれた。

 ここまではイメージ通りなのか、ピンッと張ったイカの足(ゲソ)を、斧で叩き切る。

 切られたゲソは力を失い、その場に落ちて光の粒子となって消えた。

 オーガ二人は伸びてきたゲソを掴んで、力任せに引っ張る。それをクラリーが一本ずつ切っていく……。


――――――――――


「正面からも……。やっぱり――ジャイアント海サソリには、大サソリさんか? 行け!」


 俺は大さそりさんを投げる。

 ぐんぐん大きくなって、その勢いをそのままに、銅球を遠心力で叩き込む。グシャッと頭を潰した――一発だ。同レベル対決だったんだけど……。実戦慣れもあるんだろうが、武器がズル過ぎる。

 手応えがなかったのか、その場でターンを決め、銅球で周囲のモンスターを一気に吹き飛ばした。


――――――――――


「楽勝ムードだニャ~」

 油断大敵。

 緊張しっぱなしは良くないけど、気を抜きすぎるのも良くない。

「今のジャイアントが来たら、さっきの戦い方を真似てくれ」

 俺はみんなに注意する。

 あと何種類のジャイアントモンスターが来るかは知らないけど、指示なしで対応してもらうしかない。

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