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迷宮踏破の前に。(挿絵有り)  作者: サーモン
第1章 奴隷少女を購入します。
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リズール

 数分後。

 コンコンッとノックをして小太りのおっちゃんが戻ってきた。

「準備が出来ました。こちらへどうぞ」

 俺は男の後について歩く。一度入口まで戻り、今度は正面すぐの階段を上って二階へ。一階よりも二階の方が豪華な造りをしている。

 売りが一階、買いが二階なのか?

 案内された部屋には薄い服に身を包んだ一〇人の女性が立っていた。

 この商館では、満足にご飯を食べさせていないようで、全体的に痩せている印象がある。

 憶測でしかないが、ここの居心地を良くし過ぎると買われたいと思わなくなるのかもしれない。

「こちらの一〇人は全員処女でございます」

 その情報をどう役立てればいいのだろう……。

 一〇人の中から好みの女性を三人に絞り、面談する。


※種族/年齢/素質/クラス/レベル/値段

 一:ワニ族(クロコダイル種)/一七/普通/村人/五/三五万モール

 二:ネコ族(ラグドール種)/一六/普通/村人/二/三二万モール

 三:ウサギ族(ミニロップ種)/一五/悪い/村人/三/二八万モール


 一般的な種族の特色はこんな感じ。

 一:ワニ族は力が強く、前衛向き、口から水を出せる。

 二:ネコ族は力が弱く、後衛向き、夜目が利く。

 三:ウサギ族は動きが素早く、盗賊向き、音への感知がとても優秀。


 三人の印象。

 一番は顔には鱗はないが、首と腕、足首まで見える範囲には鱗がある……。服の中はよく見えない。

 薄い服――頑張りすぎだ。もっと手を抜け!

 身長は一七〇センチぐらい。ワニ族は力強いというだけあり、見た感じでガッチリしている。

 一七歳にしては胸がない。種族固有かな……?


 二番はネコ耳が垂れ耳だ!

 目が大きく、パッチリしている。ちょっと毛並みは悪そうだ。そこは手入れ次第だろう……。協力は惜しまない!

 身長は一四〇センチぐらい。細いからもっと小さく見える。胸は膨らんでいるからそれなりか……。


 三番はウサ耳がシャキーンッと立っている。音を聞いて状況判断でもしているのだろうか……?

 震えているから緊張しているのが、目に見えてわかる。

 毛並みはふさふさしていて二番より断然いい。

 我等のパンダ様と比べると……。ややパンダ様の勝利か? 種族が違うんだから、比べるのは失礼か。

 見えないけど、お尻に丸い尻尾があるのかな? 見てみたい。奴隷商に言ったら見せてもらえるかな……?

 買うかどうかもわからないのに、ジロジロ見れないし、残念だ。買ったら……、もふりたい

 身長は耳を入れないで一六〇センチぐらい。


 この中から一人を選ぶ……。


 山賊の男の売却相場が一人三万なのに、若い女性はさすがに高い。

 女性奴隷の購入目的に夜伽があるせいか……? これはもう仕方ない。そういう世界だ。断腸の思いで受け入れよう。


 他も捨てがたいが、二番を三二万モールで購入する。

 今回は垂れ耳が素晴らしかった。垂れ耳は世界を救う。

 奴隷の首輪は種類を選べるようなので、チョーカータイプのものを選んだ。首輪ってだけでエロい……。


――――ステータス――――

 名前 リズール(奴隷)

 種族 ネコ族(ラグドール種)

 性別 ♀

 素質 普通

 クラス 村人

 レベル 二


 HP 二〇/二〇

 MP 一二/一二

 SP 一三/一三


 筋力 二

 体力 四

 素早さ 六

 かしこさ 一〇

 モンスターの友 三

――――――――――

 種族特性

・夜目が利く

――――――――――

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

・なし/なし/奴隷の服/なし

・奴隷の首輪(チョーカータイプ)

――――――――――


 首輪をつけて満足していると、男から声がかかる。

「奴隷を購入するのは初めてですか?」

 俺は素直に頷く。嘘をついても、見栄を張っても仕方ないからな……。

「それではこちらに血を一滴垂らして下さい。それで契約が完了します」

 男が針を渡してくるので、指に刺す。言われるがままに、首に付いている奴隷の首輪に血を垂らした。

 すると神秘的な幾何学模様が浮かび上がり、奴隷の体を淡い光が包み込む。

 奴隷は一瞬ビクッと震えたが、すぐに光は体に吸い込まれるように消えていく……。

「今のが奴隷を縛る鎖で〈奴隷紋〉といいます」


 いくつか奴隷に関して説明を受けた。

 一:奴隷は命令違反をすると〈奴隷紋〉が反応して奴隷を苦しめる。

 二:奴隷は主人に絶対服従だが、自害しろなどの命令はできない。

 三:奴隷は主人に害のある行動はできない。

 そして、主人は奴隷の衣・食・住に関して責任を持たなければならない。

 これを怠ったと判断された場合には、奴隷は解放される。

 また、他種族間では子供は授かれない。この世界に人間と獣人のハーフはいないようだ……。

 最後に、主人が死んだ場合には、如何なる理由であろうとも、奴隷の命も消える。


 ゲーム時代でも奴隷制度という設定は存在したが、もちろん使えなかった。

 あの当時なら死に戻りが可能だったため、奴隷まで死なせずに済むのだろうが、この世界では……、やはり……。

「またのお越しをお待ちしております」

 そんなことを考えながら、奴隷商人の館を後にする。


 死んだ場合についての説明で、今までの楽観的な気分が落ち込んだ。

 貴族御一行の護衛は死んだが、外の世界から来た俺なら……。

 迷宮で死んだのに、都市に戻ったら生きていた――ないな……。


 館の前で物思いにふけっていると、リズールが不安そうな顔をしていた。

 今は一日でも長くこの世界を楽しめるようにするだけだ……。

 俺は望んでこの異世界に来たのに楽しまなくてどうする!


 まずはリズールが薄い服しか着ていないので、俺の荷物から古着を出し、着せてやった。

 奴隷商人の話では、奴隷は粗末な服を着るのが常識らしいが羞恥心はあるはずだ……。

 着せた服は俺が昨日、山賊に襲われた時に着ていた服で、よく見るとわかるが何滴か山賊の返り血が付いている……。

「ありがとうございますニャ~」

 今――ニャ~って言った?


 恥ずかしかったのか声が小さくて聞き取りにくかったけど。

 確かに語尾がニャ~だった! ネコ語のテンプレきたよ! やばいこの子アタリだよ! もう絶対手放さないよ。


 うれしくなって頭をなでてやると、最初だけビクッとしたが、すぐに気持ちよさそうに目を細める。

 頭をなでなで、あごの下もなでなで。


 なでなで、なでなで、なでなで。


 トローンとしてきた。周りの目があるし、宿に行くか……。続きは宿で……。

 庭からテイムモンスターを回収するとリズールの目が大きく開いた。パンダ様に反応したか?

 奴隷商人に宿屋までの道のりを聞いたので、地図を頼りに歩き出す。

「今日の宿は理由があって貴族が用意してくれた宿だからな。きっと豪華だぞ」

「わかりましたニャ~」

 頬を染めながら返事をした。ネコ耳もフニャ~って垂れ具合が満足そうである。


『月光』は一介の冒険者が泊まるには立派過ぎる宿だった……。部屋の大きさ、清潔さは日本クラスだ。

 名もなき町の一泊三〇〇モールの宿屋と比ぶべくもない。

 部屋でお互いに自己紹介をする。

・リズ(リズールの愛称)は孤児らしい。

 これからは俺が家族だ!

・ネコ族なら語尾に『ニャ~』を付けておけと言われて、付けているうちに抜けなくなったらしい。

 言った人グッジョブ!

 ラグドール種というのは、人懐っこい性格であるようだ。

 それから他の子よりも毛が抜けやすいらしい。なですぎて、頭がはげたらどうしよう……。切実な悩みになりそうだ。


 なりたい職業を聞いてみたところ、「ご主人様にお任せするニャ~」と言われた。

 ステータスを見る限り後衛しか選択肢はないだろう。そうなると〈聖職者〉か〈魔法使い〉か……。


 前衛にはテイムモンスターを使えばいい。

※テイムモンスターが死んだ場合の蘇生方法はテイムモンスター用の蘇生水を一分以内に振り掛ける。

※一分を過ぎるとテイムモンスターは本当の死を迎えカード化されてしまう。


 今はまだ高すぎて蘇生水を用意することはできないが、無理をしなければ、大丈夫だろう。

 明日は情報収集や買い物をして迷宮探索の準備をした方が良さそうだ。


『月光』の夕食は日本のホテルをイメージしていたので、フルコースを期待したが、肉のステーキと野菜スープだけだった。何でも迷宮内で取れる肉を使っているらしく、モンスター肉は家畜の肉より高いそうだ。

 俺は無知が故に名もなき町で価格破壊を行ったようだ……。


 高い宿にはお風呂があった! こっちに来て一〇日以上経つが、湯船を見るとなぜか日本を思い出す。

 二人で一緒にお風呂に入って楽しむ。

 リズが先に服を脱いで、俺の着替えを手伝ってくれた。いつも一人で身の回りの事をしていたから、必要ないけど、リズのしたいようにさせてやる。

 女の子と入るなんて経験はなかったけど、リズが率先して背中を流してくれた。俺に捨てられないために必死なのか?

 浴槽でリズを前にして、後ろから抱き付きながら、長風呂を満喫した。やっぱりお風呂は気持ちがいい♪

 他意は……。


 今日から俺専用の抱き枕もできた事だし、寝る時が楽しみだ。

「ご主人様と同じベッドで寝るのは、おこがましいニャ~」

 この娘は俺の気持ちをわかっていない!

「夜伽の時だけでいいニャ~……」

 すごい恥ずかしそうだ。段々声が小さくなっていた。

「俺が一緒に寝て欲しいんだ」

 正直に言った! ドキドキした。奴隷だから断れないんだろうが……。それでも……。

「ありがとうございますニャ~」

 かなり顔が赤いな。大丈夫か?

 右手と右足が一緒に出てる。


 二人でベッドに入ると、リズはモゾモゾ下着を脱いで、人形のように『気をつけ』をしていた。

 頭をなでてやると緊張がほぐれてきたのか、気持ちよさそうにスヤスヤ寝る。

 そして俺は女性特有の甘い匂いに誘われて眠りに落ちた。

――――ステータス――――

 名前 緑野赤

 種族 人間

 性別 男

 素質 天才

 クラス 獣使い

 レベル 一〇


 HP 一四〇/一四〇

 MP 〇/〇

 SP 二三〇/二三〇


 筋力 五

 体力 五

 素早さ 五

 かしこさ 五

 モンスターの友 七〇


 残りポイント 〇

――――――――――

 クラス特性

・モンスターをテイムできる。

・獣系のモンスターのテイム確率上昇、また獣系のモンスターの能力上昇(上昇率はレベル依存)。

――――――――――

 称号

・スライムの友(衝撃耐性(小))

――――――――――

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

・細剣/木の盾/皮の服/なし

――――――――――

 所持金

・八万二三〇モール

――――――――――

 テイムモンスター ※名前(性別/素質/レベル)

・パンダ(♂/良い/一三)

 武器:竹×二本

・ブルースライム(♀/良い/一一)

 武器:鉄のキバ

 従属:ミニスライム(子供)×八匹

・オーガ(♂/普通/五)

 武器:金棒

――――――――――



――――――――――

 奴隷 ※名前(種族/性別/素質/クラス/レベル)

☆リズール(ネコ族(ラグドール種)/♀/普通/村人/二)

 装備 ※武器/盾/服/アクセサリー

・なし/なし/奴隷の服/なし

――――――――――

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