土方歳三の最期
蝦夷地 箱館
すでに日本は江戸から明治へと年号が変わっていた。それと同じで江戸から東京へと地名変わったらしい。
どれだけ明治政府のやつらは徳川の面影を無くそうとしているようにしか見えなかった。
明日、新政府軍が箱館に総攻撃を仕掛けてくる、榎本武揚から発表があった。
今まで戦ってきた者はそんな気が最初からしていたし、覚悟も決まっていた。
皆が明日は絶対に新政府に勝つぞ!!と、勢いがついていたがその中一人だけさっさと大部屋から出ていった人物がいた。その男は部屋につくと溜め息をつきながら窓の外を見つめた。
日に焼けていない白い肌に漆黒に輝く短く切られた髪。前髪の隙間から見える切れ長の目にくっきり二重。本当に剣豪なのか疑うほど細くなっている体が洋装だとさらに目立つ。しかし、彼こそ冷酷無比な人斬り集団新選組を操る元鬼の副長土方歳三である
今は、蝦夷共和国の陸軍奉行並を役職としている。
土方は数日前、自分の小姓に手紙と写真、京時代からずっと一緒にやって来た刀二本を預け自分の故郷に向かわせた。
すべて分かっていたからである。
今さら命乞いなどしたら先に散っていった仲間たちに会わせる顔がなかった。
土方は色々な思いを胸にしまったまま明日に備えて寝ることにした
ドン!!
次の日、総攻撃が開始されたが……榎本たちが予想していた場所と全く違う、所から進軍してきたのだ
榎本たちは天然の要塞『箱館山』から来るなど考えられなかったが、榎本に松平そして大鳥は数日前の軍議のことを思い出して歪むしを噛んだような顔をしていた。
箱館山から進軍してくるであろう、土方が提案した意見だったが皆が無視をした
「…土方君、土方君はどこかね」
榎本が急に土方を捜したがどこにもいなかった。
その頃土方歳三
「弁天台場の様子はどうだ!!」
土方は数人の兵士を連れ一本木関門前にいた
そこから見える箱館山と弁天台場はどう見ても不利な状況に立たされているようにしか思えない。
「チッ!!島田たち、持ちこらえていてくれ」
土方はただ祈るしかなかった
「土方先生!!あれを!!」
兵士の一人が指した方を見ると弁天台場からの砲弾に負け沈没していく新政府軍の船であった
「この機を逃すな!!退くものは俺が斬る!!」
土方のたったその一声で兵士たちは新政府軍に向かっていった。
その瞬間油断してしまったように――――――
パンッ!!!!
やけに大きく聴こえる銃声と供に体が鉛のように重く、思うように動かなかった。
打たれたのは自分だとようやく理解した
これが死なのだと始めて実感した。思ったより痛くない。ただ、生暖かい感じがするだけだった。
体がだんだん落ちていくのがゆっくりと分かった。そのときに見た兵士たちは悲痛な顔をしていた
すまねぇな。かっちゃん、総司俺はしっかり武士として誠をに生きてたか?
ドサッ
「っ~土方先生!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
兵士たちは戦いを止め、落馬して動かなくなった土方の体を支えるが、もう息をしていなかった
明治2年5月11日 享年35
新政府軍は愕然と見つめることしかできなかった
本当に自分達が殺せたのか…
「何事でごわすか!!」
参謀 黒田清隆が異変に気付き駆け付けたが黒田も目を見開いていた
「土方先生!!」「土方先生!!目を開けてください!!」「貴方がいなくなったらこの戦いはお仕舞いなんです!!」
旧幕府軍兵士は動かなくなった土方の体を支えながら号泣していた
黒田もようやく理解した。
「これでようやく長い戦は終われもんそ。坂本さん、これからおはんがなしたかったことがもうすぐできもんぞ」
黒田は空を見、今なき坂本龍馬に話しかけた。
それから四日後15日
「大変だ~!!!!!!ひ、土方先生が!!!!」
四日間弁天台場で籠城していた者のところにある兵士が駆け寄ってきた
「し、新選組はどこに!?」
兵士は急ぎ新選組を探す。
すると誠の旗の腕章をした集団を見つけた
「新選組の方々、報告があります!!!!」
新選組の集団の前に膝をつく姿を見て他の兵士が何かあったのかと次々と新選組の周りに集まってきた
「土方さんがどうした!!」
「はい!!!!」
新選組の土方にたいする反応がもの凄かった
さすが土方親衛隊を作るほどのものである
「はい、……お話しします。四日ほど前、弁天台場奪還に向かった土方奉行並が………!!一本木関門にて敵の銃弾が当たり戦死なされました!!!!すみません!!我らがついていながら先生をお助けできなくて」
兵士が泣き漏れてしまったが、新選組も周りの兵士たちも理解できなかった
だが、11日 以降、新政府軍の士気が上がっていたのは見て分かっていた。
だが――――――
「ふ、副長が!?」「う、う、嘘だよな、そんな土方さんが!!」
辺りの兵士たちより先に理解したのは新選組だった
唖然と立ち尽くすもの、泣き漏れる者、地面を殴っている者、それぞれであったが全員泣いていた
「土方さんは、局長や沖田さんのもとへ逝かれたのですね―――」
弁天台場15日降伏
そして三日後の18日箱館政府降伏
日本初で最後になった大きな内戦戊辰戦争は約1万3000人の死者が出てた。その内、旧幕府軍の死者約8600人。その中には女性も含まれていた。
そんな大きな内戦はたった一人の死によって終結した
それからの明治政府の仕組みは百年以上たってもあまり変わっていない。
戊辰戦争はどっちがあってるとは言えない。お互い自分の誠をもって戦ったのだから。
百年以上たった今でも旧幕府軍に心寄せる人も多い。それは皆が皆、自分の誠を貫いたからなのではないかと私は思っている