五話。
本当にこいつらは面倒だな。
「いいか?
今日は俺のおごりで来ているが、俺はお前たちに愚痴りに来たのであって、お前たちが喧嘩をするためにおごるわけじゃあ、ない。
お前らがいつ、どこで、何があったとかそんなものはどうでもいい。
お前らがいったいどうして喧嘩しているとかどうでもいいんだ。
ただ……」
「「ただ…?」」
「カップルっぷりを見せ付けてんじゃねーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「「そこかよ!!!!」」
「俺は失恋したあとなんだよ!!」
「あ…ごめんね?」
「いや、あはは…ごめん」
「分かればよろしい。
…っと、俺は用事があるから帰ることにする。
じゃあな~」
「「ばいばーい」」
そう言ってこの場を去っていく。
ちなみに用事なんて無い。
じゃあ、なぜってか?
いちゃつくから。
たぶん、これで仲直りできるだろうし。
その場にいるのはなかなかに辛い。
てか、うざい。
そんなわけで俺は自転車を走らせ家へと帰ることにした。
この時俺は、あんなことになるだなんて思いもしなかった。
…いや、冗談だ。
「………」
絶句。
いや、マジでこんなことになるとは…
あれはフラグだったのか。
え?どんな状況かって?
俺はあの後、帰って寝ようと決めて家に帰ってきたわけだが…
自分の部屋に入ったときに、人が二人いた。
男と女。
ベッドの上で。
男が女の上に乗って口をふさいでいる。
これって…?
「っ~~~~!!!!!
ん~~~~~~~~!!!!!」
“ゴスッ!!”
女子の方が助けを求めたので…
とりあえず男の顔面にまわし蹴りを決めた。
「ギョリュッ!!」
なんか変な声と共にどいた。
と、いうかとんだ。
「ぷはっ…
ありがとう!!柿ヶ島君!!」
美少女が現れた。
美少女は俺の後ろに隠れた。
俺は混乱した。
「あ、間 沙耶?」
そう、あの駆け落ちしたと噂の間さんである。
いや、なぜここに?
え?
「あ、私の名前覚えていてくれたんだ。ありがとう」
「ど、どういたしまして…」
流石の俺でもこれは動揺を隠し切れない。
「て、手前…何しやがる!!」
こいつ、頭大丈夫だろうか?
「黙れ。不法侵入に強姦未遂。
立派な犯罪だぞ?」
「そうだそうだ~」
ノリがいいぜ間さん!
「そ、それは…
フ…。不法侵入だったら沙耶ちゃんも同罪だろ…」
うわ~。
こいつ最低だ。
と、いうかやばいだろ。
格好つけて恥ずかしい~。
てか、名前で呼んでるのかよ。
「やめて。君とおんなじにしないでくれるかな?
あと、名前で呼ばないで。穢れる」
やべえ…
めっちゃ辛辣。
それに名前すら呼んでもらえてないぞ、おそらく神藤であろう少年。
「あ、あはは…
そ、それに!!
あれは同意の下だ!!
決して、無理やりではない!!」
こいつはアレか?
馬鹿か?
いや、馬鹿だな。
精神に異常でもあるんじゃないのか?