30日目
別れの日は思ったよりもずっと早くやって来た。彼は元々1月の間だけここにいるつもりだったらしく、研究の期間が終わったら帰らなければいけなかったらしい。私がそれを聞いたのは2日ほど前である。
何故それを教えてくれなかったのかと彼に問い詰めたら、「ごめん、私と一緒に旅をしてるときの君の顔があまりにも楽しそうだったから、言いづらかったんだ」彼は残念そうにに笑いながら、私の目を見つめた。
迎えの船が来た時、私はとうとう彼に気持ちを打ち明けてしまった。
彼は少し困っていたようだが「絶対に、またこの星に来るよ。その時はまた会おう」とだけ言い残して、大きな船に乗ってあっという間に空の彼方へ消えてしまった。
彼には私の気持ちは分からなかったと思うが、私は言ったことは後悔していない。分かってもらえなくてもいいから、「好きだった」ということを伝えたくてしょうがなかったのだ。
今になって振り返ると、彼との日々は私にとって何よりもの宝物であり、大事な記憶だ。出会いは本当に突然だったのに、いつの間にか打ち解けて、親しくなっていた。
一緒にいたのはとても短い期間なのに、彼の笑った顔や、怒ったときの顔、私の顔を覗き込んでいた時の心配そうな顔 どれも忘れられないものになっていた。
やっぱり私は、天使のような貴方のことを好きになっていたようだ。