1日目
そのときの私の驚きぶりは、並大抵のものじゃなかっただろう。 何しろ旅の途中に泊まった宿屋の一室で、本を読んでいるときにいきなり現れたのだから。私は驚きすぎて、読んでた本をその人に向かって全力で放り投げてしまった。
その人は間一髪で飛んできた本を避けたが、「ご、ごめんなさいっ! 敵意はないんです!」と言いながら私に謝って来た。
しばらくして私の思考は動き出し、「どうやって入って来たの?」と突然の侵入者に問いかけた。その人は「地球に降りるために広い場所を探してワープしてきたんだけど、まさか人がいるとは思わなくって」
ごく普通とは言い難い返答に私は少し面喰らってしまい、「地球に降りるためって……、まさかあなたは他の星から来たの?」っていう答えの分かりきった質問を投げかけてしまった。彼は「ずっと昔に私たちの祖先がここにやってきてこの星を再生させたという情報を掴んで、それを頼りにきたんだけど……」と少し落ち着かない様子で答えた。
そこまで聞いて、私の中で一つの記憶が蘇ってきた。彼の話は、小さいときに私が聞いた『天使』の話とぴったり一致するのだ。
それに、その話が本当だという疑いようのない証拠がそこにはあった。彼は、体も、髪の毛も、瞳までもが美しい金色に輝いていたのだから。