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白夜戦記──世界に光を降らせる日  作者: ルシア
序文

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第?話 黄昏 

初めまして。本作を開いていただき、ありがとうございます。


本日はこの序文に加え、物語のプロローグとなる「第0章(全6話・各話4000字程度)」を一挙に投稿いたします。


まずは第6話までお付き合いいただき、主人公がどのような運命を辿るのか、引き続き読み進めるかをご判断いただけますと大変嬉しく思います。


これからよろしくお願いいたします!

 とある宮殿の最上階、静寂に包まれた執務室。


 ────────────パタン。


 分厚い羊皮紙の束が綴じられた、年代物の装丁本が閉じられる重い音が響いた。

 白髪交じりの豪奢な法衣に身を包んだ若き王は、深い溜息をついて背もたれに体を預けた。

 その傍らに控えていた、濃紺の軍服に身を包む青髪の女性武官が、怪訝そうに首を傾げて尋ねる。


「陛下。……その本、面白くはなかったのですか?」


「いや。素晴らしい本だよ。……人の本質というものが、残酷なほどによくわかる」


「……? それは、戦記ですよね?」


「戦記であり、歴史書でもある。ひとりの男の生涯と、人類の血みどろの軌跡が描かれているのだ」


 王は表紙を愛おしむように撫でた。


「賢者は歴史に学ぶと言うがね……この本から学べたのは、人間というのは本質的に『皆で選び、皆で過ちを繰り返す』──どうしようもなく愚かで、愛おしい生き物なのだということだよ」


 男は重い腰を上げて椅子から立ち上がると、執務室の巨大なガラス窓へと歩み寄った。

 眼下には、天を突くような高層建造物が立ち並ぶ、発展した巨大都市が広がっている。

 かつての英雄たちの犠牲の上に成り立つ、目を開けていられないほどの文明の輝き。


 だが、その繁栄の向こう側は極度の緊張状態であり──世界は明日にも終わる。


「過去の英雄たちよ。……君たちが血反吐を吐いて切り開いた未来で、人類は何かを学んだのだろうか。歴史は変わったのだろうか。君たちが繋いだ道は、まだ続いているのだろうか」


 王は冷たい窓ガラスに手を当て、眼下のきらびやかな地獄を見下ろしながら呟いた。


「あなたたちの力により、人類は救われたのだろうか」


 窓ガラスに映る王の顔は、あまりにも重い決断を迫られ、疲労しきっていた。


「1000年後の歴史家は、我々の今の行いを『延命』と評価するのだろうか。それとも、『変革』と評価するのだろうか。……すべては今、私たちの手にかかっている」


 こめかみから一筋の冷たい汗がこぼれ落ちる。

 若き王は、世界を終わらせるかもしれない決断の重圧に耐えるように、窓に当てた右手を強く握りしめた。

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