1 やるよっ
もし言葉の使い方が間違っている、この人物の話し方にこれはあっていない等ありましたら指摘いただけるとありがたいです。
一話一話短めでいこうと思います。
異世界系のシリアスなシーンとかに疲れたときの息抜きとして書いているので、投稿は完全に不定期です。人気出たら定期にするかも・・・。
高校一年生影島隼人は、学校帰りにカフェに来ていた。
駅から少し離れたところにあるため、あまり客は多くない。全国に展開しているチェーン店ではなく、高齢と呼んでいいくらいの年齢の男性が営む古民家カフェだ。客層としては大人からお年寄りが多い。名前は喫茶スギ。
隼人はよくここで放課後の時間をつぶしている。
理由としては、値段があまり高くなく、長時間いても問題ない混雑具合であり、オーナーと知り合いだからだ。
誰と来るわけでもなく、アイスティーを頼んでスマホを見たり課題をやったりしている。コーヒーではなく紅茶派だ。苦いのは好きじゃない。
隼人はこの時間が気に入っている。一日の中で最も好きな時間だといってもいい。
誰にも邪魔されず、ただ一人静かに過ごす。別に大勢とわいわいするのも嫌いではないのだが、やはりこういう時間も必要だと感じる。
ただ、今日は少し様子が違っていた。
何やらレジのほうが騒がしい。
「えっ、あれっ!?」
「お客様。どうかされまし――」
「ない!やばいやばいやばい・・・」
レジには一人の女子高生がいた。何かがないようで、とても慌てている。
セミロングの茶髪にスラリとした体型。可愛い系でもあるがどちらかというと美人系の顔。強気な印象を与えるつり目。しかし実際はとても明るく、優しい性格であることを隼人は知っている。
彼女は隼人のクラスメイト、陽川紗季だ。
隼人とは違ってクラスの中心的な存在であり、友達も多い。他クラスのとある男子が行った人気調査によると、学年トップ5に入っているそう。あまり女子に興味がない隼人からしても可愛いとは思う。
いつも陽キャの女子グループにいるのだが、今は一人だけのようだ。
こんなカフェに一人で何しに来たんだ?と不思議に思い、少しの間観察することにする。
「あの?」
「―――ない。」
「ん?」
「お金が足りないんです!ちょっ、ちょっとまってください!!」
「あー、わかりました。」
陽川は財布をひっくり返した。だが一円も出てこない。カラっという効果音が鳴りそうである。果てには出てくる可能性があるのか、カバンの中身を散乱させていっている。
しかしそれでもお金が出て来る気配はなく、だんだん顔が蒼白になっていっている。
(はぁ。何というか、杜撰というか、バカというか・・・。)
呆れて見ていた隼人だったが、だんだん涙目になっていく彼女がかわいそうになっていき、三分の一ほど残っていたアイスティーを飲み干した。
「すみませんっ。あの、明日払いに来てもいいですかっ?」
「えー。そういうのできんのか・・・?」
「お願いします!絶対来ますからっ。」
「・・・。」
「じゃ、じゃあ今日お金取ってきますからっ。」
店員は若い男だ。ここの店でよくアルバイトをしている。オーナーがいるのなら聞けば済むことなのだが、今日はあいにくいない。よって、頭を抱えてどうすればいいか悩んでいる。
「んー、あっ。スマホありますか?ここ電子マネーも対応しているんで、それで払っていただけたら。」
「・・・充電切れてます。」
「まじかよ。」
店員が敬語を忘れているが、それはもはや仕方ない。隼人もまじかよ、と心の中でつぶやく。なんてタイミングの悪いことだろう。
「となると、誰かに連絡してってことも無理だよな。」
「はぃ・・・。」
「どうすっかな・・・。」
打つ手なしという状況だった。
(・・・まぁ、今の俺ならばれない、か。)
隼人は荷物をまとめ、席を立った。レジに近づく。
「いくらだ?」
「・・・っ。」
店員は隼人の姿を見て驚いたように目を見開いたが、隼人は目で合図をして自分について言及しないよう指示を出した。すぐに、通常の表情に戻る。
「え?」
「いくら足りない?」
「えっ、ええーと、130円です。」
陽川は驚きと戸惑いの表情をしていたが、それは無視してもう一度聞いた。
「ん、じゃあこれで。ああ、俺の分も含めてな。ぴったりなはずだ。」
そう言い五百円玉と伝票を渡した。
「えっ、なんで・・・」
「ん?お金足りなかったんだろ?やるよっ。」
「――み。」
「え?」
「神!!ありがとうございます!!」
(いや大げさだな。)
「あの、また今度返すので連絡先・・・」
「ああ、そういうのいいから。別に返さなくていい。」
「でも・・・。」
陽川は借りを作ることを気にしているようだったが、これ以上追及されても面倒なので、早々にカフェを立ち去る。
「あっ、あの!本当にありがとうございました!!」
カフェの扉が開く音がし、陽川の声が聞こえたが、振り向かない。
今の隼人は私服だ。それも一般的な学生が着るものではなく、ガラの悪い不良少年が着るようなものだ。真っ黒な服に金色のネックレス、ピアスもつけており、髪も前で分けている。
学校での姿とはまるで違う。学校では前髪はすべて前に降ろしており、服は制服。ピアス穴は肌に似た色のテープで隠している。そしてメガネもかけているし、白いマスクをつけていることも多い。友達と呼べるほどの人は誰もおらず、一人教室で本を読んでいるような陰キャだ。
だから、きっと陽川に自分だと気づかれることはないだろう。
見ていられなくなったから助けただけ。もうこれ以上関わることはない。
きっとそうだ。
フラグですね。
次回更新は2月25日予定です。




