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ideal編

ideal「敵が欲しかった。殴っても良心が傷まないような、誰にも同情されないだろう相手。それが近所で見つかったのは、偶然だった」


ideal「もう習慣になってる近所の散歩。もちろんただ歩いてるだけじゃなくて、モニターモードのWifiアダプターを付けてkali linuxをインストールしたUMPCを持ち歩いて、aircrack-ngとかwiresharkで近所の端末を覗いて回る。hak5のwifipineappleは高くてバイト代では買えなかったけど、代用品をGL.iNetのMangoルーターとopenwrtで作るのはそんなに大変じゃなかった」


ideal「…たまたまだった。wiresharkで久々にウィークパスワードの屋内監視カメラIPを引き当てて、気になって録画したのを早送りで見たらその部屋に置いてあるデスクトップの画面は明らかにSIMスワップの工程を映してた。画質が粗くて全部は解読できなかったけど、たぶんクリプトの二段階認証を突破して盗むため。アパートの一室に複数人が出入りしていて、夜は誰もいなくなる。"そういう組織"が借りてる部屋なんだと思う」


ideal「警察に通報するのが早かったんだと思う。でも、どうやって説明すればよかった?私がやってる監視カメラの盗聴だって立派な犯罪だし。何より、いい機会だと思ったのが正直なところだった。去年から続いてるもやもやに蓋をする機会がやっと巡って来たって」


ideal「高校でRaspberry piやArduinoの話ができる同性の友達は一人もいなかった。HATを買って接続するどころか、パソコンを持ってなかったり、人によってはスマホのブラウザが何かすらわからないなんてこともざら。Hardend Firefoxを使ってる私としてはブラウザをGooglechromeやSafariのことだって説明するのは抵抗があるから、wikipediaとか見るアプリって説明して無理やり納得してもらってた」


ideal「自分が浮いてた自覚はある。メイクもファッションも最低限しか興味なくて、気づけばkali linuxやdragonOSをいじってる。LimeSDRなんてハッカーでもめったに持ってないよね。話が合わない友達といるのが面倒で、少し孤立してたと思う」


ideal「…唯一、まともに話せた気がするのはあの先輩だけ。一年上で、男子なのに声が高くて、なぜか"~のだ"っていう語尾をつけてて、あんまりいい噂を聞かない人だった。里親の家にいるとか、物凄く育ちが悪かったとかなんとか。でもハードウェアいじりに興味を持ってくれたし、一度近づいた相手には過剰なくらい親切な人だったのを知っている」


ideal「先輩は自分が知らないことでも、私が疑問に思うとすぐに検索して魔法みたいに答えを探してくれた。そんなことが何度もあった。あともしかしたらだけど、先輩も悪いことに興味があったのかもしれない。ペンテストツールの話をしたときは、なんだかいつもより真剣に聞いてくれた。否定しないでくれたのがすごく助かったんだよね」


ideal「…それもそんなに長く続かなかった。先輩が三年に上がってから、いつもより疲れた顔をすることが多くなって…何度も聞いたけど、なんでもないのだって教えてくれなかった。ある日もっと辛そうな顔で一日過ごしてて、さすがに見放せなくて問い詰めてしまったことがある。そしたら、どうしても守りたい人を守ってあげられなかったって。先輩は、いったい何を抱えてたの?」


ideal「それ以来、先輩は表面上は元通りになってた。でも、わたしだけは違和感があった。しばらくしてから、また少しずつ元気になるようになって…その代わり、学校が終わったら放課後に私と話すのもそこそこにすぐ帰るようになっちゃった」


ideal「それで、先輩が卒業したらそれっきり。連絡先も返事がなくて、先輩の里親すら今何をしているのかわからないって。そんなのあり得る?…それ以来、高校は味気なくて。LJKだってbioに書く同級生のXを横目にRedditとGithubを巡回して、卒業して、大学進学も就職も気力がわかなくてバイトとお散歩だけしてる」


ideal「未来がないってわかってる。だけど、もやもやは誤魔化せなかった。そんな時に見つけた獲物を、他の誰かに―例えば警察とかに簡単に渡したくなかった。Mr.Robotじゃないけど、調べられる範囲のことを調べてから匿名で公表するとか。そんなことを思いついてしまったら離れられなかった」


ideal「標的のアパートの玄関前にできるだけ高画質な監視カメラを仕掛けて、鍵のパターンをコピーすることから始めた。ブランクキーとやすりを買って、パターンを書き起こして鍵を削る。若干怪しい部分は長めの歯にして、鍵が回らなければ現地で削り直せばいい」


(時間帯は夜)

ideal「…開いた。ストレート一発だ。私も意外といけるじゃん…お邪魔します」


ideal「指紋防止用に手袋はしてる。毛髪は警察じゃないと回収できないだろうから犯罪組織相手ならあんまり問題ない。…手袋してるのに手が震える。寒いわけじゃないのに」


ideal「さて、いつもは夜は留守だけど、万一のことがあるし人が来る前に急がないとだ。まずは管理画面からカメラを停止。もともとパスワードが割れてるから、deautherを使うまでもないよね」


ideal「ducky用のスクリプトを入れたArduino。RCE(Remote Code Execution、遠隔操作)を可能にするコマンドをコマンドライン入力するBadUSBをデスクトップの背面に差し込む。Hak5のRubber Duckeyは高くて買えなかったんだよね。…seytonicさんの最初の動画がDuckyを代用するチュートリアルだって知った時は驚いたな、あの人サイバーニュースのイメージしかなかったのに」


ideal「次にwifipineapple…Mangoで作ったから、wifimangoって感じかな?どっちでもいいや、電源が取れて目立たない場所に仕掛ける。…引っかかってくれるといいなあ、お金かかってるもんこれ。円安ほんと辛い」


ideal「あとは…(開錠音)えっ?」


標的「中島さんも人使いが荒いよ、忘れものくらい自分で取りにくれば…誰だお前?」


ideal「…あれから十分くらい。頭の中では反省がぐるぐるしてる、例えばアパートのエントランスにカメラを仕掛けて見覚えがある人間が映ったらすぐ逃げるようにすればよかったんじゃないかとか。手間考えると現実的じゃないけどね。スマホ、没収されちゃったけどこんな時に備えてブランクの中古androidにしておいてよかった。SIMも挿してないし、指紋もつけてないからあれで足がつくことはないと思う。どっちみち位置情報バレを考えたら電源オンのスマホはとても持ち歩けなかった。でも、ロック解除しろって言われたら半分詰んでたな…UMPCもゲーム機ですって言ったら納得してくれたし、詐欺組織にいる割に優しいっていうか甘い人でよかった。steamdeckの64GBモデル、ぱっと見nintendo switchみたいな何かに見えるもんね。勿論MicroSDはkaliのライブブートドライブからインディーゲームの外部保存用のやつに交換した。…まだBadUSBにもwifimangoにも気づかれてない。今のうちに逃げたいけど、奥の小部屋に閉じ込められた上にドア枠に外付けのロックみたいなのを掛けられた…ラッチの穴に嵌め込むやつ。窓も人が通るには小さい。今のうちに、クローンした鍵だけでも投げて捨てようかな?」


標的「もしもし中島さん?例の部屋に行ったけどなんか変な女の子いたんですよ…いや、鍵は俺がちゃんと掛けてました。流石に忘れないです。何のつもりだったのか聞いてもいまいち要領を得なくて、俺も困ってて。さすがに親とか警察とか呼ばれたら面倒だからスマホだけ没収しました。…え、身体検査?!嫌ですよ女の子相手に。中島さんがやってくださいよ…なんかゲーム機みたいなのと、よくわかんないパソコンの部品みたいなのごちゃごちゃ持ってました。googleレンズ?なんすかそれ?俺スマホ苦手なんですよ…パソコンも苦手だけどさ。…え、ほんとに来てくれるんですか?!すいません、助かります…俺肝心なとこでバカ晒す癖あるからマジで助かります!どのくらいかかりますか?あ、ニ十分…了解です。それまでうまい感じで出さないようにしておきますね」


ideal「まずいまずい…あの人は何とか誤魔化しが利きそうだけど、上の人は無理だろうな。私殺されたり…しないか、でも絶対やばいことになりそう。うー、この窓から無理やり出られないかな?せめて見つかったらやばいものを全部捨て…拾われたら余計まずいかなあ。kali入れたSDをワイプする?復旧防止で上書きしまくると結構時間かかるけど間に合うかな。北朝鮮の人はMicroSDカードくらいなら嚙み砕いて飲み込むって聞いたことある。韓流ドラマとか見てるの見つかったら大変だもんね…あとニ十分、時間があんまりない。まずは窓を開けて…え、ドローン?なんで?」


標的「マジで転職考えようかなあ…でも、俺履歴書白紙だからここでしか食っていけないんだよな。SIMスワップとかわけわかんないけど、上の人が俺のやることは全部考えてくれるし。…あ、今のあの変な女の子に聞かれてたらヤバかったか?!まあ何のことかわかんないだろうからいいだろ。俺こんな事態に慣れてないから、中島さん早く来てくれるといいなあ…(開錠音)あ、もう来たんですか?予想より早かっ…え、お前誰だよヘルメットなんかして。へ、なんだその布?ちょっとやめ…(打撃音)ぎゃっ!!」


zulu「(開錠音)早く逃げて!ここを離れるわ」

ideal「え?は、はい!」


kaliをsteamdeckに入れる例 どうやら非ゲーミングだとAPUの性能は下がるらしい

あとキーボードないのは辛いね

https://github.com/zulumon44/Kali-On-Steam-Deck

なんでOLEDだとParrotエラー吐くんだよ!ちなみにtailsがsteamdeckで動くかは未検証、まず大丈夫だと思うけど

https://www.reddit.com/r/SteamDeck/comments/183wf2o/running_kali_linux_on_steam_deck/?tl=ja


(場面転換)

zulu「とりあえずエリアを離脱しないと…駅までの足があるから後ろに乗って」

ideal「何これ、自転車?バイク?」

zulu「特定原付自転車。一応ナンバープレートは要るけど免許不要だから身分証を持ち歩きたくない時に取り回しがいい…本当は二人乗りは駄目だけどね」

ideal「あの…ヘルメットしてるけど、女性の方ですよね?」

zulu「え、ど、どうしてですか?」

ideal「その。声に聞き覚えがあります。私の高校の先輩に似てる」

zulu「他人の空似じゃないかしら。別にあなたに見覚え―」

ideal「じゃあ、なんで助けてくれたんですか?ドローンでこっち見てたんですよね…絶対に偶然じゃない。しかも私が閉じ込められてることを顔だけで気づけるのは、知らない人じゃ無理だと思う」

zulu「そ、れは…あの部屋の性質を考えたら、あなたみたいな年代の女の子がいるわけがないと思ったから。むしろ、なんであんな所にいたの?」

ideal「それはこっちが聞きたいですよ。先輩、警察にでもなってたんですか?…なわけないか、どうやったかわからないけど、あの人を殴り倒してそのまま出てきちゃいましたもんね」

zulu「ええっと、私はあなたの先輩じゃないです。声もヘルメットでくぐもってたまたまそう聞こえるだけじゃないかな」

ideal「ううんやっぱり似てる、というか同じだ。わたしが先輩の声を聞き間違えるわけがない。…去年ずっと探したんですよ?里親の人は殆ど心配してなかったから、わたしが見つけないと本当に誰も覚えてないまま消えちゃうんじゃないかって。今までどこ行って何してたんですか?…ううん、先輩が無事に生きていてくれただけで嬉しいけど、それだけじゃとても満足できないですよ。聞かせてもらいますからね?」

zulu「何の話してるのか、わからないのだ…暫く上の人と通話するから、その間に少し落ち着いてほしいのだ」

ideal「先輩、揺さぶりに弱いところ直ってないじゃないですか。もしかしたらって思ってカマかけてみたらいつもの口調に戻ってますよ?」

zulu「…局長、局長?緊急事態発生です、オンサイト(on-site)で女性が一名拘束下にあるのを偵察中に発見して、現地に赴いて保護しました。その過程で標的の一名をbandandoで攻撃して傷を負わせており、今後のカバーやpretextの維持は困難と考えられます」

ideal「(小声で)先輩、せんぱーい」

zulu「…はい、現在は彼女と車両に同乗してエリアを離脱しています。セーフハウスの使用許可―」

ideal「しょうがないなあ。えいっ!」

zulu「あれ、切れちゃった?」

ideal「へへっ、こっそり輸入したモバイルフォンジャマーです。3Gまでなら安く止められるけど、4Gとか5G止めるやつはめっちゃ高かったんですよ?」

zulu「ちょ、ちょっとやめてほしいのだ?!何考えてるのだ電波法違反もいいとこなのだ!」

ideal「範囲狭いから迷惑にならないですもん。あ、先輩やっと振り向いてくれた…近くで見るとやっぱり普通に先輩だな。でも、よそ見運転は危ないですよ?」

zulu「わわっ!とにかく落ち着いて話し合いましょう。あなたを見くびっていたことは謝るけど―」

ideal「今更取り繕ってももうぼろぼろなのに。わたしもね、先輩が何か危なっかしいことしてなかったらここまでしなかったですよ。このままお別れしてまた行方不明になるのだけは許しませんから、強硬手段もとります。嫌ならこのまま放りだしてくださいよ、車道だけど」

zulu「もう、なんでこんなことになっちゃったのだ…本当に…とにかく、落ち着ける場所が欲しい。いったん帰ろう…」

https://www.jammer-store.com/

https://www.jammer4uk.com/product/portable-mobile-phone-blocker-244-pro (こっちの方が安い!)


sheep「…それで。なんでよりにもよってHQ(headquarter、本部)に帰投しちゃったわけ?使い捨てられるセーフハウスも現地近くに借り上げたFOBもあったでしょう?」

zulu「あ、あ…気が動転しすぎて…ごめんなさい!」

sheep「はあ…ここも引き上げ時かしら。引っ越し代もただじゃないのだけど、まあ必要経費よね…持ち家じゃなくてよかったわ」

zulu「本当にごめんなさいなのだ、足りないと思うけど、諸経費はぼくの給料から天引き―」

sheep「しないわよ、これも経費のうちだもの。税務署にはどっちみち申告できないけれど…それで、あなたはいったい何者?」

ideal「ええっと私の名前は―」

sheep「それは聞いてない。この空間で不用意に本名を晒すのは危険だわ、お互いにね。ああ、こちらから紹介するのが礼儀かしら。私はsheep、彼女…いえ、通じないみたいね。彼はzulu。そういうpseudonymなの、違和感はあるでしょうけど慣れて頂戴」

ideal「スードニム、スードニム…ああ、偽名のことですか。普通こういうのって日本人風の自然な名前にしませんか?」

sheep「当然使い捨ての名前もあるわ。それで、あなたはいったい何が目的であの場にいたの?」

ideal「…それを答える前に、一つどうしてもお伺いしたいことがあります」

sheep「聞くわ」

ideal「先輩…zuluさんとsheepさんはどういう関係ですか?」

sheep「…職務上の関係といったところかしらね。大雑把に言えばその理解で間違ってないわ」

ideal「その仕事。危険じゃないんですか?偽名なんか使って、一撃で人を殴り倒して…どうして先輩がそんなことに巻き込まれてるんですか?」

sheep「…それは、あなたには関係のないことだわ。そういう生業をお互い選んだの。他に生き方なんてなかったもの」

ideal「一体、なんでそんなことになっちゃったんですか。先輩、わたしじゃ頼りなかったですか?」

zulu「その、いろいろごめんなさいなのだ…せめて卒業前に何か言うべきだったのかもしれないけど、未練になることを残したくなかったし。何より要らない心配を誰にもかけたくなかったのだ…もうとっくに誰からも忘れられてると思い込んでて、何よりこんなことになるとは思わなくて…」

ideal「私は。先輩がいなくなってから何も手につかなくて、高校卒業してからwiresharkで遊んで回ってたらたまたま詐欺やってる連中のアパート見つけて、もし潰せたら少しはすっきりするかなって思って。それで合鍵無理やり作って入ってみたらあっさり捕まっちゃいました。現実はドラマみたいに行かないし、どんなに準備しても捕まる時はあっさり捕まっちゃうんだって。先輩は、大丈夫なんですか?今日はわたしのせいで迷惑かけちゃったかもしれないけど、それ以前に普段から危ない目に遭ってないって私の目を見て言えますか?」

zulu「それは…できるだけ、気を付けているのだ。ぼくにはどうしてもやりたいことがあって、そこから逃げるのはぼくがぼくじゃなくなるのと同じだから。今の生き方を変えることは、できそうにないのだ。だから、その、今日あったことは全部忘れて―」

ideal「そのやりたいことって、探偵とかいうやつですか?」

sheep「あなた、どうやってそれを?zulu、教えてないでしょうね」

ideal「先輩じゃないです。先輩が着替えてる間に、パソコンのHDMIケーブルにトランスミッター(Hak5謹製ScreenCrabさん)を噛ませてwifiで画面を盗聴しました。なんか、依頼文みたいなのが映ってたのだけ見えましたけど…」

sheep「なんてこと…よりにもよって依頼文を見られるなんて。あなた、好奇心は猫をも殺すって言葉知らないの?」

ideal「ごめんなさい…助けてもらったのに恩を仇で返したとは思ってます。でも、どうしても知りたかったんです」

sheep「一体全体、どうして私たちのことを探ろうとするのかしら。私たちがあなたを無事に帰すとは限らないと思わなかったの?」

zulu「局長、ぼくが甘かったんです。彼女にも責任はあるけれど、こちらは彼女の身元も不法行為の証言も握っています。それでなんとか口止めの代わりにできませんか?」

sheep「zulu、あなたが口を挟んでいい場面じゃないわ。HQに部外者を招いたうえ、必要なボディチェックをせずに席を離れたのは失策の重ね過ぎよ」

zulu「…わかっています。どのような処分でも引き受けます。ですが、それはぼくの責任です。彼女には寛大な対応をお願いできませんか…?」

sheep「それを判断する前にこの子に聞きたいことがあるの。ねえ、あなたの行動はただの好奇心?それとも私たちへの制裁感情?いえ、どちらでも構わないのだけど、どちらかによってあなたに言わなければならない言葉が変わ―」

ideal「そんなんじゃないです、何にもなかったらここまでしてないです。先輩が何かに巻き込まれているのに、何も見えないままはもう嫌なんです!」

sheep「あなた…そう、そうなのね。でも、それはとても損な生き方よ?世界はとても広いの。zulu以外にも見るべき人はいて、人生にやるべきことは山積してるのよ。このままたった一人を追いかけるような生き方をして、何年後悔しないと言えるの?」

ideal「そんなの。世界のために先輩を見放すような生き方はしないです」

zulu「どうして…ぼくはそんなこと望んでなんかいないのだ…」

ideal「だってきっともう私しかいないじゃないですか、先輩のことをただの先輩として見られるのは。sheepさんとは…職務上の関係なんでしょ?じゃあ、わたしがいないと駄目ですよね」

sheep「あなた、自分が言ってることわかってる…?この際だから一つ認めるわ、私たちの活動には非合法なものが多く含まれているの。職業犯罪者と関わることは、一歩間違えれば犯人隠避罪に繋がりかねないのよ?」

ideal「それくらい知ってます、私も刑法はちょっと勉強したから。でも失いたくないものが法律の外側にあるなら、それはもう仕方ないじゃないですか。このまま普通に暮らして、今日あったことをきれいに忘れて人並みに生きられるほど器用じゃないんです。…器用だったら捕まってなくて、先輩に見つけてもらえなかったから。きっとこれが最後のチャンスだから、何も躊躇いたくない」

sheep「その結果の責任を全て負うということ?忘れたら、少なくともこれ以上は傷つかずに済むわ。明日の私やzuluの身に何が起きるかすらわからない、運が悪ければあなたも巻き込まれるかもしれない、そんなことを私は望んでいないわ。zuluもね。その想いを足蹴にしてまで手放したくないものがあると言えるの?」

ideal「sheepさん、いい人だ。でも、いい人だけだとすぐに消えちゃいそうだから。先輩のこと捕まえておくには、ちょっと強引なくらいじゃないと駄目なんです、そうしないとまたいなくなっちゃうから。それに忘れてませんか?私も法律はたくさん破ってますよ。…許してほしいとも、認めてほしいとも言わないです。私は置き去りにされたくないだけなんですよ」

sheep「そんなことを言って、危険な世界に飛び込んで、抜け殻のようになったあなたを見るのはごめんだわ。zuluが責任を感じるもの。悪いことは言わないわ、引き際を弁えるべき時もあるのよ。第一、私たちにまで攻撃を仕掛けてそれを素直に自白するなんて自殺行為よ。私が本当に危険な組織の一員だったらどうしてたの?」

ideal「…そうじゃないって確信を得たかったから。先輩が脅されたりして本当に悪いことをやらされてるのなら、二人きりのうちに引きずってでも連れ出すつもりだった。依頼文見ても深くはわからなかったけど、非合法でも誠実に依頼を解決しようとしているのがなんとなく分かったからわたしが止めちゃいけないんだって。盗聴したことは、改めてごめんなさい」

sheep「…Insider threatへの対策が甘かった私の側にも落ち度があるわね、今回のことは不問に付しましょう。その代わり―」

ideal「たぶん私のせいで調査が台無しになって困ってますよね。あの、私に提供できるものがあります。あのアパートの部屋にRCEできるBadUSBと、evil twin…自作したwifipineapple的なやつを仕掛けました。普段はあそこ夜は空だけど、今日は人の出入りがあったはずだから今ごろ起動してると思います」


I Built a DIY Cybersecurity Tool Using a Wireless HDMI Transmitter – Inspired by Hak5 Screen Crab!(これパソコンの側からセカンドスクリーンを許可しないといけないから言うほどScreenCrabの代用になってるか??)

https://www.youtube.com/watch?v=vDVyiKGr2zg

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