王子様と素敵なご令嬢の波乱満載? お披露目パーティー
そして、数日の月日が過ぎた。
「きちんと採寸ができて、本当にようございました」
今、またあの高級ブディックに来ていた。事前にガッツリサナを連れて採寸していたおかげで、今度は服のサイズが、本当にピッタリである。
「前回のようなエレガントなやつじゃないんだね?」
「前のは、ミスコン仕様だったからね。今回はサナの可憐さを引き出したいと思って……うん、このドレスの方がより似合ってるよ」
サナの言葉に、羅那は満足げな笑みを浮かべて、そう告げた。
「なるほど……言われてみれば、こっちのドレスの方が好きかも……」
今回着ているのは、淡い水色のドレスだ。どちらかというと、上品な大人っぽさに可憐さが加わった、フレアスカートが動きやすくて、しっくりくる。露出度も少なく、その上、上品なボレロも付いて、かなり可愛らしい装いだ。
それに、以前貰った特別な証でもある鳳凰のペンダントと重ねることで、より上品さが増しているようにも感じられる。また、手首にはあの弓のブレスレットもつけていた。
「えっと、この後はやっぱり?」
「もちろん。……それと、サナが見たがってた正装も見せられると思うよ」
「えっ!! ホント!!」
ドレスを着たサナは、羅那のランボルギーニで、今度はあの美容室へ。
「あらあら。素敵なドレスじゃない。原石ちゃんにピッタリね! 前のよりもこのドレスの方が私、好きよ? 羅那ちゃん!」
「そう言ってもらえて何より。今日は僕もセットしてもらえると助かるよ」
「ふふ、そうだと思ってたわ。しっかりセットさせていただくから、ご覚悟、よろしくて?」
「お、お手柔らかに、お願いします……」
腕は確かなのだが……この女性(?)美容師の雰囲気にはなかなか慣れないサナだった。
そして、数時間後。
「どうかしら、原石ちゃん?」
「はわわわ…………か、可愛い……です……」
「ふふ、こっちの方があなたらしい気がすると思うわ。きっと彼も惚れ直すわね。あっと、ちょっと羅那ちゃんの方に行ってくるから、あなたはここで待っていてね?」
「あ、はい……」
サナがほえええと、その出来栄えにほわほわしていた。前回はかなりエクステとかを使って、ボリュームを出していたが、今回は今の髪型を生かすような感じで、綺麗にセットされていた。メイクも前回よりもナチュラルメイクで、それでもおめめ、ぱっちり、ぷるんなピンク色の唇、それに上品なイヤリングもつけられて、どちらかというと、サナのイメージをより引き立たせるような、そんなメイクとヘアセットであった。
「サナ、お待たせ」
「あ、羅那くん、準備が……おわ、った……」
サナは絶句した。そこには、柔らかな笑みを浮かべる、眼鏡の…………王子様がいた。文字通り。
その胸には鳳凰のブローチもつけて。
ちなみに、羅那が来ているのは、白い、文字通り王子様が着るような白の軍服のような服だった。しかもかなり上品ではあるものの、その装飾が……少々多い気がする。
けれど、それが嫌味なく、颯爽と着こなしている辺り、羅那の美形指数は高いのではと感じてしまう。
「……ふふ、サナもとても綺麗だよ……ここでキスしたくなるくらいに、ね?」
「羅那ちゃん、ダメよ?」
「わかってるよ。ここではしませんー」
あのカリスマ美容師に言われて、羅那は思わず苦笑する。
と、思い出して、羅那はもう一度、サナの方を振り返った。
「!!!!!!!」
サナは羅那の王子様恰好もとい、正装を見て、真っ赤になっていた。
「えっと、サナ?」
「待って、ホントに待って…………格好良すぎ。しかもそれ、派手……じゃないの?」
言われて羅那は確認する。そういえば、なんだかんだと髪飾りなんか付けてたし、耳には少々派手なカフスまで付けていたように感じるが。
「親父ほどじゃないよ。これでも大人しい方」
「そうね、会長はもっと豪華絢爛ですものね。ホント、羅那ちゃんのご家族は凄いわよ」
「見てみたいような、見たくないような……」
「それも、今日見られるよ、きっとね」
そっとサナを手を引いて、立ち上がらせると。
「では、行きましょうか。サナ姫?」
「はうっ!!」
特上の甘い顔で羅那が囁けば、サナは一層、頬を赤くさせたのだった。
そして、会場にたどり着く。
高級ホテルの最上階にある大宴会場。そこでアサギグループのパーティーは開かれていた。
「ようこそ、浅樹様……ですが、まだ……主賓の会長が来ておりませんので……」
案内スタッフの言葉に、羅那は少し瞬きつつ。
「珍しいね。いつもなら、もうとっくに着いている頃なのに」
「渋滞に巻き込まれてしまったようです。今日は要人が皇室に来ているとかで……」
「ああ、そういえば、ニュースでやってたな……仕方ない。先に挨拶を済ませておこうか」
「えっと、羅那くん……大丈夫なの?」
「問題ないよ。こういうのもたまにはあるし。サナはどうする? 控室で待っててもらってもいいけど……」
「わ、私も行くわ。ちゃんとご挨拶しておいた方がいいと思うし……」
そういって、羅那の隣に寄り添う。それが羅那には嬉しくて、思わず、その腰をそっと引き寄せた。
「ちょ、羅那くん……!!」
「大丈夫だよ。僕がリードしてあげるから、ね……」
さっそくサナを連れ立って、会場に入った、その時だった。
――カシャンッ!!!
会場の上部にあるガラス窓が割れ、そこから現れたのは。
「妖魔!?」
眷属ではない、妖魔が……会場にいる人々に向かって襲ってきたのだった。




