表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミッドナイト・リィンカーネーション ~運命に選ばれた彼と恋をして世界が変わりました~  作者: 秋原かざや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/84

回転寿司後の腹ごなしなバトル

 夜の林。湿った空気の中、3体の妖魔が木陰で談笑していた。

「ねえねえ、あそこの店にいる連中、さくっと喰っちゃおうよ!」

「でもよ、さっき強い魔力の気配があったぜ。気づかれたかもな」

「え~、全然見てなかったし~。ばれっこないってば~!」

 妖魔たちはニヤリと笑い、視線を街道の先――回転寿司屋へと向けた。

「まあいいや。さくっと喰って、力つけて、魔王様をお迎えしよー!」

「おう、魔王様のためにな!」

「そしたら、魔王様に褒めてもらえるかな~? だったら、頑張っちゃうよ?」

 その瞬間、静寂が落ちた。


 林の奥から、低い声が響く。

「残念だけど――それは辞めてもらうよ」

 眼鏡をかけたスーツ姿の青年が一歩、踏み出す。

 羅那だ。その足元の落ち葉が、魔力の風でわずかに浮いた。

「あっ! 強い魔力のお兄さんだー! 食べたら褒めてもらえるかなー!」

 無邪気な声。だが、次の瞬間には羅那が、口元に冷ややかな笑みを浮かべていた。

「『魔王様』か……けど、お前達はもう、その魔王様には会えないと思うけどね」

「はあ!? 何言ってんだよ、お前、人間じゃねぇか? 俺が先に――」

 飛びかかろうとした妖魔の身体が、突如止まる。

 空気に張り巡らされた光の糸――


「エレクトリック・ストリング」


 ピンッ――。

 弾けた音と同時に、妖魔の胴体が心臓の辺りで真っ二つに切れて、そのまま消滅していった。


「……まずは一体目」

 その冷ややかな声に、残る二体が怯んだ。

「え……何、何なの?」

「えええ、もう終わっちゃったの? ばっかじゃない!?」

 言葉が終わるより早く――銀光が走る。

 木の上から、矢が閃き、もう一体の頭を貫いた。

 矢は聖光を帯び、妖魔を灰に変えた。

「大丈夫、羅那くん? あと一体だね」

 林の外から、澄んだ女性の声が届く。サナだ。白銀の弓を構えたサナが、静かに息を吐いた。

「腕が上がってきてるね。一撃で仕留めるなんて、流石だよ。その調子でいけば、もっと一緒に戦えるね」

「もう……褒めても何も出てこないからね?」

 そこでようやく、羅那は柔らかな笑みを浮かべた。それを見て、残る1体の妖魔が、怯えたように後ずさる。

「お前を倒して、魔王様の元に戻ってやるわっ……!」

 羅那はその声に反応し、ゆっくりと妖魔へと近づいていく。

「お前の言う『魔王』とは、どんな奴だ?」

 羅那の放つプレッシャーに2人の妖魔達は焦りを見せるものの。

「あ、あんたに言うわけないでしょ!!」

 妖魔が跳んだ。爪が風を裂き、羅那の胸を狙う。

 だが――。


「隙を見せたのはどっちだ?」

 瞬きの間に、羅那の魔剣がぴたりと、妖魔の胸の前で止まっている。

 カルディトゥスの双刃が蒼白い光を放ち、妖魔の動きを封じる。


「サナ。残りは、目の前のこいつだけ……だよね?」

「う、うん。あいつで終わりだよ」

 羅那が視線を戻す。女妖魔は、震えながらも笑った。

「ふ、ふふ……知ってても、あんたに言うもんですかっ!!」

 妖魔の姿が、消えた。羅那の背後に回る――が、すでに遅い。


「俺の目の前で、術を使うつもりか? 無駄だったな」

 カルディトゥスの刃が閃き、そのまま妖魔の胸を貫いた。がくりと力なく女妖魔は倒れ、消え去っていく。

 青い光が林を照らし、すべてが静寂に包まれる。

 かちんと、2本の魔双剣を鞘に納めて、ふうっと羅那は息をついた。


 サナが駆け寄り、羅那へと声をかけてきた。

「……はあ。羅那くん、ほんとに容赦ないよね……」

「まあ、相手は妖魔だからね。情けは無用ってやつだよ」

「けど……あの妖魔達、魔王様がどうこうって言ってたね」

「災厄=魔王だったかな。それに、喋る妖魔がまた出てきたこと、父さんにも報告しないと……」

「また、翔さん、頭痛いことになりそうだね」

「ふふ、そうかも。けど、それだけだったから、そんなんでもないと思うよ。……さてと、戦い終わったし、さっさと帰ろうか」

 羅那がそうサナに手を差し伸べて、そのまま羅那の車のある駐車場へと戻っていく。


 夜風が二人の間を抜けていく。焼け残った木の匂いと、静寂だけが残った。

 月影の下、二人の影が並んで、その場から立ち去ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ