実はすごいサナの能力!?
サナと美咲は、もくもくと、資料整理を行っていた。
「お疲れ様、二人とも。よかったら、ミルクティー飲んで一息ついたらどうかな?」
そんな彼らの元に、冷たいミルクティーを持ってきた羅那がやってきた。
「あ、羅那くん! ありがとう!」
「どういたしまして」
サナが嬉しそうに受け取るのを、羅那もまた嬉しそうに笑顔を返す。
「で、美咲。サナは使えそう?」
「使えるってもんじゃないです」
ごくごくと差し入れのミルクティーを美味しそうに飲んで、美咲は続けた。
「なんていうか、尋常じゃない記憶力と言うか……」
「ファイルの場所を知っててびっくりしたとか?」
「だって、一度、覚えた場所を忘れないんですよ、この子!!」
「ちょ、美咲ちゃん? 普通、覚えてない?」
「いい、サナ。こんな、同じようなファイルのコレ!! 背表紙だけで覚えていられるってだけで、ヤバいの!! 自覚して!!」
「ええーー、だって、番号書いてあるし」
「書いてあるし……って、それだけで、分かるのサナだけよ!! それだけじゃないんです!!」
「うんうん、聞かせて聞かせて?」
羅那に促されて、美咲は更に続ける。
「途中、他の人がやってきたんです。そしたら、サナ、なんていったと思います?」
『その資料なら、さっき整理したばかりですから、案内しますよ。D43のファイルですよね?』
「って、案内しちゃってるし!! しかも、始める前に、羅那くんに電話したでしょ?」
「ああ、してたね」
『羅那くん、ここのファイル、使う頻度に応じて、纏めちゃっていい? ジャンル分けは後でするから』
『うん、それでいいよ。でも、サナ……あ、切れちゃった』
「そういえば、僕が尋ねようとして、サナが一方的に切っちゃったね」
ちょっと思い出して、ちょっぴり不機嫌そうだ。
「あー、なんとなく、羅那くんの言いたいこと分かったから。けど、何度かここに来る人達、調べる資料に偏りがあったから、そっちの方を、まずは出入り口側に置いてみたの。この辺ね。で、それと似たような資料があったら、全部、こっちに移動させてるところ」
「…………だいたい、あってるね」
「でしょっ!!」
「だって、資料、取りやすい所にあった方が楽でしょ?」
「やって来るみんな、驚愕してました」
「……うん、もしかしたらって、思ってたけど……いやあ、想定外だね。まさか、こんなところで、サナの驚異的な空間把握能力が発揮されるとは、僕も驚いてる……」
「えっと、空間……なに?」
思わず、サナが突っ込んだ。
「サナ、この会社の去年の会計報告書は何番?」
そう羅那が尋ねると、すっと立ち上がって。
「これ!」
持ってきた。
「ちょっと確認するね……うん、あってるよ」
「ねっ!! まさか、こんなに凄いとは思わなかったわよ!! なんなの、この子!!」
「えええ、普通じゃない?」
「美咲、どう思う、サナのこと」
羅那に言われて、美咲はジト目で言い放った。
「普通じゃない。絶対に普通じゃないわっ!! 私だって、頑張って把握しようと努めていたけど!! サナには完全に負けたわっ!!」
「……いや、ほんとに……サナの向いている分野だね。本当に驚いてるよ……」
羅那の笑みが苦笑に変わっているのは、気のせいだろうか。
「まあ、とにかく……二人ともお疲れ様。そろそろ夜の7時になるから、そろそろ帰らない? よかったら、食事も誘うけど?」
「あ、私、パース!! 今日はヨシくんと約束しているので!! 危うく約束すっぽかすところだったわ……危ない危ない。羅那くん。ここに早く時計つけてね? ここ、時間を忘れるわ」
「あ、そういえば、まだなかったっけ。了解、明日中には付けておくよ」
と、今度はサナの方に向き直り。
「サナはどうする?」
「あ、えっと……家に何もないので……なんか食べたいかな……?」
「じゃあ、一緒に帰ろっか?」
「う、うん……」
二人のムードを、にまにまと見ながら。
「お熱いこって!」
「美咲もヨシくんと、仲良くね」
「うっわーー、社長に言われたくないーー!! じゃあ、また明日ね、サナ!」
「うん、また明日!!」
サナと美咲は、嬉しそうに手を振って。
こうして、サナは羅那と共に、夕食しに向かうのだった。羅那の白のランボルギーニで。




