表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミッドナイト・リィンカーネーション ~運命に選ばれた彼と恋をして世界が変わりました~  作者: 秋原かざや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/86

魔双剣のこと、周りを頼ること

 羅那は、書斎の机に広げられた分厚い本を見下ろしていた。

 背表紙には小さく、《魔道具辞典・第三十六巻》と記されている。

「……本当に、この巻なんだよね?」

「ああ。二百六十三ページだ」

 向かいに座る翔が、腕を組んだまま頷く。

 ページをめくり、指定された箇所を探す。

 しかし、そこにあった記述は――あまりにも、短かった。


『魔双剣カルディトゥス

 所有者不明。詳細不明。

 引き抜こうとした者は、例外なく呪いにより死亡』


「……一、二行だけ?」

「レアすぎるんだ。資料も、ほとんど残っていない」

 羅那は小さく息を吐いた。

 内容が少なすぎる。それなのに、最後の一文だけが、妙に強く目に焼き付く。

「『例外なく死亡』か……」

「だから、軽々しく関わるなと言っている」

 翔の声音は、いつになく硬かった。

 だが、羅那は本を閉じると、静かに言った。

「それでも、必要なんだ」

「……」

「これがあれば、僕の暴走は止まるはずなんだ」

 その言葉に、翔はぴくりと、その指を反応させた。

「それをどこで知ったんだ?」

 翔の指摘に羅那は、ヤバいと感じた。

 まさか、神様から教えてもらった……なんて、言う訳にはいかない。だからこそ。

「啓示があったんだよ。本当かどうかは、わからないけど……試してみたい」

 嘘ではない。本人からか、それとなく示されたかの違いだけ。

「全く……分かった。その代わりこれを持ってけ。少しは呪いを退けるはずだ」

 ぽんと羅那に投げてきたのは、蒼い宝石を付けたアミュレット。

「ありがとう、父さん」

「言っておくが、俺は許可してはいないからな。そんなもの、お前には持たせなくない」

 そういう父の優しさが、羅那にとっても嬉しかった。



 その日の午後。

 羅那は、一人暮らしをしているタワーマンションに来ていた。

「ここでなら、分かりやすいだろうし」

 ベランダに立ち、そして瞳を閉じる。

「術式展開――魔力感知」

 魔力が続くまで、一気に範囲を広げて……そして、気づいた。思い出した。

「あぐっ!!」

 その痛みに、思わず、片足を付いた。

 人の気配、霊脈の揺らぎ、残留魔力。

 微弱なものまで、無差別に流れ込んでくる。

 その数、ざっと万を超えているだろう。

 そんなものを一気に感知すれば、頭が割れるような痛みに襲われるのも、当然と言えば当然かもしれない。

「わ、忘れてた……」

 急いで感知をキャンセルして、はあっと一息つく。

「こういう調整……してこなかったよ」

 なにせ、魔力は誰よりもかなり強い。量だけなら翔を僅かに超えている。だが、技量としては、まだまだだ。

 あの時からずっと抑えることに重点を置いてきていた。だからこそ、瞬間的に放つこと、行使する『だけ』は得意だった。

「魔双剣手に入れたら、この辺も練習しないとダメかな……」

 はぁ……とため息しつつ、電話をする。

「ああ、サナ……実は折り入って頼みたいことがあるんだ。今から言うマンションに来てくれる?」

 そういって、サナを呼び出した。


「なるほどなるほど、そこで、私の出番なのね!」

 なんだか、妙にサナがある気に満ち溢れている。

「出来るかどうかわからないけど、やってみるわ!」

「あ、えっと……魔力感知までは僕がやるよ。サナには、その魔力量を精査して、その中でも飛び切りデカいやつを見つけて欲しい」

 その羅那の言葉に、サナはきょとんとする。

「えええ……もっと凄いことするのかと思ってたのに」

「それは、また今度ね」

 そういって、サナを伴って、もう一度、ベランダに出た。

「で、正確には何をすればいいの?」

「僕がサナと視覚を同期して、サナはそれを判別してくれればいいよ。ただ……あまり長い間同期できないから、早めに測定してもらえると助かるよ……術式展開。痛覚カットっと」

「んんん? 今、何したの?」

「ああ、気にしないで。じゃあ、目を瞑って……同期するから。魔力感知……同期、サナ」

 そう呟いて、サナの視覚を共有する。

「うわあ、すごーいっ!! うんうん、見える見えるよ!!」

「微細なものは全部無視して……その中でも飛び切りデカいやつ……見つけて。たぶん、それが当たりだと思うから……くっ」

「オッケー、任せて……えいっ!!」

「!!!」

 サナの一言で、感知していた魔力がグラフ化された。

「……驚いた。サナ凄いね。こんなことが出来るなんて……うっ」

「……ら、羅那くん? ちょっと無理してる? 待って、見えるとこまで、さっと見ちゃうから」

 羅那が無理しているのが分かった。そういえば、さっき、痛覚がどうこうと言っていなかっただろうか?

 サナはすぐさま、ざっと見まわした。羅那の感知した範囲をぐるっと見て、一つだけ異質なものを見つけた。


「あそこの……街の外れにある山……そこだけ、凄い魔力を感じる」

「……!! はぁ……はぁ……ギリギリ、だった……」

 ふうっと、羅那は魔法を止めた。

「やっぱり無理してたでしょ」

「だって、早く手に入れたいんだ。大切な人達を……サナを傷つけたくないから」

「けど、出かけるのは、もう少し後にしてね? 癒してあげるから」

 ふわりとサナの癒しが羅那の体を駆け巡る。暖かな力が先ほどの無理をなかったことにしていく。

「それと、一人で行くつもりなんでしょう? 駄目なんだから! 私も行く。それに、これも見つけたから」

 サナがそういって見せてくれたのは、銀色に輝く、不思議な魔力を感じるブレスレット。

「それって……?」

「後で見せてあげる。たぶん、見ることになると思うし」

 いたずらな笑みを浮かべるサナに、羅那は叶わないなと呟くのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ