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ミッドナイト・リィンカーネーション ~運命に選ばれた彼と恋をして世界が変わりました~  作者: 秋原かざや


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20/62

無人の駐車場に潜む影と

 夜のタワーマンションの最上階。

 そこで羅那は、スーツから黒い戦闘服へと着替えていた。

 黒の革製のパンツに、ジャケット。

 そして、ベルトで止めるゴツめなブーツ。

 その腰には、ポーチと二本のショートソードが付けられていた。更に剣には鍔の部分に宝石のような物も嵌められている。

 最後に目元を覆うミラーシェードを付ければ、準備万端だ。


 椅子の上には、鳳凰のブローチを付けたスーツが残されている。

「鳳凰のブローチ、か……」

 流石にそれを付けて戦いに赴くことはしない。

 それは、重要な意味を持つ、大事な『証』でもあったから。

 そう、先日渡した、あの鳳凰のペンダントのように。


「さて、行くか。確か……場所は無人の駐車場だったな」

 耳にイヤホンを付けて、スイッチを入れる。

『若、聞こえますか! 準備が出来たら、すぐに駐車場に来てください』

「了解、すぐ向かう」

 がらりと窓を開けて、ベランダへと向かう。

「車で行こうかとも思ったけど……こっちの方が早いか。術式展開……」

 ぶんと、足元に幾重にも重なる魔法陣が展開する。

「……見えた。あそこか」

 そのまま、ふわりと浮き上がると。

「閃光跳躍アクセラレイヤー!!」

 ぎゅんと光のラインを描くように、羅那は目的地へとベランダから飛び立ったのだった。



 かつんかつんと、ワザと足音を鳴らしながら、羅那は駐車場へと足を踏み入れる。

 既に一度、現地で軽く、後援を務める狛犬部隊とは打ち合わせを済ませている。

「確か……ここに狼の妖魔が複数いると聞いてるけど」

 周囲を警戒しつつ、奥へと進んだ、そのときだった。


『ウガアアアアアア!!』

 二体の、熊ぐらいの大きさの狼が羅那に迫る。

「術式展開」

 ぶんと、向かってくる狼へと向けて、両手を翳す。

「グラビティ」

『ギャウン!!』

 一瞬で狼を抑えつけた。

「クリスタルランサー展開」

 ぶんという音と共に現れたのは、ひし形のような形をした、白く輝く槍のようなクリスタル。そのうちの二つが狼へと向かって。

「撃ち貫け、ライトニング・レイザー!!」

 白い光の閃光。それが二体の狼のコアを一瞬で貫き、滅ぼしてみせた。

「まだいるな?」

 かちゃかちゃと、爪を鳴らして、今度は6体。

「これほどの数を揃えるなんて、珍しい」

 キィンと腰から二本の剣を引き抜き、そして、駆けだす。

「我が剣に力を宿せ……エレメントスラッシュ!!」

 両手に持った剣の刃に稲妻を纏わせ、そのまま、一気に6体を切り裂いていく。バリバリと轟音を鳴らしながら。

「これで……終わりじゃないか」

 次に出てきたのは、3体。けれど、これで終わりなようだ。

 かつんと二本の剣の刃を合わせて、羅那は容赦なく詠唱する。

「立ちふさがる影を切り裂け……デュアル・レゾナンス!!」

 引き裂くように遠距離から放つのは、無属性ではあるものの、威力を極限まで高めた、斬撃と衝撃波を合わせたもの。

 それが3体へと放たれ、その頭部を見事に切り裂いて見せる。


『若、やりましたよ! これで全部です』

「そう、よかった。すぐに終わって」

 ぼろぼろと崩れ去る巨大な狼達が、全て消え去るのを見届けると。

 羅那はその端末で、『任務完了』と入力して報告する。

 剣を鞘に納めて、ぐっと、羅那はその体を伸ばした。

「さてっと、帰ったら何食べようかな」

 そう呟く羅那の元に、屈強な男達が駆け寄って来る。

「後援、助かったよ。ありがとう、狛犬部隊のみんな」

「流石は若ですね! あんなに強い敵を短時間で消し去るなんて……やっぱ、会長の力を受け継ぐ最強の魔法剣士ですね」

「まだまだだよ。けど……いつかは、父さんよりも強くなりたいとは思うよ」

 そう笑みを浮かべる羅那の顔に、少年のような笑顔を見せたのだった。


 ――剣を振るうのは、自分だけでいい。

 守ると決めたものは、刃の届かない場所に置く。


 それが、退魔師としての、浅樹羅那の流儀だった。



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