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ミッドナイト・リィンカーネーション ~運命に選ばれた彼と恋をして世界が変わりました~  作者: 秋原かざや


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嫌な言い方と仕切り直しのデート

 数日が立ち、ようやく美咲も余裕が出てきた頃に。

「おおおお、私が報告聞く前に、かなり進展してるんじゃない!」

 このこのと、美咲がサナを小突いていた。

「み、美咲ちゃんもそう思う?」

「だって、プレゼントに看病してもらったなんて、こりゃもう脈ありまくりじゃないのよ!! この調子でどんどん突き進めばいいと思うわよ。羅那くんだって、かなりサナに惚れ込んでるみたいだし!」

 ちなみに本屋での件は内緒にしている。同士たるもの、他所のプライベートはあまり話さないのが鉄則なのだ。

「あら? 柊さん……まだ例の彼氏と続いていたの? てっきりもう振られたのかと」

「あ、あの……まだ振られてないです……!!」

 突然、しゃしゃり出てきた麗子の言葉に、サナは声を荒げた。

「あらまぁ。別会社なのに、続いてるんですのね?」

「わ、悪い……ですか?」

「それに仲がいい。……ですわよね?」

「そ、そうですっ」

「で、その彼氏。柊さんにとって、どんな相手なのかしら?」

「ど、どういう……ことですか?」

 わからないと言った顔をして、サナが聞き返す。

「『本当』の彼氏? それとも、『タダの』仲のいい人なのかしら?」

「!!?」

「あ、別に責めてるわけではありませんのよ?」

 麗子は続ける。

「ただ、恋人なら……普通、もう少しその関係を『はっきり』させるんではなくって?」

「……!!!」

 何も言い返せないのを良いことに、麗子は更にサナに仕事を渡してきた。

「じゃ、次この件お願いするわね」

 サナはそのファイルを受け取りながら、胸の奥に残った言葉だけを、どうしても飲み込めずにいたのだった。



 そして、迎えた仕切り直しのデートの日。

 前回と同じ、昼頃に待ち合わせをして、今は隣に羅那と一緒にいる。

 なのに……どうしても、気になってしまうのは、あのとき麗子に言われた言葉。

 映画館に入る前にトイレに入って、気持ちを切り替えることにした。

「せっかくのデートが台無しになっちゃう!」

 ぱちんと軽く頬を叩いて、気合を入れ直して。

「サナ、席はここみたいだね」

「あ、ありがとう」

 いつものように羅那は優しくて、相変わらず格好いい。

 羅那の隣に座って、映画を見ることに集中する。先ほど飲み物とポップコーンを買うかどうか聞かれたが、映画館の飲み物とポップコーンは意外と多い。それに映画にも集中したいということで、パンフレットだけ購入して、席にやってきていた。

「この映画、見るの楽しみ」

 にこっとサナが笑うと。

「僕も楽しみだよ。それに……隣にサナがいるから、なんだか嬉しくて」

 羅那も嬉しそうに微笑み返してくれる。

(そうだよ、関係なんて気にしなくていい。この今を楽しめれば、私はそれでいいから……)

 そして、始まる映画にサナは集中していったのだった。


「すっごく楽しかったーっ!!」

「うん、結構長い映画だったけど、前評判はよかったからね。楽しい映画をサナと一緒に見られて僕も嬉しいよ」

 そういって、羅那はそっとサナの手を握った。

「はうっ!!」

「あ、ごめん。嫌だった?」

 離そうとするのをサナはぎゅっと握り返すことで、止めた。

「う、ううん……その、そのままが……いい……」

「わかった。そのままにしてるね」

 そんな羅那の言葉がとても優しくて嬉しくてたまらない。

「そーだ。せっかくだから、どこかで食べない? カフェはかなり一緒に行ってるから、中華とか?」

「あ、それいい!! ちょっと辛いのとか食べたら、嫌なことも吹き飛ばせそう!!」

 そういって、流れるように中華料理店へと入っていく。

 二人で席について、一通り注文した後で、羅那は改めて尋ねてきた。

「嫌な事って、何かあった?」

「あっ……た、大したことはないの。ちょっと、嫌な事言われちゃって」

「誰に?」

「ほら、前にファミレスで会ったと思うよ、そのときにいた麗子さんにね。……それまでは美咲ちゃんに羅那くんのこと報告してて楽しかったんだけど……」

「どんなこと、言われたの?」

「その……私と羅那くんの関係がはっきりしないのは、良くないんじゃないかって」

「サナはどう思ってた?」

 優しく問いかけるように羅那は尋ねてきた。

「私は……今までのままでいいなって思ってたから……その、ちょっと不安に……」

 そういうサナの手を、羅那はそっと自分の手を重ねていく。

「羅那くん……?」

「僕も何も言わなかったから、サナに不安にさせちゃったよね。僕は、サナのことが好きだよ。大切にしたいって思ってる。けど……」

 じっとサナを見つめて、真剣な眼差しで続けた。

「それよりも、サナの不安にさせること、怖がることはしたくないって思ってたんだ。それが不安にさせてしまったのなら、ごめん」

「ら、羅那くんのせいじゃないよ! それに、羅那くんのその距離感が心地よかったし……その、わ、私もっ!! 好き、だから……そのっ……」

 言葉が続かない。サナの頬が真っ赤に染まって、恥ずかしくなってしまって。

 けれど、今日のこの時間で、また羅那との距離を縮められたような気がする。

 それに……それに……。

(さ、さっき、私のことが……好きって……!!)

 と、改めて羅那の方を見てみたら、羅那も頬を染めて、口元を抑えていた。

「あ、ごめん……サナに好きって言われて……嬉しくて。ちょっと照れくさくなってた」

「はううう!!!」

 ――そんな羅那くんが可愛くて好きですっ!!

 恥ずかしくて、言えなかったが、たぶん、伝わったように感じる。

「それじゃあ……改めて」

「な、なに?」

「僕の『恋人』になってくれませんか?」

「は、はいっ!!」

 その後、運ばれて来た中華料理の美味しさは、なにも感じなかった。

 胸がいっぱいで、何もかもが幸せで……。

 駅で別れる時まで、羅那はサナの手を優しく握ってくれたのが、サナにとってとても嬉しいことだった。




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