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ミッドナイト・リィンカーネーション ~運命に選ばれた彼と恋をして世界が変わりました~  作者: 秋原かざや


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119/120

招かれたのはシャンデリアのあるオペラ劇場

「ねえ……羅那くん。ここって……もしかして……」

 サナがそう口に出すと。

「うん、『夢の中』だよ。で、君達はサナの夢の中に囚われている。君達が希望するなら、すぐにでも現実の世界に戻せるけど……君達はそれを望まないみたいだね」

 そうこの世界の真実を、羅那は告げた。

「まだ、最後の七不思議が残ってるわ!」

 デジカメを手に舞華が言う。

「それに、僕達は七不思議を追ってここまで来たんです。せめて最後の七不思議を見るまでは、戻れません」

 眼鏡を抑えながら、玲玖もそういう。

「ああ、そうだよ!! 俺達だって頑張ってここまで来たんだ! ハイそうですかって帰れねぇよ!」

 ちょっぴり嫉妬交じりの言葉で蒼士が言う。

「私達にも最期を見届ける権利があると思います。お願いします。ここに居させてください」

 一歩前に進み、音紗がぺこりと頭を下げる。

 羅那は、ふうっと息を吐くと。

「それじゃあ、今後は僕とサナの指示に従うこと。従えないのなら、すぐに強制的に戻すからそのつもりでね」

「羅那くん、ありがとうっ!!」

 と、羅那の胸にサナが飛び込んでくる。

「ちょ……もう。けど……なんだか僕らを呼んでるみたいだ。その前に僕も戦闘準備しとくか」

 そっとサナを引き離すと、ぱちんと指を鳴らして、いつもの黒の戦闘服に変えた。その腰にはあの魔双剣が備わっている。目元は眼鏡ではなく、ミラーシェードを付けて。

「なんか、最強の羅那くんって感じだよ!」

「そう言ってもらえると嬉しいよ」

 と、とたんに、世界がぐるんと回転したと思ったら、暗転。

 そして、サナ達と羅那とで、場所を強制的に変えされた。



 ――ビーーーっと、開幕を告げる舞台の音。

 気づけば、そこはオペラ劇場だった。

「ら、羅那くん!?」

「動かないで。そこに結界を張ったから。サナ、それを維持してくれる? ……俺は俺で、こっちを対処するから」

 サナ達がいる場所。そこはセレブ達が見下ろすロイヤル席だった。ご丁寧にオペラグラスなんかも置かれている。

「……これ、嫌味かな?」

 思わず舞華がジト目で言う。

「せっかくだから、借りましょうか」

 物怖じしない音紗がありがたく、そのオペラグラスを持って、舞台を見下ろす。


 ――カッという音と共に、ステージにライトが注がれる。

 そこには、戦闘服に身を包んだ本物羅那と。


 同じ背丈の学生服を着た偽りの羅那がいた。

「お前のことは何て呼べばいい? 偽物でいいか? それともイミテーション?」

「黙れ……そんなことを言えるのも今の内だ! 時計台にいる者達を取り込めば、僕だって最強になれるっ!!」


「無理だな」


 その偽物の言葉に羅那は、静かに指摘する。

「俺が結界で守っているからな。出来ないだろ?」

「……っ!! くそっ!! なんで、そんなことするんだよっ!!」

 そう二人が喋っている間に、ゆっくりと巨大なシャンデリアが天井から降りてきた。ぐらんぐらんと揺れている。

 それと同時に、この場も何だか、ゆっくり揺れているようにも感じるのだが。


「僕達のいる場所は、揺れてないんですね?」

「たぶん、羅那くんの結界のお陰なんだと思う。ちょっと特殊みたいだし……どうやってるのかな? 私も力を込めて維持してるけど……」

 そういって、玲玖の言葉にサナは答える。

「サナにもわからないことがあるのかよ?」

 蒼士がそっと、サナの隣に寄り添う。

「実はね、私、最近、この世界に入ったばっかりなんだよね。んんーアークさんとか、カリスちゃんとかとお話しできたらわかったんだろうけど……ピアス忘れちゃったからな……ちょっと惜しいことしちゃったかな。けど、この舞台を見てれば何かわかるかも」

 そのサナの言葉に、観客席の皆は舞台へと視線を移した。



(観客席に気配を感じる……誰もいないが、何かはいるんだな……)

 羅那は静かに、偽物の様子を窺う。何かあれば、すぐに攻撃を重ねる準備はしている。

 けれど……何故か躊躇われるのは、自分によく似ているから、だろうか。

 それとも……。

 天井のシャンデリアは、優雅に揺れている。この戦いを見届けるかのように、ぐらりぐらりと揺れながら。


「そ、それなら……下僕達よ。僕の声に従えっ!!」

「?」

 どくんと、何かが波打つ。激しく蠢いた。いや『集まった』。


「あああああああっ!!!!」

 最初に、赤い影が吸い込まれた。

 次に、大きな鏡の影が吸い込まれた。

 まだだ。

 大きなグランドピアノ、それよりも大きいプール。そして、階段。

 最後に大きな図書館が吸い込まれていく。

 偽物の体が一瞬、大きく膨らんで、元の大きさに戻った。

 いや違う。


 ばさりと影で出来た翼が生まれた。

 いくつもの影が赤と黒の影が、踊るように偽物を覆う。

 偽物が嗤う。

「これで……僕は最強だ」

 口元を覆いながら、偽物は余裕の笑みを見せてきた。

「なるほど。今までの異形をその身に宿らせたか」

 かしゃんと慣れた手つきで魔双剣を引き抜き、羅那はどこか余裕のある所作で身構えて見せたのだった。




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