表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミッドナイト・リィンカーネーション ~運命に選ばれた彼と恋をして世界が変わりました~  作者: 秋原かざや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/120

学園祭とピアノが奏でるカレとの再会

 黒板に学園祭と担任の先生がチョークで書いてきた。

「今月末は学園祭です。それまでに全ての準備を終えておきましょう。そして、素晴らしい学園祭を作り上げましょう!」

 クラスの出し物は、知らぬ間に進められており、サナの入る隙間がなかった。

 だからこそ。

「七不思議研究部は、今までの調査結果はもちろん、残りの七不思議の調査を進め、展示にて発表したいと思います」

 部長である音紗がそう高らかに宣言する。

「えっと……今まで調査したのは……」

 サナの言葉を聞いて、舞華が続ける。

「まだ二つだけだね……まだ、日にちはあるから、それまでには、全部調べられるんじゃないかな?」

「ということは、えっと、後5つも残ってる……」

「そういうことだね……全ての七不思議を解明するには、もう少し時間がかかりそうだよ」

 玲玖が思わず、ため息を零す。

「とにかく、今日も調べようぜ! 学園祭で発表できるようにさ!!」

 にかっと蒼士が笑みを浮かべる。

 そう、研究部の調査は、まだ始まったばかりなのだから……。



「それで、助けた例の女子生徒達は……?」

 音紗が舞華に昨日の女子生徒のことを確認する。

「うん……それがまた、消えちゃったみたいなんだよね……」

「あううう、助けられたのにまた? 私の力が足りなかったのかな……それとも、高校生になっちゃったから……」

 責任を感じているのか、サナはずーんと落ち込んでいる様子。

「そんなに落ち込むことないよ。それに、あの時はちゃんと助け出せたんだしさ。きっと彼らもどこかにいるって! だから、元気出せよ、サナ」

 そう蒼士に励まされ、サナはうんと、少しだけ元気を取り戻したようだ。

「とにかく、今夜も調査するんだろ、音紗」

 眼鏡を光らせながら、玲玖がそう言うと。

「そうしたいのはやまやまなんだけれど……今日は、警備員が見回りに来るみたいなの。流石に捕まるのもシャレにならないから、今日はお休みになるわね。残念だわ」

 その音紗の言葉に、サナは少し残念そうな素振りを見せたのだった。




 ――夜の校舎三階。

 鍵がかかっているはずの音楽室からピアノの音が聞こえる

 夜間、そのピアノの音を追って行った生徒が、数時間だけ行方不明になるという。


 それが、第三の七不思議。




『おいで……』


 夜中に目が覚めてしまった。いや、違う。

「呼ばれてる……何かわからないけれど、私、行かなきゃ!!」

 サナは起きて、制服に着替えると、そのまま旧校舎へと駆け出していったのだった。


 そして、もう一人。

「何か嫌な予感がする……気のせいじゃない、これ……」

 目を覚ました蒼士も、何かに気づき、旧校舎へと向かったのだった。



 旧校舎にたどり着くと、そこではピアノの音が聞こえていた。

 誰もいないはずの校舎に、澄んだ旋律だけが静かに響いている。

 確か、あの曲は『月光』。

 美しい旋律が、サナの耳にも届いた。

「あの音って……音楽室?」

 恐る恐る入っていくと、そこには……ピアノを弾いている、眼鏡をかけた銀髪の少年がそこに座っていた。

 手元はここからでは見えないが、綺麗な音色を奏でている。

「!! ら、羅那くん!!」

 サナの言葉を聞いて、少年は手を止め、顔をあげた。

 あの柔らかな笑みを浮かべて。

「サナ。ようやく会えたね。嬉しいよ」

 その声は確かに羅那のものなのに、どこか感情が薄い気がした。

 そのまま、羅那は立ち上がり、手を差し伸べると。

 たたたっと、サナはすぐさま、彼に抱き付いてきて。少年はそんなサナを大切そうに抱きしめた。

「羅那くん、羅那くん、会いたかった!! ずっとずっと、会いたかったんだよ……」

「僕もだよ。やっと会えたね、サナ」

 嬉しさが溜まらない。けれど、サナは気づいてしまった。


「……あれ、羅那くん、小さい?」

「……えっ?」


 サナに言われて、羅那も気づいた。自分が小さいことに。それに。

「羅那くん、ブレザーじゃないの? なんで学生服?」

「ブレザーの方がよかった? ここに来るのに、いろいろあって……縮んだり、服が変わっちゃったりしてるんだよ」

 ちょっと苦しい言い訳かなと思いながら、羅那は告げる。

「私もいつの間にか、高校生になっちゃってたもんね。……仕方、ないね」

 どうしたらいいのかなーとサナが思っていたところに。

「それなら、サナの力を少しくれないかな? そしたら、少しずつ元に戻るから」

「あ、治癒が必要なんだね。了解したよ。それなら、いっぱいあげるね!」

 サナから力をもらって、羅那は幸せそうに、瞳を細める。


 ――ああ、このままサナを独り占めしたい。


「サナ!! そいつ誰だよ!! 離れろ!!」

 そこにようやくたどり着いた蒼士が来た。

「あ、紹介するね。彼、私の彼氏で、浅樹羅那くんっていうの。すっごく頼りになるんだよ」

「初めまして、浅樹羅那です。どうぞ、よろしく」

 そういって、初めて見る眼鏡の学生服の少年に、蒼士は背筋がぞくっとした。

 理由はわからない。だが、本能が叫んでいる。

 あれは――サナが知っている『者』ではないのではないか、と。

「と、とにかく、もう帰ろうぜ。警備員が来るかもしれないし!!」

「え、あ……蒼士くん、ちょっと待って……あっ……」

 半ば引きずられるように、サナは蒼士と共に、その教室を後にしようとして。

「夜に旧校舎に来れば、また逢えるよ、サナ。僕はここで待っている」

 そうサナに告げて、羅那は楽しそうに微笑んだのだった。




 月明かりが旧校舎を照らす。

「ようやく会えた。それにたくさん力をくれた」

 羅那はゆっくりとその背を少し伸ばした。けれど、まだ大人になるには、力が足りない。

「けど、まだだ……サナ……もう少し力が欲しいよ。また、くれるよね?」

 遠くで眠るサナを想い、羅那は呟く。

「大好きだよ、サナ……だから」

 愛おしそうなその表情には、いつもの暖かさが感じられない。

「ずっとずっと、一緒にいようね、サナ……」

 先ほどのぬくもりを思い出すかのように、自分を抱きしめたのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ