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第6話

桐嶋さんと出逢った翌日、いつも通り出社すると、


「あ、間宮さん!おはようございます!」


橘さんに声をかけられた。


「おはよう〜。」

「あのっ、昨日話した花火大会の件なんですけど!妹に話したら妹も喜んでてっ!」

「ほんと?それならよかった。」

「それで、集合時間とか色々決めるためにLINE交換できたらなって思って...。」

「ああ、そうだね。じゃあ交換しとこうか。」

「は、はいっ!」


交換中、例によって佐山さんと片桐さんの視線が痛い。


「え、えへへっ、ありがとうございます!」

「いえいえ、こちらこそ。」

「妹と話してまた連絡しますね!」


橘さんと話し終えてコーヒーを淹れにいくと、


「!」


樫原さんが不機嫌そうな顔で近づいてきた。

僕、何かしただろうか...。

樫原さんの向こうを見ると、佐山さんと片桐さんがニヤニヤしながらこちらを見ている。


「間宮くん、ちょっといい?」

「は、はい!」

「ねえ、この前ゴミ箱について注意した時、私がなんて言ったか覚えてる?」

「ええっと、周りのことを考えるようにと...。」

「そうだよね?じゃあさ、もし自分が集中したい時に大きい声で話されたらどんな気持ちになる?」

「嫌な気持ちになりますけ、ど...。」


え、まさかさっきの橘さんとのことを言われているのか...?


「誰かは言えないけど、間宮くんにそういうところの気を遣ってほしいって相談があったの。やっぱり本人には言えなくて私を頼りにしてくる人もいるから私が代わりに注意しに来ました。」


なるほど...。あの2人が相談を装って、僕のことを叱るように仕向けたのか。「樫原さんはベテラン社員の中で自分が1番偉いと思っている」というのは、若い社員の間でよく噂されていると聞いたことがある。しかし樫原さん自身はそのことを知らず、自分は後輩たちに慕われていると思っているようだ。


「ええと、特別迷惑をおかけしたつもりはないんですが。」

「ほらまた言い訳!自分がそう思ってなくても現に困ってる人がいるんだって!」

「いや、でもっ」

「だから!「でも」じゃないの!なんですぐに謝るってことができないの!?私何か間違ったこと言ってるかな!?」

「...、申し訳ありませんでした。」

「間宮くんのためを思って言ってるんだからね!?ほんっとうにその悪い癖どうにかした方がいいよ?」


10分ほど同じことを言われ続け、ようやく解放された。ひとまず、橘さんがミーティングに行ってもうあの場にいなかったのは幸いだった。

手には大量の汗、急いで薬を飲む。動悸が止まらないが仕事を離れるわけにはいかない。

近くでは樫原さん達ベテラン女性社員が、また政治家の悪口を大きな声で話しており、仕事の内容が上手く頭に入らなかったが、勿論それを注意できる人は僕を含めている訳もなく...。


なんとかその日進めようと思っていた仕事を終えると、僕以外の殆どの社員はいつの間にか帰っていた。念のためオフィス内のゴミ箱を全て確認し、その日は帰ることに。




帰り道、自分でも何故かは分からなかったが、自然と昨日の公園に向かっていた。

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