5話:試練の初戦
シオンはアカデミーに到着したとき、少しの間、周囲の施設に驚きながらも、何もかもが新しいと感じていた。だが、すぐに次の試練が待っていた。
「適性検査を受けていただきます。試験は機体の操作能力、体力、精神的耐性などを評価します。結果はすぐに分かりますので、気を張ってください。」
白衣の女性、つまり担当医が告げると、シオンは頷き、試験が始まるのを待った。適性検査そのものは思ったよりも簡単で、体力テストや、いくつかの基本的な操作に関する課題をクリアした。だが、シオンは何となく不安だった。自分の持っている能力に自信がなかったからだ。
「次の試験、実戦形式になります。」
シオンはその言葉に驚いた。アカデミーの施設に来たばかりなのに、早速戦闘訓練が始まるのか。しかも、どうやら相手は訓練用の機体らしいが…。
数分後、シオンは訓練用ディメンションノヴァに乗り込むこととなった。以前、彼が乗ったことのない、まったく異なる機体だ。
「これが訓練用ノヴァのモデル。学園内でも使われている標準的な機体です。今から対戦相手と戦っていただきますが、操作は全てAIが担当します。あなたの役割はただ、命令に従い、耐え抜くだけです。」
「AIって、自分で操作できないのか?」
シオンは驚きながらも質問を投げかける。
「はい、今はあなたの適性を確認するためのテストです。実際に操縦するのはAIで、あなたはそれに従って操作を行うだけです。」
シオンは少し安心した。機体を上手く動かせなくても、AIがなんとかしてくれるだろうと考えた。しかし、その考えはすぐに崩れ去る。
数分後、シオンは訓練用の戦場に立っていた。目の前には、量産型のモブ機体が一台、無造作に立ち上がっている。それが敵だということは、すぐに理解できた。対戦相手はAIによって動かされているが、そのAIも、過去に実績を上げたものではない。相手にとっても、シオンはただの訓練相手にすぎない。
「戦闘開始!」
声が響くと同時に、ノヴァが動き出す。しかし、すぐに気づく。機体が思った通りに動かない。まるで全く別の存在が操縦しているかのように、操作が全く噛み合わない。AIに従おうとしても、その反応は遅く、敵の攻撃を避けることすらままならなかった。
「くっ…!」
シオンは必死に操作しようとするが、機体がついてこない。目の前の敵機は徐々に距離を詰め、容赦ない攻撃を繰り出してくる。その攻撃がシオンの機体を捉え、バリアが次々と削られていく。
「…このままでは、やばい!」
敵機の攻撃を受けながらも、シオンは焦りの中で叫んだ。だが、次の瞬間、ノヴァが大きく揺れた。機体がバランスを崩し、足元を失ったシオンは、ついに地面に倒れ込んでしまう。
「適性テスト終了。」
AIが冷たい声で告げた。シオンは倒れたまま、息を荒げながら、何とか立ち上がる。
「終わったか…」
自分の未熟さを痛感したシオンは、しばらく黙ったまま、その場に座り込んだ。
その後、アカデミー内の担当者がシオンに近づき、彼に一言告げる。
「結果は後でお伝えします。ですが、今回の戦闘結果は、あまり良いものではありません。まだ訓練が必要です。」
シオンは肩を落としながらも、その言葉を受け入れるしかなかった。彼の戦闘能力はまだまだだった。それでも、これからどんどん強くなっていくことを、心の中で決意した。
これからもよろしくお願いします。




