4話 新たな始まり — アカデミーへの旅立ち
シオンはベッドの上で身を起こすと、目の前の白衣の女性が再び口を開いた。だが、その内容に、すぐには頭がついていかなかった。
「これからアカデミーに行ってもらいます。そこで訓練を受け、与えられた役割を果たしてもらいます」
「アカデミー? それって学校みたいなもん?」
首をかしげるシオンに、女性は淡々と返す。
「まぁ、学校と言えば学校ね。でも、君が行くのは“訓練施設”みたいな場所よ」
「訓練施設って……俺、運動苦手だし、無理じゃね?」
シオンの弱気な言葉にも、女性はまったく動じずに続けた。
「問題ありません。あなたにはNo.1128というAIがインストールされています。それが、あなたの訓練を補助します」
「No.1128……?」
聞き慣れない番号に、シオンは首を傾げる。
「それ、名前じゃないんだよな……。なんか、期待されてない感すごいんだけど」
女性は少しだけ口元を引き締めて、説明を続けた。
「名前が与えられていないAIは、未完成、もしくは期待されていない個体です。君のAIもその一つ。過去に戦果を上げたAIには名前がつくけれど、No.1128にはそれがありません」
「……つまり、俺に割り当てられたのは雑魚AIってこと?」
「そうとも限りませんが、現状では他のAIと比べると性能は劣ります」
「はぁ~……」
シオンは思わず肩を落とした。名前すらないAIなんて、他の連中に比べてかなりのハンデだ。だけど、女性は言葉を続ける。
「ただし、No.1128は成長型AIです。君との訓練を通じて、能力を引き出すことができます」
「成長するAI……ね。で、アカデミーって、結局何やる場所なんだ?」
「生き残るための訓練を行う場所です。そして、任務を果たすための技術を学びます」
その言葉に、シオンは一瞬黙り込んだ。学校とは違う――これは本当に命がかかった訓練らしい。
だが、それを聞いてなお、不安は消えなかった。
「……正直、俺、戦うの向いてない気がするんだよな」
「訓練次第です。今は何もできなくても、努力次第で能力は開花します」
シオンはしばらく考えていたが、ふと顔を上げると苦笑交じりに言った。
「展開早ぇなぁ。異世界でもないのに、気づいたら訓練所送りかよ……。まあ、やるしかないよな。怖いけど」
女性は、わずかに表情をやわらげた。
「怖いのは当たり前です。けれど、これからは自分を信じて進んでもらいます」
シオンは小さく息を吐いて、少しだけ笑った。
「……やってみるよ。てか、アカデミーってどんな場所なんだ?」
「準備が整い次第、案内します。到着後、すぐに訓練が始まります」
「……ん~、とりあえず、やるだけやってみるかぁ」
シオンは言い聞かせるようにそうつぶやいて、ゆっくりと立ち上がった。
まだ不安は残っていたが――それでも、一歩踏み出す覚悟は、少しずつ芽生え始めていた。
お疲れ様です。読んでくれてありがとうございます。
あと少し先まで何卒、何卒読んでほしいです><




