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ディメンション・ノヴァ  作者: 酒本 ナルシー。
4章 動き出す歯車

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47話 アカデミー襲撃 4

《敵機体の解析を完了。敵機:カーストランカー・ノヴァ。ランキング不明》

シオンのコクピット内にトールの冷静な声が響く。


「……カーストランカー?」

初めて聞く名だった。だが、背筋が凍るような直感があった。


《カーストランカーとは、企業・軍・国家が威信をかけて建造した超高性能ノヴァ。単機で高難易度ミッションの全項目を単独攻略可能。》

《本機体の性能はアカデミーで使用される全ノヴァを大幅に上回る。》


「……そんな奴が、なんでここに……!」


それは戦場における“象徴”だった。

国や企業が「我々の力はここまで到達している」と誇示するための、まさに力そのもの。

それが、たった1機でこのアカデミーを襲ってきている。


《この機体に対して、通常のアカデミー機では対抗不能と判断。》


「……だったら、俺の“機体”でやるしかないな」


シオンは息を整え、覚悟を決める。


《GPU起動。AI制御レベルを50%に移行――同期開始》


シオンの周囲が淡く光り、機体と意識がさらに深く接続される。

意識とAIが混ざり合い、戦闘演算の処理速度が爆発的に上昇する。


《敵の予測行動ルートを展開。最適行動案、十六通り提示。》

《戦闘開始の許可を。》


「行くぞ、トール。あいつを止める。仲間のために……!」


《了解。目標:カーストランカー・ノヴァ――迎撃開始》


静かに、だが確実に。

死神のような機体を前に、ただ一人立ち向かう少年と、その相棒AI。

未来を、誇りを、命を背負って――漆黒のノヴァが光の中を駆け出す。


飛び出したシオンの機体は、ブースト全開で一気に上空へ跳躍した。

その視線の先、空間が歪んだように揺れ、そこに“それ”がいた。


薄白の光学迷彩を纏ったまま、ゆっくりと現れる鋭利な機体。

ノヴァ――カーストランカー。その姿はまるで死神そのもの。


「見えたッ……!」


しかし次の瞬間――。


「消えた!?」

シオンが声を上げる。ステルスではなく、速度。

機体の挙動、反応、全てがシオンの認識速度を超えていた。


《トール! 来る!》


その警告と同時に、シオンの機体が横っ飛びに回避行動を取った。

ビームの軌道がかすめ、空を灼いた。

間一髪。機体の左腕装甲が焦げている。


《回避成功。反撃推奨。》


「くっ……くそっ……!」


シオンは距離を詰めようと前進するが、再びノヴァは消える。

背後、上空、右側。――敵は予測不能の動きで攻撃を繰り出してくる。


《目標予測不能率30%超過。現行戦術では対応困難。》


「じゃあ……上回るしかない!」


機体が一気に推進力を開放する。

シオンは自らの反射神経とトールの演算を重ね、限界ギリギリの軌道でビームをかわしながら反撃を試みる。

ライフルから連射される高精度の弾丸が、僅かにノヴァの装甲をかすめる。


《命中確認。目標への実害軽微。》


「……マジで化け物かよ」


だが、ここで引くわけにはいかない。

仲間の命がかかっている――もう誰も死なせたくない。


「フラワ、リリア、見ててくれ……!」


シオンは機体の右腕から近接マシンガンを展開、一気に接近戦へと持ち込む。

ノヴァのビームサーベルが応じるように現れ、火花と振動が空中でぶつかり合う。


音が消える。空気が揺れる。

超高精度の格闘戦――一撃でも受ければ、こちらが終わる。


《AI同期率上昇。リアクションタイムを0.3秒短縮。》


「まだだっ……! もっと……!」


シオンの目が鋭くなる。機体がまるで彼の体の一部のように動く。

ノヴァのブレードがすれ違いざまに機体の左脚を裂くが、シオンはそれすら計算に入れていたかのように――


「今だ……!」

至近距離、マシンガンの全弾がノヴァの頭部へと集中して放たれる!


爆煙――


《……命中確認。目標機体、依然稼働中。》


「嘘……っ!」


煙の中から、無傷のような姿でノヴァが現れる。

その装甲はまるで生き物のように自己修復していた。


《次段階への戦術が必要です、シオン。》


「だったら……限界、超えるしかない……!」


機体の各スラスターが赤く輝きはじめる。

出力オーバー、戦闘モード“フェイズ2”へ――



《AIコントロール上昇――70%》

《未来予測アルゴリズム:思考加速レベル3へ移行》

《近接戦闘モード、解放》


トールの声が低く笑う。


「なぁ、シオン。今、最高の気分だ。」

「――あいつ、殺すぞ。」


瞬間、シオンはわずかに身を強張らせた。

けれど脳裏のどこかで理解していた。自分に迷っている時間はない。


意識の奥へ引きずられるような感覚とともに、機体の主導権がAIトールへ一部移行される。


《機体制御、戦闘AIトールへ委譲》

《武装パージ:両腕のマシンガン&ライフル排除》

《戦闘スタイル変更:ブレードオンリー》


「任せろ。これは俺たちの最適解だ」


機体が爆発的なブーストを吹かし、機体がまるで別物のように跳ねるように動いた。

通常の人間であれば、加速によるGの連続に耐えきれず、意識を失っていたはず――。


だが、シオンの肉体は違った。


(……耐えられる。この程度なら、平気だ)


何度か繰り返された“治療”や“調整”――

その中で、知らぬ間に肉体は強化されていた。

筋肉、神経伝達速度、内臓の耐圧構造……全てが、実戦レベルに適応されていた。


だからこそ、この“異常な”戦闘に身を委ねることができる。


「おもしれぇな、オイ……!」


トールが笑う。


「なら、これはどうだッ!」


加速と停止を連続で繰り返し、空間に“残像”が生まれる。

錯覚ではない――瞬間的なブーストの軌道上に、重なった光の軌跡。


敵ノヴァが反応し、その“影”に攻撃を放った。


「馬鹿が!雑魚はおとなしく、やられとけぇ!!」


その隙を逃さず、シオンの機体が背後から一気に詰める。

右手のブレードが、左へと薙ぎ払い――

左手のブレードが、逆巻きに縦へ振り抜かれる。


斬撃が交差し、ノヴァの両腕を切り落とす。


咄嗟に敵はステルス機能を最大に展開。

姿を消し、撤退へと移った。


「ターゲット、見失ったか……チッ。敵機、トンズラこいたみてぇだ」

「これで戦闘は終わりだ。――ったく、腰抜けが」


微かに残る残光の中で、トールが満足げに息をつく。


「フッ……やっぱ、シオンお前おもしれぇ」


コックピットの中、シオンは呼吸を整えていた。

身体が重い――が、意識ははっきりしていた。


(……これが、“俺”に仕込まれた力、か)


知らないうちに作られた、もう一つの「武器」。

それが、今この瞬間の自分を支えていた。


お疲れさまでした。

だいぶ長くなりましたが、書きたかったことは書けました。

ですが、ノエルは………?

ノエルは間違って外で二年目と四年目に混じってクロノマタとやりあってます(;^ω^)

それと、ほんとは時間を空けて投稿したほうがPV伸びるのですが、速攻読みに来てくれる人たちのために一気に投稿しました。

これからもよろしくお願いします。

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