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ディメンション・ノヴァ  作者: 酒本 ナルシー。
4章 動き出す歯車

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45話 アカデミー襲撃 2

空を割くように飛び出した3機は、アカデミー中央棟へと急行していた。すでに周辺には爆発の痕跡と崩れた建物が点在し、無人兵器――オートマタが無差別に暴れ回っている。


シオンの機体センサーが一体、また一体と敵影を捉える。


『敵機、複数接近中。行動パターン:無差別戦闘。シオン、後方施設の防衛を優先。』


「了解。トール、任せる。……行くよ!」


シオンは加速モードへと移行、機体が地面を滑るように急接近すると、距離を詰めながら副兵装の近接マシンガンを乱射。オートマタの関節部を狙い撃ち、機体の動きを封じた。


『1体、無力化。次、来る』


「見えてる!」


背後から新たな機体が迫る。トールの警告と同時に、シオンは機体を横に滑らせてかわし、素早くライフルを構えなおす。精密射撃で頭部ユニットを破壊、起動停止に追い込む。


一方、フラワの機体は遠距離支援型の火力を活かし、リリアの指示に従って後方から正確な援護を行っていた。


「こっちは抑えるから、シオン、前に出て!」


「了解、援護感謝!」


リリアは中距離からの牽制と支援を交互に行いながら、二人のラインを崩させないよう、戦況を絶妙にコントロールしていた。


『シオン、左45度、建物の影から敵反応――!』


「見えてる!トール、射角調整!」


『完了――撃て』


トリガーを引いた瞬間、ライフルの弾丸がオートマタの胴体を貫いた。爆発と共に、辺りに煙と火花が広がる。


「……悪くない、専用機ってやつは」


『この機体なら、もっと“試せる”。限界の先も見てみたいか?シオン』


「……ああ、行こう。もっと先へ!」


混沌としたアカデミー内、そこに灯る3つの光が、崩壊の渦中で確かな希望となっていた。




アカデミー中庭――爆風と煙が立ち込めるその戦場で、3機の機体は鋭い動きで敵を狩っていた。


「フラワ、右側の建物裏に3体!連携いくよ!」


「了解、マーク済み!ロックオン……発射!」


フラワの遠距離砲が唸りを上げて火を噴く。炸裂音と同時に、建物の影から飛び出してきたオートマタが次々と吹き飛ばされた。


『追加目標排除。現在、撃墜数:15』


『こちらリリア、正面通路を突破。負傷者なし。撃墜数、13』


『現在、戦術ライン安定。シオンの支援により、第3クラン脱出成功』


「やった……!まだ、いける!」


戦場を駆け抜けながら、シオンは次々と他クランの支援に回っていく。壊滅寸前だった第2クランのリーダー機を救出し、孤立していた1年の小隊にはフラワの狙撃で突破口を開いた。


「フラワ、そこ!援護頼む!」


「まかせて!」


冷静な判断と連携が冴えわたり、気がつけば無数にいたオートマタの数は激減していた。


『警告:敵反応数、残りわずか。最終フェーズ突入』


「……もう終わらせるぞ、トール」


『了解。最短で、確実に』


そして、最後の一体をリリアのブレードが断ち切ると、爆炎の中で静寂が訪れた。


「はあ……これで……全部?」


『敵機の反応、ゼロ。戦闘終了』


「よくやった、二人とも。これが……今の私たちの“実戦”」


フラワは息を整えながら、微笑みを見せる。


「ちょっと、怖かったけど……でも、ううん。今は……少しだけ、自信が持てた」


「シオン、すごかったよ。なんか……前より強くなったね」


「……ありがとう。でも、一人じゃ無理だった。みんながいたから」


夕日が射し込む戦場に、3機のシルエットが並んでいた。


その姿に、残された生徒たちは確かに見た。

――かつてDクラスとさげすまれ呼ばれた者が、アカデミーを救ったという事実を。


静まりかけたアカデミー構内に、緊迫した通信が割り込んだ。


『緊急通達――外部戦域の戦闘、継続中。未確認機複数、依然活動中。全教官、教師、《ネブラ・フレア》所属機体は、即座にアカデミー外周部へ移動、援護にあたれ』


一瞬だけ沈黙が落ちる。

だが次の瞬間には、リリアが即座に全体へ指示を飛ばした。


「全員、聞いて!外の部隊がまだ戦ってる。私たちもすぐに援護に向かうわ!まだ終わってない!」


「シオン、フラワ、準備は?」


「はい、問題ありません!」とシオン。


「少し疲れたけど、まだ動ける……行こう!」とフラワ。


ブースターが熱を上げ、機体が再び宙へと舞い上がる。


『トール、目標地点をマッピング。推定敵機数は?』


『外周にて戦闘継続中。識別不能の高出力反応、数機。警戒を推奨』


「未確認機って……まさか、クロノマタ……?」


「それでも関係ない。守るって決めたから。――行くよ!」


リリアの言葉に、二人は頷く。


彼らは再び前線へ向かう。

アカデミーを守るために――

そして、“選ばれた”意味を、自らの行動で証明するために。


まだまだ続く。

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