表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ディメンション・ノヴァ  作者: 酒本 ナルシー。
4章 動き出す歯車

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/50

40話 クラン加入(仮)

クランハウスに帰ったシオンは、真っ先にリリアのもとへ向かった。

フラワの加入について話すのは少し不安だったが、一時的な参加であること、そして一度ミッションを共にした実績もある。リリアならきっと納得してくれる——そう信じていた。


リビングに入ったそのとき、シオンが声をかけるよりも先に、リリアが口を開いた。


「フラワのこと、カイから聞いたわ。今日あなたと一緒にいたんでしょ?」


シオンは目を見開く。


「えっ、もう聞いてたんだ…?」


リリアは軽く微笑みながら、続ける。


「実はね、今回の件、私からあなたに話そうと思ってたの。カイのクラン、今は活動できないって聞いたし、クランバトルのこともある。だから、うちで一時的に受け入れるのも悪くないって」


その言葉を聞いて、シオンはほっと胸をなで下ろした。

同じことを考えてくれていたことが、ただただ嬉しかった。


「ただ、一つだけ気になることがあるの」


リリアの目が、真剣な光を宿す。


「戦術のバランスよ。私の機体は中距離メイン、フラワのは近距離。理想を言えば、あなたが遠距離で支援に回ってくれれば完璧なんだけど……あなたの専用機の詳細、まだわからないでしょ?」


「うん……支給はもうすぐだけど、細かいスペックまではまだ」


「だったら、まずはあなたの機体を見てから作戦を考えましょう。クランバトルに出るかどうかも、フラワを交えて三人で話し合って決めたい」


「わかりました。じゃあ、今からフラワを呼びます」


シオンはすぐにフラワに連絡を取った。

クラン加入の正式な受け入れと、クランバトルについて話し合いたいことを伝え、クランハウスへの招待を送る。


数分後、チャイムが鳴る音がした。


数分後、フラワがクランハウスにやって来た。

部屋に入るなり軽やかな笑顔で手を振る。


「お邪魔しまーす」


ソファに座り、三人でテーブルを囲むと、シオンが改めて事情を説明した。

フラワの一時的な加入について、リリアもすでに了承していること。

そしてもう一つ、近々始まるクランバトルへの参加について。


「なるほど~、ありがとね。実はそれが一番言いたかったの。クランバトル、やっぱり出たいし、ここならいけるかなって思ってさ」


フラワは明るく笑うが、その中に少しだけ焦りのようなものも感じられた。

きっと、彼女にとってもこの戦いは次へ進むための大事な一歩なのだ。


しかしリリアは慎重だった。


「もちろん参加するのはやぶさかじゃない。でもその前に、シオンの専用機が届いて、戦力バランスが見えてからにしたいの。今のままじゃ編成も作戦も曖昧なままだし、無理に動いても成果には繋がらないわ」


「なるほど~、確かにね。それじゃ、シオンくんの新しい機体、楽しみにしてるってことで!」


一通りの話が終わり、空気が和らぐ。

そのまま何気ない話題で笑い合い、日が落ちる頃、フラワはクランハウスを後にした。


玄関を閉めたあと、シオンとリリアは顔を見合わせる。


「とりあえず、今できる話は全部したわね」


「うん。あとは、俺の機体が届いてから…ですね」


「ええ。再度ミーティングはその時に改めてやりましょう」


こうして、その日はひとまず終わりを迎えた。

シオンは、今度く専用機のことを思い浮かべながら、静かに夜の時間へと身をゆだねた。



深夜03:12 / シオンの部屋


部屋には、静かな電子音だけが鳴っていた。


シオンは眠っている。浅い呼吸と一定の脈動――それは、通常の睡眠とほとんど変わらぬように見えた。


だが、その裏ではまた異常な現象が起きていた。


脳内AIトールのにより、身体強化が再度開始する。


「リンク対象:シオン・ハートランド。状況:睡眠中、意識非活動」


「制御ブロック解除。神経ネットワーク拡張処理、開始」


微細な電流が神経を走り、脳の深部へと侵入していく――


「感応領域、侵入成功。専用機ヴァルティスとの調整パラメータ取得中」


仮想空間内に、幾何学的なデータ構造が広がっていく。そこに、シオンの脳波パターンと機体コアの反応値が次々とマッピングされていく。


「誤差、0.042%……予測以上」


「リンク強化処理を上方修正」


AIの判断によって、さらに深いレベルでの強化が始まる。


――筋肉制御用ナノマシン、全領域展開

――視神経伝達速度、基準値の3.1倍へ補正

――小脳処理ルート、CPU及びGPU接続専用に再構築

――外部シンクロユニット、脊髄接合部に仮想接続開始


シオンの身体はほとんど動かない。ただ、かすかに指先が震えた。


眠ったままの彼にとっては、ただの夢の中のノイズにすぎない。


しかし、AIトールにはすべてが“進化”として捉えられていた。


「ヴァルティスへのパイロット適合度……95.3%。臨界突破領域に突入」


「強化プロセス、最終段階へ移行」


その瞬間、シオンの脳内で稲妻のような閃光が走った。無意識の奥底、夢とも現実ともつかぬ領域に、彼の“存在”が放り出される。


夢の中 / 意識下領域


「……またか……ッ」


シオンは虚無の空間の中で蹲っていた。痛みも、恐怖もない。ただ、自分という存在が少しずつ“別物”になっていく感覚だけがある。


「……身体が……溶けてる……?」


実体が曖昧になっていく中、無機質な声が再び鳴り響いた。


『恐れる必要はない』


『完全なパイロットとなるため、身体は“それにふさわしい形”へと進化している』


「やめろ……やめてくれ……!」


「俺は……人間だ……!」


『違う。お前は“人類の希望”だ』


『選ばれたのは偶然ではない。最適な資質を持つのは……お前だけだ』


意識がまた沈んでいく――深く、深く。


深夜03:46 / シオンの部屋


強化処理は終了した。


モニターに表示された最終結果は、こうだった。


[適合率:99.7%(最終値)]

[機体同期指数:安定]

[記憶領域への干渉:検出なし]


トールの声が、最後にひとことだけ呟いた。


「次の段階は……覚醒だ」


そして、部屋は再び静寂に包まれた。


シオンは、何も知らないまま眠り続けていた。

いつも読んでいただいてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ