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ディメンション・ノヴァ  作者: 酒本 ナルシー。
3章  信頼と疑念

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36話 再起と絆

朝の光が差し込むリビング。

カーテン越しの陽射しが、静かな空気の中で柔らかく揺れていた。


キッチンから湯が沸く音が聞こえる。

シオンがカップに紅茶を注いでいると、控えめな足音が近づいてきた。


「……おはよう、ございます」


振り返ると、リリアが立っていた。昨夜とは打って変わって、どこか気まずそうに目を逸らしている。


「おはようございます。よく眠れました?」


シオンが笑いながら声をかけると、リリアは小さく頷いた。けれど、すぐに顔を曇らせる。


「昨日……ごめんね。あんな風に取り乱して。あなたにまで……」


「謝らなくていいよ」


シオンは軽く笑って、テーブルにマグカップを置いた。


「疲れてたんですよ。俺もあれくらいのこと、前にやったことあるし。クッションに謝ってた気がする」


冗談めかした言葉に、リリアは思わず噴き出す。


「……クッション?」


「うん。無駄にふかふかのやつ。あいつは何も言わずに受け止めてくれる」


ふっと、リリアの口元に笑みが戻る。


「じゃあ……昨日の私は、あなたのクッション代わり?」


「全然違う。リリアさんはリリアさん。頼れる人だよ」


その一言に、リリアの目が揺れる。


「……昨日は、私の方が守られてた。守るって言ったのに、私の方が……」


「それでも、リリアさんがいてくれてよかった。あの時、本当に助かった。だから——ありがとう」


言葉は簡単だったが、それを聞いたリリアは何より救われたように見えた。


少しの沈黙のあと、リリアはふわりと小さく笑った。


「……じゃあ、これからはお互いに守り合うってことで」


「うん。そうだね」


その朝の会話は短くて、穏やかで、でもどこか確かな絆が生まれた瞬間だった。

気がつけば、昨日よりも自然に隣にいられる——そんな二人になっていた。



朝のアカデミーへの道中

まだ少し気まずそうなリリアだったが、シオンは変わらず隣を歩く。

時折吹く風に髪が揺れ、いつもより柔らかい表情を見せるリリア。


「ねえ、今日の放課後なんだけど――訓練、休もうかなって思ってる」

「ん? どうしたんですか?」

「……カイたち、怪我してるでしょ?御見舞にいに行こうと思って。……シオンも一緒に来てくれない?」

「もちろん。俺も行きたかったんです、誘ってくれて嬉しいです」


そのやりとりに、リリアの頬が少しだけ赤くなる。

隣を歩く足取りが、ほんの少し軽くなったように感じられた。


放課後、医療棟にて――


カイたちが搬送された医療棟は、アカデミーの裏手にある静かな建物だった。

シオンとリリアは並んで廊下を歩き、病室の扉をノックする。


「開いてるぞ」

中から聞こえてきたのはカイの声。中へ入ると、ベッドに横たわるカイが片手を挙げて笑っていた。

その隣では、ジークが腕に分厚い包帯を巻かれながらもピースサインをしていた。


「おう、来てくれたか。悪ぃな、情けないところ見せちまって」

「そんなこと……こっちこそ、無事でよかったです」

シオンの言葉に、リリアもうなずく。


「ジーク、腕はどうなの?」

「まあ、見てのとおり……ボロボロだけど、再生医療のおかげで何とかなるってさ。すげーだろ未来技術」

冗談めかして言うジークに、場の空気が少し和む。


「……あのとき、私がもっと冷静に動けていれば」

リリアが小さく言うと、カイがピシャリと声を出す。


「バカ言うな。お前がいたから、俺たちは全滅せずに済んだんだ」

「……カイ」

「それに――今回は俺たちはやられたが、あのクロノマタと戦って、生きて帰ってきたのはお前らだけだ。誇れよ」


その言葉に、シオンもリリアもハッとしたように顔を上げる。


「俺たち、まだまだ先は長い。だからさ、今はしっかり休んで、次に備えるんだ」

「うん……ありがとう、カイ」


静かに頭を下げたリリアの目には、もう迷いはなかった。

シオンはそんなリリアの横顔を見つめながら、改めて思う。


――このチームで、まだまだ先へ行ける。もっと強くなって、守っていきたいものがある。


夕暮れの帰り道――


医療棟を出ると、空は茜色に染まり、アカデミーの影が長く伸びていた。

リリアはしばらく黙って歩いていたが、ふと立ち止まり、空を見上げる。


「……やっと、少し肩の荷が下りた気がする」

「うん、カイたち元気そうだったしな」

シオンが笑って応じると、リリアも柔らかく笑う。


「シオン、ちょっと寄り道しない?」

「寄り道?」

「ほら、学園裏の展望デッキ。夕焼けが綺麗に見える場所」

「……いいですね。行きましょうか」


歩き出した二人の足取りは、朝よりも軽やかだった。

少しの沈黙も、気まずさではなく心地よい静けさとして流れていく。


「今日、一緒に行ってくれてありがとう」

「いや、こっちこそ。リリアさんが誘ってくれてよかったですよ」

「……また少し、前に進めた気がする。あなたと一緒にいると」


その言葉に、シオンは照れ隠しのように後頭部をかきながらも、まっすぐ答える。


「じゃあ、これからも一緒に前に進みましょう」

リリアは一瞬驚いたようにシオンを見るが、すぐに微笑んでうなずいた。


「……うん。これからも」


沈む夕日を背に、二人は少しだけ近づいた距離をそのままに、展望デッキへと向かって歩き出すのだった。



読んでいただいてありがとうございます。

第3章これで終わりです。

エルナとフラワ書きわすれちゃったけど女の子はべつ部屋なのでw 二人も無事なので。

次章から新たなキャラや機体がバリバリ動くので!

これからも宜しくお願いします!

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