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ディメンション・ノヴァ  作者: 酒本 ナルシー。
3章  信頼と疑念

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28話 ミッション後の考察

クランハウスへ戻ったシオンとリリアは、トールを交えて戦闘の振り返りを行った。


「やっぱり、あの無人機……普通じゃなかったよね?」リリアが腕を組みながら言う。


「うん。普通の無人機ならパターンを読めば対処できるはずだけど、奴らは途中で戦い方を変えてきた。まるで学習しているみたいだった」とシオンも同意する。


トールが静かに解析結果を表示する。


『敵機の挙動は従来の無人機と異なるパターンを持っている。戦闘中に適応し、より効果的な動きを選択していた可能性が高い』


「……つまり、ただの無人機じゃないってこと?」


『その可能性が高い、詳細なデータは不足である』


さらに話を進める中で、リリアが別の異変にも気づいた。


「シオン、君の機体……途中で妙な動きをしたわよね?」


シオンは少し考えてから答える。


「確かに……戦闘中、まるで自分の意識よりも先に機体が動いているように感じたんだ」


トールが画面を切り替える。


『分析の結果、シオンがワタシの補助システムを通じて、僅かに未来の動きを予測し、それに基づいて最適な動作を選択していた可能性がある』


「未来の動きを……?」シオンが驚く。


『ただし、この戦闘システムについて今はまだ詳細を制限されている』


トールの言葉にシオンとリリアは顔を見合わせる。


「……制限、か。やっぱり、まだ何か隠されてるってことね」リリアはため息をついた。


『現時点で重要なのは、シオンの機体が通常のノヴァとは異なる動作をしている点です。これを今後の戦闘でどのように活用するかが課題となります』


「それに、今回の敵……あいつらの正体がわからないのも問題ね」


『敵のデータは解析中、明確な情報はない。警戒を強化すべき』


シオンは拳を握る。今回の戦いは初陣だったが、ただの護衛任務のはずが奇妙な戦闘になった。そして、自分の機体の異常な動き、そして敵の正体不明の戦術――すべてが謎に包まれていた。


「……俺、もっと強くならなきゃいけないな」シオンは静かに決意を口にした。



◇◇◇



翌日、リリアとシオン、二人はアカデミーの作戦司令室に呼び出された。


アカデミー側に前日のミッション報告を行うためだ。


室内には担当官と数名の教官が並び、データをチェックしていた。


リリアが冷静に報告を終えると、担当官は無表情のまま淡々と告げた。


「輸送車の護衛、ご苦労だった。損害なしでの成功、評価に値する」


しかし、肝心の“敵”についての情報は一切開示されなかった。


リリアが問いかける。


「昨日の無人機、そして最後に現れた人型機。あれは一体、何だったのですか?」


担当官は微妙な間を置いた後、表情を変えずに答える。


「現時点での詳細は不明だ」


「……本当に不明なんですか?」


リリアの語気が少し強くなる。


「通常の無人機とは明らかに異なっていました。あれほど高度な機動をするAI制御は、私の知る限り学園の技術にも存在しないはず……」


担当官は少し目を細めた。


「それ以上の情報は開示できない」


「開示できない、のですか?」


リリアは言葉を選びながらも、鋭く切り込む。


しかし、担当官は静かに席を立ち、話を終わらせるように言った。


「君たちはクランの役割を果たせばいい。それ以上を詮索する必要はない」


冷たい言葉だった。


リリアはいらだったが、これ以上の追及は無駄だと悟る。


シオンも隣で拳を握りしめていた。


(何かを隠している——それは間違いない)


その違和感を胸に抱えたまま、三人は司令室を後にした。



◇◇◇




その頃、アカデミーの別の場所では、密かにある会話が交わされていた。


薄暗い会議室。


数名の人物がモニターを見つめている。


映し出されているのは、シオンたちの戦闘データ。


「やはり、彼の戦闘行動には“異常”が見られる」


低く、冷静な声が響く。


「彼はまだ気づいていない。しかし、このまま成長を続ければ、いずれ……」


「……排除するべきか?」


短く鋭い問いかけ。


「いや、まだ様子を見る。だが、警戒は怠るな」


会議室の空気が重くなる。


「このクラン……特にシオン・ハートランドの動向を監視しろ」


闇の中で、新たな陰謀が静かに動き始めていた——。



いつも読んでいただいてありがとうございます。

次回是非よろしくお願いします。

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