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ディメンション・ノヴァ  作者: 酒本 ナルシー。
2章 クラン

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21話 実力診断戦(スキル・アセスメント)後編 2

シオンはホールを見渡し、リリアの姿を探した。

しかし、彼女を見つけると、急に トレーニングルームでの出来事 を思い出してしまう。


(……まずい、また変な妄想をしちまった。)


あの時の光景が頭をよぎる。

リリアの真剣な表情、近すぎる距離、無防備すぎる仕草……。


(いやいや、落ち着け……!)


変な考えを振り払おうとするが、どうしても意識してしまい なかなか声をかけられない。


すると、不意に リリアの方から 声をかけてきた。


「……シオン?」


シオンは ビクッ として、ぎこちなく振り返る。


「……あ、あぁ!」


ぎこちなく挨拶を交わすと、リリアは静かに言った。


「少し……人のいないところで話せる?」


シオンは驚きながらも、「いいですよ」と答えた。


すると──


リリアは シオンの手を握り、そのまま人気のない中庭へと歩き出す。


(えっ……!?)


シオンは 初めて女の子の手を握られる という経験に、異様なほど緊張してしまう。


AIが警告を発する。


「心拍数上昇。体温上昇。異常反応検知。」


「うるさい、引っ込んでろ!」


そう思わずAIに突っ込むが、緊張は収まらないまま、リリアに引かれながら 静かな中庭へと向かう──。



二人は中庭のベンチにたどり着く。


「……座ろう。」


リリアが 先に座る。

シオンは少し照れくさくなり、 少し距離を置いて座った。


しかし──


リリアが シオンの隣に座り直した。


(……ち、近い!!)


シオンの鼓動が速まる。

リリアは全く気にしていないようで、無表情のままだ。


(こ、これ……もしかして……)


シオンは 妙な勘違い をしかける。


(リリアって……俺のこと好きなのか? だからこんなに距離が近いのか……?)


──リリアは今まで 英才教育をたくさん受けてきたが、男女の勉強は何一つ教わったことがない。

そのため、彼女にとって 「距離感」や「異性への配慮」 という概念はまるで存在していなかった。


しかし、シオンはそれを知らない──。


そんなことを考えてしまったが、リリアが さっさと本題を切り出した。



---


模擬戦の違和感


「今日の模擬戦……」


リリアは静かに話し始める。


「私は負ける気がまったくしなかった。でも……最後にブーストをかけたとき、急に 機体の制御が効かなくなって……」


シオンは 初めて今日の模擬戦の最後の展開を理解 した。


「……そうだったんですか。でも、俺結局負けちゃいましたけどね。」


リリアは納得がいかない様子で、少し残念そうな顔をする。


「あなたのAIが……何かしたの?」


シオンは 一瞬ドキッとする が、すぐに首を振った。


「流石にそれはないですよ。」


リリアはまだ もやもや しているようだった。



---


クランについての話


「……それより、クランのこと、考えてくれましたか?」


シオンが切り出すと、リリアは 少し沈黙 した。


しばらくして、彼女は ゆっくりと言葉を紡ぐ。


「……2年目の後半、私が所属していたクランのミッションで、クランリーダーが殺された。」


シオンは驚いたが、リリアは 詳しくは語らなかった。


「それ以来、私はクランを作るのをためらっている。……また、誰かを失うんじゃないかって。」


彼女はクールに見えるが、実は 誰にでも面倒見がいい性格 だ。

それは、トレーニングルームで 倒れたシオンを本気で心配して介抱してくれたこと からも分かる。


(リリアは、仲間を本気で大切にするんだ……。)


その時、AIが唐突に提案してくる。


「君が絶対に死ななければ問題ない。彼女にそれを信じさせればいいだけだ。」


「……無茶言うな。」


シオンは、AIに心の中でツッコミを入れた──。

シオンはAIの言葉をもう一度考え直した。


「君が絶対に死ななければ問題ない。彼女にそれを信じさせればいいだけだ。」


(無理だろ、それは。)


自分が絶対に死なないなんて保証できるわけがない。

リリアにそんなことを信じさせるのは不可能だ。


(……でも、逆なら?)


ふと、あるアイデアが浮かぶ。


「だったら、リリアさんが俺のことを守ってくださいって言えばいいんじゃないか?」


シオンがそう呟くと、AIがすぐに反応した。


「……君にしては中々いいアイデアだな。」


(お前、普段俺のことどう思ってんだよ。)


AIの軽い評価に若干の不満を抱きつつも、シオンはそのアイデアを試すことにした。


リリアは元々面倒見がいい性格だ。

だったら、彼女の保護欲を刺激すれば……もしかしたらクランの件も前向きに考えてくれるかもしれない。


シオンは意を決してリリアに向き直った。


「……リリアさん。」


「?」


リリアが不思議そうに首を傾げる。


シオンは 一気に言った。


「俺、危なっかしいし、このままだとどこのクランにも入れてもらえないかもしれないから……リリアさんが、俺のことを守ってください。」


一瞬、静寂 が訪れる。


リリアの表情が 完全に固まった。


「…………は?」


きょとん。


まるで状況が飲み込めていないという顔をしている。


(……やばい、何か変なこと言ったか!?)


リリアは相変わらず無表情だが、その瞳の奥には 明らかな困惑 が見えた。


(くそっ……!! なんか……なんか恥ずかしくなってきた!!)


居たたまれなくなったシオンは、突然 立ち上がる。


「な、なんでもない! 忘れてください!!」


そして──


「うわぁぁぁっ!!」


逃げた。


リリアを置いて、全力でその場から走り去る。


(……やっちまった!!)


風を切りながら、シオンは頭を抱えた。


(完全に、ダメな男のプロポーズ みたいじゃねぇか!!)


AIの冷静な声が響く。


「おめでとう、君は今、"逃げた男ランキング"のトップに躍り出た。」


「うるせぇ!!」


シオンは顔を真っ赤にしながら、夜の学園を駆け抜けた──。





いつもと読んでいただいてありがとうございます。

また次回も宜しくお願いします。

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