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第14階 あ、キマジメ、良く来てくれた!

「はぁ、着いた」


ノンビリは階段を登り終えた。


「魔物はいないみたいだな」


ノンビリは周りを見回しながら言った。


「いや、どこかに潜んでいるかもしれないぞ」


レイセイが言った。


「分かってる。注意しながら進もう」


ノンビリがそう言うのも聞かず、


「よし、ドンドン行くぞ!」


とノンビリが進んでいった。


「あのバカ、勝手に進みやがって…!」

 

キマジメが冷や汗をかいている。


「ノンビリさん、今すぐ戻って下さい!」


シトヤカがノンビリに呼びかける。


「大丈夫だよ。今、魔物はいないから」


「隠れてるかもしれないだろ!今すぐ戻れ!」


キマジメもノンビリに呼びかける。


「平気平気。お前達も早くこっちに来いよ」


こういう時のノンビリはかなり頑固だ。


長年の付き合いがあるキマジメは分かっていた。


ノンビリは普段はあんなにのんびりしているのに、自分がこうだと決めたら、意地でも自分の考えを曲げない。


ノンビリとはそういう男だとキマジメ自身がよく分かっていた。


だが、だからといって幼なじみを危険にさらす訳にはいかない。


「バカなこと言ってないで、早く戻ってこい!」


声を振り絞ってノンビリに呼びかける。


しかし、ノンビリはキマジメ達の呼びかけに全く応じず、ドンドン先に行ってしまう。


「あのバカ、少しは俺たちの話を…」


「うわっ、出た!」


ノンビリの叫び声が聞こえた。


「ほらな、言わんこっちゃない!」


キマジメ達は、急いでノンビリの元に駆けつける。


ノンビリの目の前に現れたのは、体格が良いゴブリンキングだった。


大きな棍棒を持っていて、ちょっとやそっとの攻撃ではビクともしないような感じだった。


「あ、キマジメ、良く来てくれた!」


「『良く来てくれた!』じゃねぇよ!勝手に1人で進みやがって!」


キマジメはノンビリの頭をコツンと叩いた。


「とりあえずあのゴブリンをやっつけようぜ」


レイセイが弓を構える。


「私、魔法をかけますね!」


シトヤカが構える。


「え?シトヤカさん、新しい魔法使えるようになったの?」


ノンビリが目を丸くしてシトヤカの方を見る。


「はい、そうなんですよ」


シトヤカはなぜか自慢気に答えた。


「なんでドヤ顔なんだよ…」


キマジメがツッコむ。 


「それじゃ、いきますよ!」


シトヤカは持っている杖をノンビリ達に向けて振った。


「おぉ…、なんか力がみなぎってきた…!」


ノンビリの周りにはオーラみたいな気が溢れていた。


「シトヤカさん、これは何?」


「これは…、攻撃アップの魔法です!」


シトヤカはまたドヤ顔になった。


「え?じゃあ、いつもより攻撃力が高くなってるの?」


「そうなんですよ!」


シトヤカがふんぞり返って笑っている。


「シトヤカさんって、あんなキャラだっけ…?」


キマジメが唖然としている。


「彼女って面白いね」


レイセイが笑う。


「いや、こんな所でほのぼのしている場合じゃない!早くゴブリンキングを倒さなきゃ!」


キマジメが発破をかける。


「あ、そうだった」


レイセイがそう言うと、


「シトヤカさん、俺にも攻撃力アップの魔法をかけてよ」


とシトヤカに頼んだ。


「あ、はい!」


シトヤカはレイセイに攻撃力アップの魔法をかけた。


「ありがとう、これで大丈夫だ」


レイセイは弓をゴブリンキングに構える。


ゴブリンキングはレイセイに向かってくる。


「これで終わりだ!」


レイセイは弓を放つ。


弓はものすごいスピードでゴブリンキングの方に飛んでいき、ゴブリンキングに突き刺さった。


ゴブリンキングは唸り声をあげて、その場にバタンと倒れこんだ。


「おぉ、いつもの10倍ぐらい力が出た!」


レイセイが言った。


「ホントだよ、あんな攻撃見た事ないよ」


ノンビリも目を丸くしている。


「シトヤカさん、あんな魔法いつ身につけたの?」


キマジメがシトヤカに聞く。


「夜とか少し時間が空いた時に必死で練習していたんです」


シトヤカが少し照れ臭そうに答える。


「え、そんなことしてたの?」


ノンビリが聞く。


「はい、少しでもパーティーの役に立ちたくて…」


シトヤカのその一言に、


「シトヤカさん、なんていい娘なんだ…」


男3人はすっかり心が暖かくなった。


「み、みなさんどうしたんですか?」


シトヤカは慌てふためいた。


「シトヤカさん」


レイセイがシトヤカに話しかける。


「レイセイさん、なんですか?」


シトヤカが振り返る。


「君って結構根性あるんだね。俺、感心しちゃった」


レイセイの一言にシトヤカは、


「ありがとうございます」


と笑顔で応えた。




「お、こんな所に道が!」


ノンビリが抜け道を見つけた。


「よし!ここ、行ってみよう!」


ノンビリは抜け道を突き進む。


「あ、また…」


キマジメが手を伸ばす。


「ほら、キマジメもこっちにこいよ!」


「行くわけないだろ!また魔物があらわれたらどうするんだ!」


ノンビリの呼びかけにキマジメが一蹴した。


「あの人は学ばない人みたいだね」


レイセイが苦笑いした。


「えぇ…、そうみたいですね…」


シトヤカも苦笑いを浮かべる。


「おい、なんでみんなこないんだよ?」


「来るわけないだろ!危険すぎるわ!」


ノンビリとキマジメの攻防は10分以上も続いた。

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