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第13階 やったー!カレーライス大好き!

「ついに13階か…」


13階層に上がるやいなや、ノンビリが呟いた。


「結構登ってきましたけど、まだ続いているみたいですよ」


シトヤカが上の方を指さして言った。


「えぇ?結構登ってきたのに…」


ノンビリはその場に座り込む。


「そう簡単にダンジョンは攻略できないって言うことだよ」


キマジメがノンビリの隣に座りこむ。


「まぁ、気軽に行こうよ。焦ったって結果は変わらないんだから」


レイセイがノンビリに言った。


「…今日はここで寝ようかな」


キマジメが言った。


「さすがキマジメ!俺の考えていることが分かってる!」


ノンビリは指をパチンと鳴らしてキマジメを褒めたたえた。


「何年の付き合いだと思ってるんだよ」


キマジメがバッグからテントを取り出す。


「シトヤカさん、今日は何を作ってくれるの?」


ノンビリがシトヤカに聞いた。


「…えーと、今日のメニューはカレーライスです」


シトヤカが微笑む。


「やったー!カレーライス大好き!」


「お前、子供かよ」


キマジメがのんびりをたしなめた。


「なぁ、シトヤカさん、じゃがいもはなるべく形を残しといてくれ」


レイセイがシトヤカにお願いしている。


「あいつはあいつで何をお願いしているんだ…」


キマジメはレイセイを見て呟いた。




「はい、出来上がりましたよ」


シトヤカは3人の元にカレーライスを運んだ。


「お、うまそう!」


ノンビリが声を上げる。


「これはスゴい。じゃがいもはちゃんと形を残しているし…」


「お前、まだそんなこと言ってるのか」


キマジメにレイセイがつっこむ。


「はい、要望はしっかりと聞き入れたつもりですよ」


シトヤカが微笑む。


「シトヤカさんマジ女神…」


レイセイはうっとりした。


「おい、さっさと食べるぞ」


キマジメがレイセイを促した。




「明日はどうしようか?」


ノンビリが言った。


「あの、妹についての手がかりは探さなくても大丈夫なのか?」


キマジメがノンビリに言った。


「妹って何のことだ?」


レイセイが聞いた。


「あぁ、このダンジョンに入ったのは、コイツの妹がこのダンジョンに入ったきり出てこないから、それを救うために入ったんだよ」


「えぇ、それは早く助けてやらないと」


レイセイが驚いた。


「そうなんだよ。だからこうしてのんびりしてなんかいられないんだよ。それをコイツは…」


キマジメは呆れたような顔でノンビリを指さす。


「大丈夫だって。妹は俺が助けるから」


ノンビリはなぜか得意気な顔をした。


「本当に大丈夫かね…」


キマジメはため息をつく。


「いいんじゃないか。焦って自分を失うよりずっといいよ」


レイセイが言った。


「俺としては、早く妹の所に行きたいんだけどな」


キマジメがため息をついた。


「そういえばこれは手助けになるか分からないが…」


レイセイが神妙な顔になった。


「え、いきなりどうしたんだよ…」


キマジメが驚く。


「俺の知り合いの冒険者が、女の子を抱えている髪の長い男を見たって」


「髪の長い男?」


シトヤカが言った。


「それってどのぐらいの感じの人なの?」


ノンビリがレイセイに聞いた。


「そうだな、かなり若い感じだったと知り合いは言っていたな」


「若い感じか…」


ノンビリが考えこむ。


「その男、うちの妹にちょっかいを出しているに違いない。いや、絶対そうだ」


「いや、それどころじゃないだろ。第一妹かどうかも分からんし」


キマジメがノンビリにツッコむ。


「いや、うちの妹は可愛いからな。小動物的な可愛さがあるから思わず守ってあげたくなるような感じだし…」


「カレーライスのおかわりいかがですが?」


話が佳境に入った所で、シトヤカが話を遮った。


「ちょ、君、そんなこともできるようになったのか…」


ノンビリはシトヤカをゆっくり見た。


「ノンビリさんも、おかわりどうですか?」


シトヤカはニコッと笑顔を浮かべた。




「とりあえず、目的は決まったな」


カレーライスを2杯食べたノンビリは、やおら立ち上がって準備を始めた。


「レイセイが言っていた髪の長い男を探さないとな」


キマジメも準備を始める。


「そろそろ行くのか?」


レイセイが言った。


「あぁ、一刻も早く妹を助けないとその男に変な事をされてしまいそうだからな」


「それどころではないと思うけど…」


キマジメが言った。


「そうか、どうしてもその男を追うんだな」


レイセイが言うと、


「あぁ」


とノンビリが言った。


「でも、少し待ってくれないか…」


「え?何か問題あるのか?」


ノンビリがレイセイの方を振り返る。


「…カレーライス食べすぎて動けないんだ…」


レイセイがそう言うと、4人は一斉に笑った。




「よし、じゃあ改めて妹を助けに行くぞ!」


ノンビリがそう言うと、


「あぁ、行こう」


「妹さんは必ず助けましょう!」


「俺もできる限りのことはやるからさ」


と他の3人は答えた。


待ってろよ。今すぐ助けてやるからな。


ノンビリは改めて妹を助ける決心を固めた。




一方、ここはダンジョンのどこか。


ノンビリの妹・ユックリは目を覚ました。


そして周りを見ると、自分が抱え込まれていることに気がついた。


自分を担いでいるのは、髪の長い男のようだ。


この男は一体何者なんだ…?


ユックリは揺られながら男に疑いの眼差しを向けていた。

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