生贄嬢は溺愛されているのに気付いていない

　白い装束を着た少女が一人ぽつんと山奥にいた。なんと彼女は災害から村を救うために生贄に志願し、そこにいたのだった。しかし日が暮れてきたというのに、神様は彼女の前に姿を見せてはくれない。日が沈めば野犬に喰われてしまうと怯える彼女の前に、突如として神を名乗る美丈夫が姿を現わした。
　実は彼は伴侶を探しに人間の世界にやって来た神だった。しかし、彼女は耳が不自由なため彼の言葉が上手く聞き取れず、生贄を食べに来た神様だと勘違いして……。

※少女は第67話まで盛大に勘違いしたままです。耐えられそうな方だけお読みください。
※狸と狐は第7話から登場します。もこもこ！