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幕間 死の女王 骸ノ宵の思念(別視点)

少しグロ要素を含みます。


*



私の名は、■■■。

クレティアの第一の国の辺境の森に住み着いている魔物だ。



第五の街…魔皇国直属の騎士団で騎士団長を努めていたが、定年を過ぎ、今ではこの辺境でのんびり暮らしている。



第一の国に魔皇国が話を通してくれたらしく、お互いに何も干渉しないということになっているらしい。



この森は私が魔法を使わずに一から植林し、育てた森だ。

手間をかけて何十年も続けた結果か、どうやらこの森は精霊のすみかになっているらしく時々、精霊の笑い声が聞こえることがある。



しかしここは子を捨てる一種の名所にもなっているらしい…



「きゃっきゃ!」 



これで子が捨てられているのを見かけたのが、ここ一年で三回目だ。

昔も子が捨てられているのを見かけることはあったが、三年に一回のあるかないかぐらいだった。



捨てている親にもなにか事情があるのかもしれないが、そのような事情があるのならそもそも子を作らない方が子のためになると思うのだが…




*



しばらく赤ん坊を抱えて森を歩いていると、目の前から女の子…ルルが猛ダッシュでハグという名の突進をしてきた。



「よいおばさーん!!!」


ドン──グヘェ…



勢いよくぶつかったため、肋が何本かいってそうな音がした。

後でミルクを飲まなくては…



(ルルそれはやめなさいと言っているでしょう…)


「ごめんごめん、忘れてた。」(*ノω・*)テヘ


(リリー今日はルルの分の晩ごはんは作らなくていいですよー)


「…おっけー」


「ちょっとー!ちゃんと謝るから許してー!」



リリーは白髪青目の女の子だ。歳はルルと同じだ。

リリーはのみ込みが早く家事を教えたらすぐに私以上にできるようになってしまったため家では家事を少しだけ手伝ってもらっている。



「ん?赤ん坊?もしかしてまた捨てられてたのー?」


(ああ、流石に見つけてしまったのだから面倒は見ないとね)


「おばさんお人好しだから…」



見つけていないのならしょうがないが、見つけたのなら最後まで面倒を見る。それが私のポリシーだからな。見て見ぬふりは一番いけない。



「またひとり増えるのかーまあ二人も三人でもあまり手間は変わらないけどね!」


「…ルルは何もしてない。面倒見てるのは私」


「私もちゃんとしてるわよ!えっっっとーーええっっとーー?あれ?もしかして私何もしてない?!」


「…もしかしなくてもしてない」ボソ


「リリー何か言った?」


「イヤーナニモイッテナイヨ」



そんなやり取りをしているうちに、うちにたどり着いた。

外観はそれほど良くないがそれでもとてもいい家だ。



「たっだいまー!」


「…ただいまー」


(ただいまー)


「「おかえりー」」



家の中に入ると、三歳の男の子二人が歓迎してくれる。


一人はレイ、もう一人はシイだ


二人は双子のようで同じ日に同じ場所に一緒に捨ててあった。


二人はまだ幼いし、人手も足りているため特に頼んでいることはないのだがたまにリリーが教えたのか一緒にお風呂を沸かしてくれることがある。



「おばちゃんその子だれー?」


「かくしごー?」


(そんな言葉誰から教わったの?おばちゃんに教えてくれない?。そいつの頭を切り裂くから)



後ろで震えているルルには後でお仕置きをしておこう…



(ルル〜?今日から一週間おやつ抜きね〜?)


「えぇ〜それはちょっと──」


(い・い・よ・ね!!)


「はい…」


「ねーねーおばちゃんー?このこだれなのー?」


「ねーねー」


(この子はレイとシイと同じように神様が運んできてくれたんだよー)


「…ふふっそうですよ神様が…かみ…」


(リリーもおやつ抜きがいいのかな〜?)


「この子は神様が連れてきてくれんですよ」



リリーの切り替えの速さに驚きつつ、少し時間が経つとまた各自、自分のすることやしたいことをしはじめた。



「…ごはんできたよー」


「リリー今日のご飯は何??」


「…バナの葉」


「ん?」


「…ルルにはバナの葉で十分。最近少し太り気味だし」ニヤニヤ


「気にしていることを言いやがってーリリーのくせにー」



喧嘩をしても、みんなが食卓につく頃には喧嘩も終わり、みんなで夕食を食べて各自眠くなったら眠りにつくそのような満足ではないがとても充実した日々を過ごしていた。




*




子を拾ってから三年がたち、ルルとリリーは10歳にレイとシイは6歳に、拾った子─ルイは3歳になった。



最近精霊たちが騒がしいな…

精霊たちの笑い声は時々聞こえていたときはあったが、この騒がしさは笑い声とは違ういや真逆の不安や戸惑いといった感じだろうか…



精霊たちは何故かは分からないが基本的に人族を嫌う。

しかし赤ん坊の人族には優しく、赤ん坊から育てたルル、リリー、レイ、シイ、ルイは嫌わないようだ。



しかしここまで精霊たちが騒がしいことはこれまで一度もなかった。

この森に初めて人族が来たときよりも騒がしい。



となると最近この森に人族が大量に来ているのか?あるいはここの森の木を伐採しているのか?



これは確認しなければと思い、結界魔法をはることのできる魔道具を使い、この森に入ると私に連絡が入るようにしておいた。



もしも暴力が絡むものだった場合子どもたちを巻き込むわけにはいかないので、このことは子どもたちには内緒にしておくことにした。



*



夕食時


「──さん──ばさん──おばさん!ねぇ聞いてる?おばさん?」


(ああすまない、少し考え事をしていた)


「もう!おばさんたら…この家のルールに夕食時は仲良くおしゃべりと書いたのは誰ですか…」


(もうしわけない…)


「…わたしたちはどうにもないけど、レイ達が怖がってる」



レイ達に目を向けるとぶるぶると震えていた。そんなに怖い顔をしていたのだろうか…?気をつけなければ。



「おばさん何かあったの?私で良ければ話聞くよ〜」


「…私達に隠し事はだめ」


(いや…ほんとにぼーっとしていただけだから。心配してくれてありがとう。)


「ならいいけど…」



夕食も終わり、みんな寝静まった深夜…


[警告⚠結界内に侵入者]

[侵入者は15名]


連絡が入った。





*





急いで姿を消す魔道具を使い、結界内に侵入してきた者は誰で何が目的なのかを探るために連絡があったところに向かう。



連絡があったところにつくとそこには、黒いローブに身を包んだ15名が3組に分かれて何かをしようとしていた。

その時に会話もしていたため、聞き耳を立て立ち聞きした。



「ここからは、魔皇国の定年を過ぎた魔物が収めている領域だ。いくら定年を過ぎたと言っても魔物には変わりないので最新の注意を払うように」


「「「「「はっ!」」」」」



何が最新の注意を払うだ…

ここには私以外の魔物はいないし、私は第一の国とお互い干渉をしないという条約を結んでいる。



ということはその条約を破るようなことをするということだろう…

何をするかによっては第一の国を問い詰めるぞ…



「では作業開始」



そう親玉っぽいのが言うと、各自斧を取り出し近くの木に向かって斧を叩きつけだした。



んー?これは完全に条約違反だな…

しっかりと映像記録を取って、こおつら全員捕まえて、白状させてやる…



一度家まで戻り、映像記録ができる魔道具を持ってきて再度その場所に戻り、心が痛むが証拠となる木が切り倒される瞬間まで待つことにした。




しばらく待つと、一本の木が傾きメキメキと音を立てながら切り倒された。

ので処す。



隠れていた木の陰から飛び出し、近くにいた下っ端ぽいやつを殺さないように手刀で気を失わせる。



「何だおま──」



二人目に見つかり、危うく声を出されようとしたが、手から鉄球を出現させてそっちに投げつける。



「チッ、もう出てきやがったか…おいお前らその木を置け!ずらがるぞ!」



そう親玉っぽいやつが言うと一斉に撤退をはじめた。

流石に逃がす気はないので、近くのやつには重力魔法と精神束縛…遠くのやつにはメンタルチェーンを使い動きを止める。



しかし親玉っぽいのはかなり魔法耐性が高いようで魔法にかかったとしても一瞬で抜け出されてしまった。



他の奴らはもう逃げることは出来ないように精神支配もかけておいたので、置いていき親玉っぽいのを追った。



やがて親玉っぽいのは一見の小屋に向かった。

逃げることはできないと悟ったのだろうか…?



小屋の中に入り周りを見渡す。

しかし親玉っぽいのはおらずましてや人の気配すらない。


しばらく小屋を探すと、魔法陣を見つけた。転移魔法の魔法陣だ…

映像記録に収めようとしたが、転移が終わったのか消えてなくなってしまった。

その小屋は跡形もなく破壊しておいた





*





朝食時に子どもたちに少し出るところがあるからお留守番していてくれと伝えた。


子どもたちはいい返事をしてくれたがその奥では心配が見え隠れしていた。

子どもたちのためにも早く戻ろう。



私は昨日のことを問い詰めるために王都へと向かった。





*





道中何もアクシデントがなく、王都に着くことができた。


魔物だとバレると騒ぎになりかねないため、ちゃんと偽装面をつけている。


色々と見て回りたい店がたくさんあったがひとまずは王城へ向かった。



王城につくと門番に止められたが、面を騎士の姿に偽装して、王城に潜り込むことに成功した。


すぐに話の分かる王の秘書に話を通して、謁見の準備をしてもらった。



しばらく待つと、王と悪人面をした知らないやつが入ってきた。



「王都へようこそ…■■■樣。」 


「お会いできて光栄です。」



私が知らないやつに目を向けるとそいつは自己紹介をしはじめた。



「あぁ…そういえば■■■樣とは初対面でありましたね。私は第一のケネルで侯爵を務めておりますゲイルと申します。以後お見知りおきを…」


(そうか侯爵のかただったのか。でも私は王に確認をしたくて来たのだが) 


「ゲイルがどうしてもと言うもんでですね。どうかお許しください。」


「申し訳ありません」


(まぁ取り敢えず座って話をしようじゃないか)



ずっと立ったままでいる二人に座ることを促すと、二人共椅子に腰掛けた。



「それで今日はなんの御用でございましょうか?」


(ちょっとこれを見てほしい)



昨日の夜に撮った映像記録を二人の前に映し出す。



「むっ?これは…冒険者の連中ではないでしょうか…?」


(冒険者ねぇ…)


「はい。確かに家の国で暮らしている人族ではありますが、冒険者は冒険者協会に属していてこちらからは口出しをすることが現状できません」


(そうか…)


「えぇなので今日のところはお引き取りに…」


(じゃあこのエンブレムに見覚えはないか?)



私は昨日の親玉っぽいやつがつけていたエンブレムの映像記録を映し出す。



(これはお宅の騎士団のエンブレムじゃないのか?)



王とゲイルは一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに元も表情に戻し淡々と語りだす。



「たしかにこれは、ケネルの騎士団のエンブレムですが騎士団にも冒険者に属しているものがいるので、一回騎士団に確認をさせていただきたい。なので今日はお引き取りください」


(だが──)


「申し訳ない。これ以上は何も情報がないのだ。情報が入り次第お伝えするので一回家にお戻りください」


(仕方ない。今日は帰らせていただくとするよ…)



こちらの言い分があるなら向こうにも言い分が存在する。

仕方なく自分を説得させ、今日は家に帰ることにした。




*




ゲイル視点


「陛下…思っていた以上に早くバレてしまいました。申し訳ございません…」


「ゲイル…お前には期待していたのだがな…」



私の名はゲイル

このケネルの国で侯爵を務めている。

私はあの忌々しい魔物が住み着いているあの地に生えている木々に目をつけた。あれは金になる木だ。


あの木一本一本に神聖力が籠もっており、あの木で剣を作ると神聖力の宿った剣となり、市場に流せば何億もの利益が出せる見込みだった。


なのにあの忌々しい魔物は我々の計画の邪魔をしようとしてくる…

せっかくこちらがあの木を有効活用しようとしているのに…



「陛下…提案がございます。」


「何だ言ってみるがいい」


「あの忌々しい魔物を討伐いたしましょう」




*




数日後…

あれから結界内への侵入者は現れることはなくなった。

これは、王が黒なのか、はたまた冒険者という連中が仲間を集めているのか…


まぁどちらにしろやることは変わりない。しっかりと話し合いをして解決をする。それが一番だ。


そして夕食を皆で食べ終わり、各自眠りについた。



*



───ドォォォン!

何だ外が騒がしい。

───ドォォォン!

絶え間なく音がやまない


「──さん──おばさん!!起きて!」


(ん、ルルおはよう…もう朝──)


「そんなことより早く!変な奴らが…変な奴らが…」


(取り敢えず落ち着いて…ゆっく──)


「おい!こっちの部屋にいるぞ!悪魔を悪魔を討伐せよぉ!!」


(なんの騒ぎだ…うるさいなぁ)


「おい、そこから動くな!!動いたら殺す!!」


(何が起こっているんだこれは?)


「しらを切るな!この悪魔め!お前はここで罪のない子どもたちを誘拐して子どもたちを悪魔に…!この冒険者アグレイが成敗してくれるぅ!!」


「おいこっちから声が聞こえるぞ急げ!!賞金は俺のものだ!」


気づいた頃には周りを冒険者と名乗る者たちに囲まれていた。



(ルル?他のみんなは?)



ルルはまだひどく怯えているようだが少しずつ話してくれた。



「みんな…捕まえられて…折の中に…入れられてた…ゲイルって人が…「この子供は悪魔に取り憑かれている。すぐさま開放すべきだ!あの忌々しい魔物を捕まえ一緒に処刑するのだ!」って言ってて……」


まずいな…とてもまずい…子どもたちのところに急がなくてならないのにこの冒険者がそこそこの強さを持っていることだ。


取り敢えず戦うしかないか…


私はルルを抱えて鎌を手に持ち周りの冒険者を薙ぎ払い、子どもたちのところへと向かった。


しかし数の暴力には誰にも勝てない…


目の前には数億、数十万を超える冒険者や騎士団で渦巻いていた。


私は諦めそこに立ち尽くすことしかできなかった。





*





私は縄で縛り上げられ、子どもたちが貼り付けにされているところを見せられている。


抵抗しようにも、魔導封印の結界と封魔の首輪をつけられたためほとんど力が出ない。


子どもたちは眠っているようだ。



「これより悪魔に取り憑かれた子どもの開放をおこないます!」


───うぉぉぉぉお!!



子どもたちにそれぞれ槍が向けられる。



「子どもたちに開放を!!!」


──開放を!!!



子どもたちにそれぞれ向けられていた槍が徐々に胸元へと近づき…そして


───ズパァァ!!


突き刺さる。


───うぉぉぉお!!!


ひたすらに耳障りなズパァァという音が聞こえその度に歓声が起こる。


私はどこで間違えたのだろうか…



「これで子どもたちは悪魔から開放されました。そして次にこの大罪人いや悪魔に神罰を──」



私に数百ほどの魔導書が結界外から魔術を唱える。


すると地面から大量の手が出てきて私を掴む。


「悪魔に神罰を!」


──神罰を!!!



そう声が聞こえた瞬間私の目の前が真っ暗になり何も聞こえなくなる。



この空間では精神以外封じられているらしく。外の様子は確認できないがなんとなく書見台があることがわかる。私はそこに遺書を書きこみ、最後に皮肉と人族への憎しみを込め


『by初代死の王 骸ノ宵』


と書き記し眠りについた。

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