第七話 第二学園武道大会へようこそ
俺は一仕事を終えたので帰ろうとした。 しかし、四宮から他にも溜まっていたらしい仕事を多く押し付けられ、それをすべて終えて学園都市に帰る頃には出発から二週間が経っていた。
「やっと帰ってこれた…」
「お疲れさまでした。 それじゃあさっそく学校へ行きましょうか」
だが、俺に全く配慮は無いようで帰って朝一で学校へ登校しなければならないらしい。
(いつか絶対四宮殺す!)
「…授業中起きてられるかな」
「多分、それについては心配いりませんよ」
いつもの如く、四宮は無表情ながらどこかドヤった雰囲気で俺にそう言った。 それについて俺が聞こうとする前に、その理由が分かった。
「なるほどな。 今日は成長した俺の力を見せるにうってつけの機会な訳か」
「この為に今日まで仕事が長引かないようにスケージュールを調整したんですから」
「…でもあれって本来なら四宮に任されていた仕事だよな」
そんなことを言っている俺たちの目の前の校舎にはドでかく、【バグ力養成第二学園武道大会】と懸垂幕が掛けられていた。
「それじゃあ、早速学園内にある闘技場へ行きましょうか」
「分かった」
俺は彼女の言葉に従い、後ろを着いて闘技場へ向かった。
────闘技場は熱気に包まれていた。 第二学園の全校生徒である約千人が観客席にクラスごとに座り、闘志を宿した目を隠せずにいた。
「おー久しぶり西園寺!」
「久しぶり、大文字」
しかし、大文字はいつもながらに呑気な様子だった。 そして、俺は彼の近くにいた榊原達にも挨拶をして暫く談笑をしていると時が来た。
「皆さんおはようございます、今日は天気も良くてとても戦闘に適した空模様ですね」
三年生と思わしき男がガラス張りの解説室から声を出す、多分生徒会長か何かだろうか? それと同時に辺り一帯が静粛な空気に包まれた。
「長ったらしい前置きも何なので、早速はじめましょうか」
「え? まだ色々話したいことあったのに~」
喚いている生徒会長を尻目に見ながら、彼の横にいた天草先生が指を弾く。 すると、その瞬間数百人の生徒が闘技場の上に転移させられた。
「それじゃあ、早速皆に戦ってもらいましょうか!」
その言葉を皮きりに、選手たちの目の前にいつものLoadingの文字が現れた。 そして、それが消えた瞬間に全員が動き出した。
────力の差は圧倒的だった。 幾人もの生徒が手を組み少女に挑むが、ダメージを少しも与えられなかった。
「…普通の生徒が序列者に勝てるわけないでしょ、諦めなさい」
「何で唯の制服が鎧のように固いんだッ!」
「手からガトリングを出すとか反則かよッ!!」
透明化を駆使する生徒は能力を切った直後に蜂の巣にされ、空を高速で飛ぶ生徒は普通に撃ち落される。 その事実だけで透明化や移動系などのオーソドックスな能力は彼女になすすべがないことを示している。
「…これは、圧倒的だな」
それは、この西園寺聖夜が負けたのも仕方ないと思えるほどの実力だった。
「だが、今の俺なら奴にだって勝つッ!」
どうやら地道に序列を上げる必要はないみたいだ。 まずは彼女に勝って序列十位の地位を奪ってやろう。
俺は彼女が周りの生徒相手に強靭な鎧と手から放たれる凶弾で無双するのを眺めながら口元を歪めていた。
後、大文字も身体をデカくして頑張っていたが呆気なく序列十位の犬養 葵にやられていた。