表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

第五話 能力判定へようこそ

 

 自室で胡坐をかいて寛いでいる俺に対し、四宮が仁王立ちをして見下しながら言った。



 「貴方はまず、自分の力を理解しなければなりません」


 「理解するっていっても、どうやって自分の力を確かめるんだ?」


 俺が四宮に向かってそう聞くと、四宮は何時ぞやの眼鏡を掛けて自慢げな顔で言った。



 「バグ力の系統を確認するには壁見識という特殊な方法を取る必要があります」


 「…なんか聞いたことがある名称だな」


 「取敢えず、私が手本を見せます」


 四宮がそう言うと、部屋の隅に向かって歩いて行った。



 「何をするんだ?」


 俺が疑問に思いながら彼女を見つめていると、四宮は突然身体を部屋の隅に押し付け始めた。



 「人の部屋で何やってんだお前!?」


 「落ち着いて見ててください、強くなりたいのなら」

 

 「…分かった」


 俺は彼女の言葉に仕方なく従い、ジッと奇行を眺めていた。


 すると、変化が訪れた。


 

 「壁に体がめり込み始めたッ! …って何回も見ているか」


 「ちなみに、今は能力を意図的に使っていません」


 「…壁の隅に体を押し付けると自動で能力が引き出されるということか?」


 「そういうことです。 つまり透過系統の能力者は壁に段々めり込み始める現象が起こるのです」


 『飛行系なら段々空を飛び始め、ワープ系はおかしな軌道で何処かに飛んでいきます』 めり込んだ体を戻しながら彼女は冷静に語っていた。


 つまり、俺も壁に体を押し付ければ能力が分かるという訳か。 仕組みが分かったので俺はさっそく彼女が擦り付けた隅の反対へ行き、身体を擦り付け始めた。

 


 「恥ずかしがらずにもっと体を強く押し付けてください」


 「…分かったよ、強く押し付ければいいんだろ!」


 俺は恥を気にせずに体を強く押し付け始めた。



 「もう少し力を抜いてもいいですよ」


 「…もう細かいことは気にしない」


 エリートの俺は今の屈辱的な光景から目を逸らし、無心で壁に体を一定の力で擦り付ける。


 

 暫くすると、遂に体に変化が訪れ始めた。


  

 「壁に体が弾かれ始めたッ!」


 「これは、ワープ系…とは少し違う。 多分どの系統にも属さない特質系ですね」


 「俺にとってはお前らの能力はどれも特質的だけどな」


 取り合えず能力が分かったので、俺は体を押し付けるのを辞めて椅子に深く座った。



 「それで俺の能力はどんなものなんだ?」


 「多分、身体から反発的な何かを出している。 申し訳ありませんがそれぐらいしか分かりません」


 「まあ、それだけ分かれば大丈夫だ。 少しコツを掴んだ」


 俺はさっきの感覚を思い出しながら足裏に意識を向け、弾くような力を床に向けて解き放つ。



 「体が少し浮きましたね。 ですが、これは能力の無効化とは少し違うみたいですね」


 「…まあ、なにも使えないよりはマシだろう」


 能力の無効化の方は、少し試してみたが少しも使えそうになかった。


 

 「そちらの方は何か発動条件があるのかもしれませんね」


 「バグ力無効化の方は暇な時に色々試してみるさ」


 「ですね。 まずは今の能力の感覚を忘れずに自由に使えるようになることが肝心ですね」



 

 


 「…こんな朝からなんだ?」


 翌日、この学園都市で初めての休日にゆっくりと寝ていた俺に電話越しで四宮は言った。


 「それでは初めての実践と行きましょうか」


 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ